明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

「春一番」を待ちながら「春のジャズ」を楽しみましょう!

 北陸地方ではすでに「春一番」が吹きましたが、関東地方ではまだです。先週末の天気予報では、今週の月曜にもあるかもしれないとのことでしたが、いまだお預け状態が続いています。例年ならば、寒い冬はもう十分、早く春が訪れてほしいと「春一番」を待ちわびたものです。でも今年はそうでもありません。その理由は言わずもがな、新型コロナウィルスが日々日本国中に蔓延しつつあるからに他なりません。

 

 

 新聞やテレビのニュースでは日々、今日もどこそこで幾人の感染者が出たなどと報じています。その上、予防のためには必須であるはずの肝心のマスクや消毒アルコールが不足しています。ここ数日の間に少しずつ供給されるようにはなりましたが、どこで入荷情報を得たのかしれませんが、薬局の前には開店前から長蛇の列が出来ています。しかも一人ワンセットのみです。もっとも中国ではマスクの奪い合いで死傷者が出る有様だそうですから、日本人はまだ冷静なのでしょう。

 

 

 ネット上では、品不足につけこんでマスクを定価の十倍以上で売りに出す輩も出て、問題視されています。自主規制によりその手の”暴利”は削除されるようになりましたが、今度は妥当な金額を謳いながら送料が8000円、9000円という非常に馬鹿げた値段を吹っ掛ける「火事場泥棒」が出てきました。人の弱みにつけこむ、この手の輩には憤慨するばかりです。

 

 

 毎日、来る日も来る日も「新型ウィルス」のことばかりが話題になり、もう暗いニュースにはうんざりです。もちろん、まだ治療薬のない未知のウィルスが蔓延しているわけですから、感染予防は万全にと誰もが思っています。一応、政府が新型肺炎の感染基準を発表しましたが、何しろ初期症状では普通の風邪と見分けがつかない上に、早い段階から感染するといいますから、一体、どうすればウィルスから身を守れと言うのでしょうか。

 

 

 新聞を拡げれば新型肺炎の記事が、テレビのニュース番組を見れば新型ウィルスの話題。気持ちは落ち込む一方です。うつの方は症状が悪化する危険がありますから、特に注意が必要です。

 もうわかった。新型肺炎のことはしばし頭の隅に追いやって、ちょっとブレークしましょう。春の訪れを告げる「春一番」が吹く日も近いのですから、気持ちを切り替えてみましょう。

 

 

 ジャズの話をしましょうか。ジャズの演奏曲の中には、春に因んだ曲がいくつかあります。そんな「春」の曲をご紹介します。

 

 

 『It Might As Well As Be Spring』。邦題は『春の如く』です。ジャズマンが好んで演奏する曲で、ジャズのスタンダードナンバーの一つです。スタン・ゲッツアストラッド・ジルベルトのライブ盤も面白いのですが、私の一押しは、ブロッサム・ディアリーです。モノクロのジャケット写真では、大きな眼鏡を掛けていてまるで小学校の音楽教師のようです。つまり色気がまったく感じさせないジャケットなのですが、聴いてみると少し鼻にかかったような甘ったるい歌声で訥々と歌っていて、何とも言えないお色気があるのです。私自身がメガネフェチとかではありませんよ。ただジャケット写真とのギャップが面白い。しかも英語ではなく、フランス語で歌うのです。いやはや、こんな珍妙な組み合わせがあったりするから、ジャズは止められません。

 

 

 『April In Paris』。春というタイトルではありませんが、まあ春の曲ですからお許しください。この曲も様々なミュージシャンが取り上げていますが、もっとも美しくて繊細な演奏だと思うのが、チャーリー・パーカーのストリングスとの共演盤です。『チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス』の中の一曲。ストリングスをバックに縦横無尽にアドリブを展開するパーカーの感性の鋭さは多少の録音の古さを補って余りあります。ビ・バップの創始者のひとりとされるパーカーですが、アドリブ一発の強烈な演奏を評価する声が多いようです。でもこの『ウィズ・ストリングス』は、パーカーの音楽が目まぐるしいアドリブのフレージングばかりではないことを端的に表していると思うのです。

 

 

『I"ll Remember April』。スタンダードナンバーとして有名な曲です。この曲の極めつけはやはり何といっても、バド・パウェルのピアノトリオを挙げなければなりません。1947年の録音ですから、音はかなり悪いのですが、恐らくパウエルの最高傑作ではないでしょうか。激しいイントロから入り、目くるめく官能のネロディに打ちのめされます。この曲と『I Shouid Care』が特にお気に入りです。こちらももう涙と涎が止まらないほどの名演です。何しろオリジナルの旋律よりもパウエルのアドリブの方がより美しいというのは並大抵のことではありません。

 20年ほど前に六本木のジャズバーで店の退ける明け方頃に、バーのオーナーと一緒にこのアルバムを大音量で掛けて、二人して落涙したものです。

 

 

 いやぁ、ジャズって本当にいいものですね。