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無派閥の「菅義偉」新総理誕生に期待したいこと

 あらかじめ用意された台本の筋書き通り。菅義偉氏が自民党総裁選で圧倒的多数の票を集めて選出されました。5つの有力な派閥からの支持を得られた菅氏に、対抗馬の岸田氏や石破氏はまったく歯が立ちませんでした。菅氏圧勝の裏では、例によって魑魅魍魎が跋扈する政界という”深い闇”の中で決められたわけですが、それについては今さら文句を言っても始まりません。

 

 

菅新首相の「手腕」

 

 

 新総裁に選ばれた菅氏は16日の臨時閣議で第九十九代首相に選出され、いよいよ菅内閣が発足します。新たな政権の下、「コロナ禍」という戦後最大の国難にいかに立ち向かうのか。まずはとくと菅氏の腕前を拝見しようではありませんか。

 

 

 菅氏が今回の総裁選に出馬する際、安倍内閣の継承ということを強く打ち出しました。安倍前総理は当初、後継者には岸田氏を推す考えでしたが、その後、新型コロナ対策での岸田氏の不手際もあって、心変わりしたようです。その頃には、安倍氏は持病が悪化して体調を崩し、気弱になっていたのかもしれません。すでに総理以上に政権運営に”剛腕”ぶりを示していた菅氏にバトンを渡す気になった模様。そこからの菅氏の総裁選に向けた動きは実に迅速で、二階幹事長に直談判して、一気にポスト安倍の最有力候補に躍り出たのです。

 

 

 それからはご承知のように、有力な派閥の支持をいち早く取り付けることに成功し、総裁選がスタートする前から、すでに菅氏の圧勝というシナリオが出来上がったのです。

 

 

 今が好機と見た途端に素早く動いた、菅氏の行動力には目を瞠るばかりです。そのあたりのしたたかさや貪欲さは数多要る2世議員のお坊ちゃまとは比較になりません。安倍総理の右腕として長期間にわたり官房長官として働いたことで、忍耐力も相当なものでしょう。とにかく、菅氏はなかなかの”切れ者”に違いありません。安倍前総理のようなサラブレットの血筋はありませんが、その分、したたかさをお持ちとお見受けしましたが、どうでしょう。

 

 

 前述のように菅氏は2世議員ではありません。その上、どこの派閥にも属さない政治家です。派閥がモノをいう自民党にあって、菅氏は異色の存在です。派閥の領袖からのお墨付きがあるわけでもないのに、ついに自民党の総裁まで上り詰めたのです。実は、派閥も持たず、世襲議員でもない一匹狼が総裁の座に就いたのは、1955年に自由民主党が結党して以来、初のことなのです。

 

 

初の「非世襲総裁」

 

 

 菅氏は失礼ながら、中曽根氏や小泉氏などルックス的にも見栄えのする政治家ではありません。どちらかというとさほど存在感のある方でもなく、凡庸な印象すらあります。とくに弁舌が立つということもありません。会見で言い間違いが多いと批判されるくらいです。しかし、朴訥とした語り口ながら、総裁に選出された際の会見では、組閣人事についても「前例主義」ではなく、自分の政策に合う「改革派」の人材を幅広く起用する旨、述べました。あの会見を見て、あれ?安倍政権の継承ではないの?と意外に思われた方も少なからずおられたのではないでしょうか。

 

 

 むろん、有力な派閥からの支持を得たからには、当然、各派閥からバランスよく大臣のポストを分け与えないわけにはいかないでしょう。最初から「居抜き」政権に甘んじるつもりならば、大臣ポストも継承させるでしょうけれども、その点については、「改革の意思のある人」を適材適所、幅広く起用したいと明言しました。ある程度は各派閥から大臣を起用せざるを得ないとしても、菅氏が十分に納得できる人材だけを入閣させるであろうことを期待したいところです。

 

 

 奇しくも第九十九代首相であり、結党以来、初めての世襲議員以外からトップに上り詰めたのです。総裁選後の会見で、改革という言葉を用い、前例に囚われないと明言した菅新総裁。組閣人事の顔ぶれを見た上で、批評したいところですが、「改革」を旗印に新政権を発足させるからには、派閥の枠組みだけに囚われずに、大いにその剛腕ぶりを発揮していただきたいものです。

 

 

 「前例に囚われない」「縦割り行政を打破したい」と思い切った表現を用いましたが、派閥からの圧力やら官僚の抵抗などにあうかもしれないというリスクは覚悟しているはずです。それでもあえて「改革」を断行すると明言したのは、なかなか勇気のいることだと思います。派閥に属さないからこそ、”しがらみ”のない政治が実現する可能性が高いかもしれません。

 

 

 安倍前総理が病気再発で辞任してから内閣支持率が急上昇したのはご承知のとおりですが、この勢いのまま早期に「解散・総選挙」に突入すべきだとの意見が党内で囁かれています。麻生氏などは、早期の解散の可能性について言及していますが、それについても、菅氏は否定的な考えのようです。「コロナ禍」での解散・総選挙は行わない、専門家がコロナは収束したとの見方を示すまでは、解散などは考えていないと菅氏は述べました。

 

 

「首相としての仕事をきちんとしたい」とはにかむような表情で語った菅氏。あの含羞を帯びた笑顔の裏には、きっと「居抜き政権」などとは言わせないぞとの強い決意を感じました。継承すべきは継承しても、自分の考える改革を断行したいという強い意志です。が

 

 

 NHKニュースを見ていたら、菅氏の故郷の秋田県の映像に空いっぱいに架かる見事な虹が映し出されました。まるで菅新総裁誕生を祝福するかのようでした。「コロナ対策」を最優先に、停滞した日本経済を菅内閣が立て直してくれることを願わずにはいられません。