明日を元気に生きるための「心の処方箋」

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残念無念!ラグビー日本敗退で「喪章」が意味すること

 残念無念!ラグビー日本がリベンジに燃える南アとの一戦に敗退しました。我らが15名のサムライたちは良く戦った。ワンチームを合言葉に史上初となる準決勝に挑んだものの、前回のワールドカップでの雪辱に燃える南アの気迫の前に敗退しました。数々の奇跡を起こしてきた日本代表選手たち。彼らの健闘にまずは労いの言葉を掛けてあげたいと思います。

 

 

平尾誠二の魂

 

 

 両チームがピッチに集結する際に、日本チームはユニフォームの右腕に喪章を付けていました。災害で亡くなられた犠牲者の方々を弔うためですが、もうひとつ忘れてはならないのは、奇しくも本日は日本ラグビーのレジェンド、故平尾誠二氏の命日でもあることです。あの喪章にはきっと本日のラグビー日本の劇的な躍進ぶりを天国から見守ってくれたであろう、平尾氏への思いも込められていたに違いありません。

 

 

 歴史的なゲームとなるであろう今日という日に、平尾誠二氏はいてもたってもいられずに、天国からピッチに舞い降りてきたのではないでしょうか。そして日本チームに力を貸してくれました。前半戦で南アに先制点を奪われ、その後も何度もトライを決められる寸前に、相手チームの反則に助けられる場面がありました。あれはきっと平尾氏が抑えくれたお陰だったのではないかと私は信じています。

 

 

 しかし日本は徐々にフィジカル面でも戦術面でも上回る南アチームに押され気味となり、点を奪われていきました。ウルトラマンの地球から300万光年も離れたウルトラの星、M78星雲からやってきます。でも怪獣を退治してくれるのは、限られた時間内と決まっていました。日本チームの助っ人として再びあの世から日本に舞い降りてきた平尾誠二氏も、やはり全試合時間をこちらの世界で過ごすことは許されなかったのでしょう。

 

 

 試合に負けても、ワンチームの合言葉で日本は一つになることが出来ました。これこそ偉大なる功績です。台風がもたらした激甚な被害で打ちひしがれた被災地の方々を、彼らはどれだけ力強く励ましてくれたことでしょう。本当に有難う。心から彼らに感謝の意を表したいと思います。

 

 

国家斉唱で落涙

 

 

 試合前に両国の国家が流れますが、日本の選手は一人の例外もなく君が代を斉唱していました。出身国の違いはあっても日本代表として試合に臨むのだから、彼らは立派な日本人なのです。そういう自覚を持つようになったのは、きっと主将のリーチ・マイケル氏やジェイミー・ジョセフヘッドコーチのサムライ・スピリットに感化されたからでしょう。日本人の持つ団結力、結束力の強さを彼らにしっかりと植え付けたのです。それ故、日本代表の15人はサムライというにふさわしい資格を有しているのです。

 

 

 君が代を斉唱した後、選手の中には涙を浮かべる人もいました。テレビカメラが選手ひとりひとりを映し出す中で、流選手は目に涙を浮かべていました。他にもいたはずです。あの涙は何のために流されたものでしょうか。自らのこれまでの選手生活を思い出しての涙。それもあるかもしれません。ついにこれまで日本ラグビーが経験したことのないところまでやってきたという達成感の涙。そうかもしれません。いや、もっと他に理由があった。故平尾誠二氏への思いが彼らに涙を流させたのかもしれません。

 

 

 試合前に平尾氏への思いから涙を浮かべることが、果たしてよかったのかどうか。涙はもっと後にとっておくべきだったのではないでしょうか。かくいう、私もあの場面でついもらい泣きしてしまいました。そして、しまったと思いました。涙を見せるには早すぎるのではないかと考え直したからです。そして、悪い予感は的中してしまいました。その後のゲームの成り行きはご覧になられた通りです。涙は力及ばずに敗退した時にこそ、流すべきでした。

 

 

次のW杯で本懐を

 

 

 侍は決して人前で泣くことはありません。感情を表に出すことは許されないのです。15人のサムライたちは最後の最後まで涙を流すべきではなかった。サムライ・スピリットはそこでぷつりと切れてしまったのです。

 

 

 日本チームのユニフォームに喪章があったこと。台風被害で亡くなられた方々へ向けた彼らの気持ちは本物です。日本中が「ワンチーム」だからこそ、喪章を付けたのです。あの喪章に誓い、試合に勝利してこそ、侍の本懐を遂げることになったはずです。サムライ・スピリットが今後、さらに昇華されていくことを願ってやみません。次のワールドカップで本懐を遂げていただきたい。