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「河野太郎」行革担当相の「会見批判」発言は是か非か?

 政治家を志す者は、末は大臣か首相の座を目指すのは当然のことでしょう。事前に根回しがあったとしても、新たに総理大臣に任命された菅義偉氏が、”キングメーカー”の二階氏と知恵を絞って各大臣の人選に腐心する間、長年の夢叶うその瞬間が訪れるまで、今か今かと首を長くしていたはず。

 そしてついに官邸からお呼びが掛かった時には、思わずガッツポーズを取りたくなる気持ちを必死で抑えて、さも当たり前のような顔をしながら急いで駆け付けるわけです。

 

 

 当日、官邸で新閣僚の認証式が行われた後には、新閣僚に対する記者会見が開かれました。担当の大臣ポストに就いての初会見。官邸記者からの質問に答える新任大臣を有権者や国民は期待を込めて見守りました。たとえ会見の順番が後の方であったとしても、記者からの質問には真摯に答えるべきです。国民の「知る権利」を守る上で貴重な機会だからです。

 

 

 ところが、日付けの変わる頃に順番が回ってきた、河野太郎行革担当大臣は、いかにもご機嫌斜めの様子でした。記者からの質問にはごく短い受け答えに終始し、挙句の果てには、「前例主義、既得権、権威主義の最たるものだ。こんなものさっさと止めたらいいと思います」とキレ気味に語ったのです。

 

 

 確かに河野氏の会見が始まったのは、日付けが変わった午前1時頃でしたから、官邸から届くはずの吉報を待ち続けた後で、心身共に疲労困憊だったことは想像に難くはありません。とはいえ、国民にとっては新大臣の肉声を聞くことの出来る大事な機会です。記者からの質問は、国民を代表しての質問のはず。それを河野大臣はご自分の睡眠時間を減らされたことへの腹いせに、「さっさと止めたらいい」と言い放ったのです。一体、何を言っているのだか。

 

 

「さっさと止めらいい」?

 

 

 河野氏のこの発言は翌日以降、各方面で賛否両論を巻き起こしたのはご承知の通りです。「コロナ禍」で名を上げた吉村大阪府知事は「ものすごく大賛成」ともろ手を挙げて河野氏を持ち上げましたし、橋下氏も同調しました。田村憲久厚労相もテレビ番組で「言ってくれたなって感じです。大賛成です」と河野氏の発言を全面的に肯定してみせました。

 

 

 前例主義を打破すると語ったのは、菅総理でしたが、今回の会見は果たして「悪しき前例主義」に当たるのでしょうか。「各省庁に散って」の新大臣の会見にすることが、ベターでしょうか。

 組閣後初めて行われる新大臣への会見は、確かに前例に沿ったものかもしれませんが、あの場で順番に新大臣から直に話を聞くこと自体に意味があると思うのです。もしも会見が各省庁で同時に行われたら、国民は各大臣のその場の肉声を聞くことが出来なくなります。

 

 

 テレビの最大のメリットとは、ライブの映像に接することが出来る点です。収録された映像では、放映する番組に合わせて”尺”を決めなくてはならず、時にはカットせざるを得なくなる場合もあります。ライブ映像ならば、今、官邸で行われている新大臣の肉声をそのまま視聴できるのです。

 

 

 確かに一人ずつ順番に会見場に大臣をお呼びして会見を行うのは、河野大臣のように後の方の順番に当たった方は、どうしても待ち時間が長くなり、退屈で苦痛を強いられるのかもしれません。それでも国民にとっては、一人ずつ大臣が登壇し抱負を述べ、記者からの質問に答える姿を見られる貴重な時間なのです。今度の大臣はどんな人物なのだろうか、果たして信頼するに足るのだろうか、国民の厳しい目に晒されているということを新大臣は忘れてはなりません。

 

 

まるで「駄々っ子」

 

 

 河野氏はご自分の順番が来るまでの待ち時間を持て余して、ツイッターに連続投稿して「とうとう50分遅れ」などと書き込みました。よほど睡眠時間を削られるのがお嫌いのようです。でも大臣たるもの、たった50分間の待ち時間すら我慢できないようでは、とてもその職責に耐えられないのではないでしょうか。

 

 

 前例主義を打破する。菅総理はよくぞ言ったと思いましたが、国民の知る権利である「新大臣の就任会見」も悪しき前例かどうかは別の問題です。橋下氏の言う「翌日にあらためて会見すれば良い」も同様です。

 

 

 菅内閣の要の一つと言われる行革担当相ですが、その重要な任務を帯びた新大臣が深夜の会見のためにたった50分待たされただけで、ツイッターに散々文句を書き連ねるような人物で良いのでしょうか。まるで駄々っ子のようではありませんか。

 

 

 菅内閣が短期政権に終わるのか、それとも本格内閣として安倍内閣に続くような長期政権となるのか、まだ未知数ですが、今年中には解散・総選挙となる公算が大と言われています。早くも「ポスト菅氏」については、今回の総裁選挙で二位となった岸田文雄氏と河野太郎氏の名前が挙がっている模様。岸田氏よりも河野大臣が優勢との見方が有力です。

 

 

 国民の知る権利よりもご自分の睡眠時間の方が大事で、順番を待つ間も我慢できない「駄々っ子」のような一面が垣間見えた河野太郎氏。次期総理の「器」に相応しいのかどうか、甚だ怪しいと言う他ありません。まだ河野氏は「大臣の卵」に過ぎないのかも知れないのです。

 

 

 『マザーグース』の中に有名な一節があります。卵男・ハンプティ・ダンプティの詩です。

 

ハンプティ・ダンプティが塀に座った

ハンプティ・ダンプティが落っこちた

王様の馬と家来の全部がかかっても

ハンプティ・ダンプティを起こせなかった

 

 

 河野太郎大臣が菅内閣にとっての「ハンプティ・ダンプティ」でなければよいのですが…。