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戦後最大の危機「緊急事態宣言」で粗食・倹約のススメ

 ついにこの日がやってきました。首都圏などで新型コロナウイルスの感染者が急増している状況を受け、安倍総理は6日、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を7日に発令する方針を明らかにしました。

 

 

戦後最大の「危機」

 

 

 第二次世界大戦後、最大の危機と言われる「新型コロナウィルス」の世界的蔓延。6日現在、全世界での感染者数は累計で127万人以上、感染による死者は6万9500人に上ります。そのうちイタリアは1万5900人で最も多く、次いでスペインが1万2600人。累計の感染者数が最も多い国はアメリカで、33万8000人、スペイン(13万2000人)、イタリア(12万9000人)の順になっています。

 

 

 国内では6日現在、新たに感染が確認された人数は180人以上で、そのうち都内は83人。月曜日は休日明けのために検査件数自体が少なく、数字的にはふた桁台になっていますが、全国の感染者数は2日以降の4日間だけで1200人以上も増加しました。こうした感染者の急激な拡大に専門家の間からは、医療崩壊を招くリスクが極めて高いとの指摘もあります。

 

 

 小池都知事を始めとして感染者数の多い都府県からは、早く緊急事態宣言を発令するよう要望が出されていたものの、安倍総理は、これまで会見などで「爆発的感染を防げるか否かの重大局面だ」と危機感を表すに留まっていました。

 東京オリンピックの延期や外国人の入国を厳しく制限するなか、観光業や旅行業や小売り業などにさらなる悪影響が及ぶことを懸念して、なかなか「緊急事態宣言」の発令には踏み切れずにいました。が、これ以上の猶予は出来ないと判断し、ようやく7日に発令する運びとなったのです。

 

 

 緊急事態宣言を発令する理由として、総理は「人と人との接触を極力減らし、医療提供体制をしっかり整えていくため」と説明し、可能な限りの外出自粛を要請する一方で、東京都の小池知事は「海外のような都市封鎖(ロックダウン)は行わない」とも述べました。

 以前、小池都知事が緊急会見を開いて、不要不急の外出を控えるよう要請した際には、都内や近県ではスーパーなどにさっそく乾麺などの保存食やトイレットペーパーなどの生活必需品を買い占めに走る動きが見られました。このような「買い占めパニック」が起こらないように、「ロックダウン」しないと発言したわけです。

 

 

 とはいえ、緊急事態宣言の発動は初めてのことです。安倍総理がいくら丁寧に、公共交通や食料品、医療機関などは平常通りにサービスされると説明したところで、やはり「買い占め族」は素直に聞き入れるはずもありません。ロックダウンしなくても、そら、米だ、缶詰だ、トイレットペーパーだと我先に買い求めることでしょう。彼らはいくら説明しても聞き入れてはくれません。さすがに、戦中戦後の食糧不足は経験したことがなくても、今から50年ほど前に起こった「石油ショック」の時のことが忘れられないのかもしれません。

 

 

 非常時に一番怖いのは、根拠のないデマです。50年前に比べて今では、SNSを通じて、無責任な偽情報やデマが次々と拡散していくのです。まるでその様は「新型コロナウィルス」のようです。そして、デマが人々の間に浸透していき、トイレットペーパーなども買い占められるようになるのです。ある大手量販店では、ここぞとばかりにトイレットペーパーを商品棚にうずたかく積み上げていました。買い占めたいのでしたら、どうぞ。と言わんばかりでした。その手には乗らないようにしましょう。

 

 

 賢明なる皆さまには、言わずもがなかもしれませんが、念のために申し上げます。他国のようにロックダウン(都市封鎖)はありません。感染防止のために不要不急の外出は自粛することを求められますが、自宅から一歩も出るなと言っているわけではありません。それに食料品を扱う店は営業しますし、医療機関も同様です。何も慌てる必要はないのです。

 

 

「緊急事態宣言」の後遺症

 

 

