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台風で激甚災害「世界が変わる」は本当だった

 台風19号は各地に甚大な被害をもたらしました。当初、関東地方を直撃する予報が出された際には、まさかこれほどまでの激甚被害に見舞われるとは思いもよりませんでした。まさしく一夜にして「世界が変わった」かのようです。一体、政府や自治体は前回の台風15号から何を学んだのでしょうか。そして私たちは今後、何をするべきなのでしょうか。

 

 

「世界が変わる」

 

 

 以前、台風15号が関東地方に上陸しつつある時に、気象庁は「世界が変わるかもしれません」という表現を用いて、話題になりました。地球に小惑星が衝突するという内容の映画『ディープ・インパクト』のような印象を受けたものです。が、今回の台風19号こそ、「世界が変わる」という表現を使用すべきでした。

 

 

 台風19号がもたらした被害の中でも、河川の増水や決壊による水害がもっとも深刻です。ニュースの映像では各地の大規模河川が決壊し、広範囲にわたる水害が起きました。

 

 

 一夜にして家屋が押し流され崩壊し、床上浸水どころか屋根まで届くほどに増水した土地もありました。被災した住民の方々は記者のインタビューに、どうしていいかわからないと途方に暮れていました。家の中まで増水した水が押し寄せてきて、家財道具はすべて泥にまみれ、畳も床もどこもここもめちゃくちゃになってしまったのです。それでも、気丈にも大変だけど何とかしなければならないと歯を食いしばるように語る方もいらっしゃいました。

 

 

災害から何を学んだのか

 

 

 日本は自然災害の多い国です。国は防災対策を講じてはいるものの、台風ひとつ防ぐこともできません。ある意味、天災は人智を超えたことなのかもしれません。しかし、大きな災害が起きた後には、そこから何かを学習していかなければなりません。果たして政府、自治体はこれまで具体的に何をどう学んでいったのでしょうか。

 

 

 たとえば、避難方法。自治体が発令する危険レベルに応じた避難勧告や避難指示に対して、住民の方々は実際にどのように行動をとられたのでしょうか。検証しなければなりません。避難勧告が出されてから、避難しようとしても高齢者や身体の不自由な方々はどうすればいいのか。

 

 

 自治体によっては町内会ごとに高齢者のいる世帯を支援をする係を置くところもあります。でも高齢者の多い地区では一人や二人ですべての世帯を見守り、必要に応じて避難行動を手助けすることは不可能に近いでしょう。

 

 

避難所の実情

 

 

 避難所の問題もあります。多くの自治体では避難所として指定された建物は、学校の体育館だったり公民館のような施設がほとんどです。そうしたところに収容人数分のブルーシートや毛布、水、食料などの備蓄があったとしても、もともと被災者が快適にそこで避難生活を送れるように設計されているわけではありません。公民館などには一部に臨時宿泊施設を併設するところもありますが、避難した人全員を収容することは到底不可能です。

 

 

 外国では災害などが起こった時に、被災者が必要十分な生活を送れる専門の施設があるそうです。自然災害がこれだけ頻発しているにもかかわらず、日本にはまだそうした避難者を受け入れる本格的な施設がほとんどないのです。

 

 

 避難指示や避難要請に応じて、避難所となった公民館などに出向かれる方は大概、高齢者です。災害の危険性が高まっても、避難先が中学校の体育館だったりしたら、誰もが躊躇するのではないでしょうか。高齢者の方々はやむなく早めにそうした場所でも避難するしかないからそうするわけで、小さなお子さんがいる世帯などでは、不自由な避難所のことを考えると、どうしても躊躇してしまいます。

 

 

快適な避難所の建設を

 

 

 政府が指導して各自治体は、快適な避難所を建設すべきです。ログハウスのような簡素な造りでもこの際、文句はいいません。ろくな暖房施設さえない、板張りの底冷えのする体育館でブルーシートと毛布だけで我慢しなければならないのは、辛すぎます。ましてや今回のような激甚災害の場合、避難生活が長期化することが予想されます。長年住み慣れた家を失った方々には、せめて快適に過ごせる環境を整備するべきです。

 

 

 避難所生活を送る中で一番辛いのは、プライバシーが保たれないことです。やむなく体育館の割り当てられたわずかなスペースを段ボールの厚紙で囲ったりして、少しでも人目から守ろうと努力される様子を目にしたことがあります。涙ぐましい光景でした。もっと快適に過ごせるような環境作りの必要性を強く感じました。

 

 

 何々国体を開催する際に自治体は、巨費を投じて競技施設を建設します。が、国体終了後にはほとんどそれらの施設は利用されなくなり、維持費だけが毎年嵩むという実態があります。競技施設などよりも自然災害に備えて、被災者が快適に生活できるような施設を造れないものでしょうか。毎年、大規模な自然災害は起こるとは限りませんが、いざという時のための避難所として使用できる施設ならば、多少の維持費が掛かっても納税者は納得すると思います。

 

 

 「世界が変わる」前に政府や自治体がやるべきことはたくさんあるのです。「変わる」べきは行政側の考え方なのかもしれませんね。