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「変異株」の封じ込みには「都市封鎖」しかない!

 いかに菅総理が現在の新型コロナ感染状況について「第4波ではない」と言ったところで、誰も額面通りにその発言を受け止めはしないでしょう。

 事実、政府分科会の尾身茂会長からして「今が第4波といって差し支えない」と認めているのですから、尚更です。

 昨年3月に第一回目の緊急事態宣言を発出してから、1年余り経ちましたが、一体、その間に政府は感染防止のために如何なる措置をとったのか。重傷者を収容する専門医療機関や病床を確保するなど、有効な方策を十分に講じてきたのでしょうか。

 

 

「お願い」の繰り返しのみ

 

 

 残念ながらその問いに対する答えはノーです。2回目の緊急事態宣言が発出されたのは今年1月の初旬でしたが、その後、第1回目の時ほどの人流の減少は見られず、感染状況は一向に好転しないまま、期間の延長をだらだらと繰り返したのは周知のとおり。

 すっかり「コロナ慣れ」してしまった昨今、政府はただただ国民に対して「お願い」を繰り返すばかりで、何ら具体的かつ効果的な手段を打ち出せずにいたのです。

 

 

 「コロナ慣れ」した”パリピ”(20代の若い世代)たちは、さらに感染力のアップした「変異株」の追い打ちを掛かられてはひとたまりもありません。たちまち日々の新規感染者数は急カーブを描いて増加し続け、尾身会長の指摘したような「第4波」の襲来を招くに至ったのです。

 

 

 第4波はまず大阪など関西圏から飲み込んでいき、必然的に東京、神奈川、埼玉、千葉など首都圏にも押し寄せました。散発的に各地で起こっていたパンデミックは、やがて日本全土を覆いつくすのにさほどの時間も要しません。今や日本は「変異株」という従来型よりはるかに凶悪化した「新型コロナウィルス」の猛威に押しつぶされる寸前なのです。

 

 

 「変異株」には数種類ありますが、日本で流行しているのは感染率、致死率ともに非常に高い「英国株」です。この変異株の発症の地であるイギリスでは、日本の感染状況の数十倍もの感染者と死者が出ています。イギリスに限らずフランスでも変異株の感染は凄まじく、実際にフランスでは全土で「都市封鎖」をして、国全体がロックダウンする非常事態に至りました。首都のパリではこれまでに何と3度の「ロックダウン」が実施されています。

 

 

 コロナウィルスの感染拡大を防止するために最も重要なのは「人流を抑えること」であると多くの専門家が指摘しています。ところが、「コロナ慣れ」したせいもありますが、さすがに高い民度を誇る日本人ですら、長引く「自粛要請」にはついにしびれを切らせてしまい、”自粛破り”行為が目立つようになりました。これが、今の「第4波」を招いた最大の要因となりました。

 

 

 安倍前首相ほど弁舌に長けていない菅義偉総理ですが、それでも何とか感染拡大に歯止めを掛けようと必死に国民に呼びかけを行っています。あまり”心に響かない”との批判はあるものの、とにかく「不要不急の外出自粛」などのお願いを繰り返しています。

 しかし、ただ「お願いする」だけではもはや感染予防の効果は期待できません。もっと「強力な」手段を講じなければ、いつまでたっても「コロナ禍」は収束することはないでしょう。

 

 

 ましてや従来型よりも”凶悪化”した「変異株」に対抗するためには、「まんぼう」こと蔓延防止等重点措置を適用したところで到底期待できそうにありません。感染者の爆発的増加により医療崩壊の一臂手前まで追い詰められた大阪では、吉村洋文知事が週明け早々にも国へ「緊急事態宣言」の発出を要請する模様ですが、緊急事態宣言の効果は限定的と思われます。もっと強制力のある、強力な方針こそが必要なのです。

 

 

即座に「都市封鎖」せよ!

 

 

 変異株を封じ込めるには、これまでのような”生ぬるい”方針では効き目がありません。もはやあの「切り札」を持ち出す以外にはなさそうです。ずばり「都市封鎖」です。実際に前述のフランスではすでに三度も全土を対象にし「ロックダウン」を実施しています。なぜ日本はやらないのでしょうか。

 

 

 初めから日本全土を対象にせずとも、日々、医療体制の逼迫度が増している「重点地域」だけでも、「都市封鎖」すべきです。政府はより強い措置を講じることの出来るよう、特措法を改正しました。そうです。やろうと思えば出来るのですから、この際、さらに特措法の特例として、「都市封鎖」を実施することです。

 

 

 東京オリンピックパラリンピックの開幕まであと3か月余りしかありません。もう時間がないのです。残された時間内で最大の効果をあげるためには、四の五の言っている場合ではありません。即座に開催都市の東京都を含む首都圏を「ロックダウン」することです。

 

 

 来月17日には、IOCのバッハ会長が訪日する予定です。バッハ会長はこれまで一貫して、東京五輪の開催の実現を言い続けてきましたが、さて、今度訪日した時には、果たしてどのような見解を発表するでしょうか。むろん、この期に及んでバッハ会長が前言を翻すようなことはないと信じたいところですが、東京都が予断を許さぬ感染状況にあることから、五輪の中止という最悪のシナリオも現実味を帯びてきたと言わざるを得ません。

 二階俊博幹事長が15日、政府与党としては初めて五輪の中止もあり得ると見解したことが国内外に波紋を呼びましたが、あの”不用意発言”はそうしたことの布石なのかもしれません。

 

 

 感染状況が一向に収束しないにもかかわらず、ほぼ静観するに等しい態度をとってきた日本政府は、もしかしたら、当初から東京五輪の開催実現を疑問視していたからではないでしょうか。IOCのバッハ会長はそうした開催国の思惑を忖度して、来月に訪日した際には、東京五輪を中止するという「最後通牒」を突き付ける心づもりでいるのかもしれません。

 穿ち過ぎた考えだといいのですが…。