明日を元気に生きるための「心の処方箋」

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愛妻の葬儀でも涙を見せなかった「小林旭」心の慟哭

 マイトガイこと小林旭の最愛の妻、青山京子さんの告別式が24日、桐ケ谷斎場にて執り行われました。小林はかつて美空ひばりと未入籍ながら事実婚していた時期もありましたが、本当に入籍したのは、当時、演技派女優として全盛期にあった青山京子さんただ一人です。

 

 

 映画ではタフガイを演じることが多かった小林は、当然、女性にも大いにモテたはずですが、意外にも、たった一人の女性への愛を貫いたのです。そんな小林が最愛の妻を癌で失ったのです。亡くなったのは12日でした。それから十日余り経ち、23日に告別式と相成りました。その間、小林の心中は察するに余りあります。50年間も連れ添った妻に先立たれたのですから、どれほどの痛手だったことでしょう。

 

 

涙を見せなかった「マイトガイ

 

 

 喪主として挨拶に立った小林は、妻が生前に書道をたしなんでいたことから、書道家の小澤蘭雪さんが小林の持ち歌「北へ」や「ついて来るかい」などの名曲の歌詞を盛り込んだ詩をしたためたものを棺に納め、その詩の文言を引用しながら「皆様の熱き心を頂いて本人も悠々旅立つことができました。ありがとうございました」と最後を締めくくりました。

 

 

 しかし葬儀の間、一度も涙を見せることはなく、参列者へのお礼の挨拶をするなどして、終始、気丈に振る舞ったのです。それも小林旭なりの男としての振る舞い方なのかもしれませんが、マイトガイだろうとタフガイだろうと、男だって泣くべき時は泣いていい。最後まで涙ひとつ見せなかったものの、心の中では慟哭していたに違いない。そう思えてなりません。

 

 

 小林旭はまさしく昭和の時代の男です。男は人前で涙を見せるものではないときっとご両親から躾けられたことでしょう。江戸時代の武士は泣くことを禁じられていたのでしょうか。いえ、そんなことはありません。江戸時代よりずっと昔から、武士に限らず、高貴な身分の方々であろうとも男も泣くときは泣いていたのです。涙は女の武器などと言われますが、何も涙は女性だけの特権ではありません。

 

 

泣くべき時は泣くこと

 

 

 『源氏物語』に登場する貴族や武士も皆、よく泣きます。光源氏の美しい手元をみているうちに、郷里に残してきた妻の面影を思い浮かべて、涙を流す場面もあります。作者の紫式部が女性だからそういう場面を創作したと言うことではないと思います。もっとも、いくら光源氏が美しい手をしていたとしても、それで涙するというのは少々やり過ぎかなとは思いましたけれども…。

 

 

 男性にとって最も心の痛手が大きいのは、やはり伴侶を失った時です。もちろん女性も同じです。人生の伴侶に選んだ妻が癌という実に厄介な病により命を奪われてしまうのは、耐え難いことです。男が泣いてどこかいけないのでしょうか。男だって泣いていいんですよ。表情に出さずとも、心の中で慟哭してもいいのです。

 

 

 最愛の人に死なれたことで生じる心的ストレスは計り知れぬほど大きいのです。でも人は泣くことによって、感情を表にさらけ出せば、そのストレスは少しずつ軽減していきます。無理して自分の感情を押し殺し閉じ込めたままでいると、いつまでもストレスは吐き出されないままになってしまいます。心的ストレスをためこんだままでいると、うつ病に罹ることもあるのです。

 

 

 結婚生活が長くなると、お互いに意地を張りあったり、些細なことで喧嘩をしたりして、傍から見て夫婦仲が良くないように思えることがあります。でも一般によく言われるように、夫婦の関係は当人同士でしか理解しえないこともあるのです。一見、険悪そうな夫婦でも実は心の底ではお互いを強く必要としているもの。それが夫婦の絆です。その絆は他人には伺い知れないのです。

 

 

 夫婦喧嘩は犬も食わぬという諺がありますが、その意味するところは、要するに夫婦間、当事者同士にしか理解できない部分があって、他人にはわからない。お互いに深いところで理解しあえている夫婦だからこそ、些細な喧嘩くらいはほおっておいてもそのうち元のさやに納まる。言い得て妙だと思いませんか。

 

 

 とはいうものの、夫婦であっても所詮、他人同士だといういい方もあります。分かり合える部分の方が多いことでしょうが、どうしても理解できない部分も必ずあります。夫婦というのは、実に謎めいた関係ですね。当人でもよくわからないのに、他人が理解できなくても当然ですね。犬も食わなくても大いに結構。夫婦同士だけの唯一無二の特殊かつ特別な関係性。これが夫婦です。

 

 

 たとえ天皇陛下のご前であろうとも、5万人の大観衆の面前であろうとも、私はもしも人生の最大にして最高の伴侶たる妻に先立たれるようなことになったら、泣きに泣きますよ。涙が枯れ果てるまで泣き続けます。でも幸いなことに、私のパートナーはまだまだ元気ですし、恐らく不健康な私よりもずっと長生きするだろうと思います。それでいいのです。とにかく私より先立つことだけは勘弁してください。

 

 

 皆さんがもしも最近、些細なことで夫婦喧嘩をしたのならば、あなたが先に折れて謝りましょう。そして少しでも長く二人だけの楽しい時間を持とうではありませんか。人生はあまりにも短いのですから。