 それでもなお一部の「買い占め族」は出没することでしょう。そしてインスタントラーメンやら冷凍食品やら米、果てはお菓子類まで買い漁るかもしれません。でも冷静になれば、そうした「買い占めパニック」がどういう結果をもたらすか、ご承知のはず。典型例がマスクです。シャープやアイリスオーヤマがいち早くマスクの生産に取り掛かりました。その他の中小企業も盛んにマスクの生産ラインを立ち上げています。

 

 

 どんな製品であろうとも、一斉に買い占められたら、在庫がいくらあっても商品棚は空になってしまいます。急いで発注しても製品の納入が購買のスピードについていけないからです。いつまでたってもマスクが品薄なのは、「買い占め族」が納入される日に何時間も前から行列を作り、開店と同時に棚を空にするせいです。冷静に考えれば、そんなに一世帯に50枚入りマスクが10箱も20箱も必要ありません。せいぜい2箱くらいあれば十分に足ります。

 

 

 戦後の一時期のように食料品が容易に入手できないわけではありません。食料不足になる心配は当面はありません。今のところは。でも日本経済は今回の「コロナ禍」により大打撃を被ることは確実です。夜遊びや飲み屋さんばかりではなく、外出自粛により我が国の経済全体が大きく後退を余儀なくされます。

 

 

 景気が急速に悪化していくと倒産に追い込まれる企業が増加します。言うまでもありませんが、経済は人々がモノを買ったそのお金で企業が設備投資などを行い、より良いモノを生産していき、それをまた人々が買うという風に、お金が回っていかなければ立ち行かなくなります。「自粛」によりモノを買わなくなる、旅行や娯楽を控えるようになる。これでは景気は悪化する一方です。そうした「後遺症」を恐れるあまり、安倍首相はなかなか「緊急事態宣言」を出せなかったのです。

 

 

 「新型ウィルス」との戦いはあとどれくらい続くのか、誰にも分りません。この病の「特効薬」ワクチンが開発されて、感染者を治癒出来るまで続くことでしょう。それまでは日本のみならず世界経済全体が大きく落ち込み、大恐慌に見舞われるかもしれません。そうなった時に、私たちはどうすればよいのでしょうか。

 

 

 あの世界的に大ヒットしたNHK朝ドラ『おしん』を思い出してください。極貧の生活で食事と言えば、だいこん飯しかありませんでしたね。それでもおしんは健気にもそんな粗食に耐え抜いたのです。

 

 

 経団連第4代会長の土光敏夫氏のことも思い出しましょう。鈴木善幸内閣時に掲げた「増税なき財政再建」を達成すべく、臨時行政調査会の会長に就任した土光氏はその辣腕ぶりを存分に発揮して、「土光臨調」と言われて高く評価されました。

 石川島重工業、東芝社長を歴任した大物財界人でしたが、質素倹約ぶりは私生活でも同様でした。当時のドキュメンタリー番組で土光氏の夕食風景が映し出されました。土光家は十二分に裕福なはずなのに、何と夕食にはイワシのメザシが主なおかずでした。それで「メザシの土光さん」というあだ名が付いたのです。

 

 

 人類の叡智を結集すれば「新型コロナウィルス」との戦いに必ずや勝利できると確信しています。が、「コロナ禍」の傷跡はしばらくの間、残るでしょう。多くの人命が奪われ、また莫大な経済的損失を被り、私たちは深手を負うのです。最悪の場合、企業の倒産が急増し、従業員とその家族は路頭に迷うことになるかもしれません。

 「コロナ戦争」に勝利した後には、私たちには大きな試練が待ち受けていることでしょう。状況は非常に厳しいと言わざるを得ません。そんな時に、おしんと土光さんのことを思い浮かべてみましょう。

 

 

 世界大戦で敗戦国となった日本は莫大な賠償金を課せられ、青色吐息の状態でした。それでも日本人はどんなに貧しい生活を強いられても、おしんのようにだいこん飯を食べ、土光さんのように一尾のメザシだけで我慢してきたのです。

 極力外出を控えなければならない今は、良い機会です。普段のような豊富な食材で豪華な料理を楽しむのは当面お預けにして、この際、粗食にしてみたら如何でしょうか。むしろ粗食の方が健康には良いという説もあります。一層のこと、今のうちに粗食に慣れて、倹約に努めようではありませんか。