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女子に嫌われる「手土産」ワースト3とは

 営業職に出張は付きものですが、以前に所属していた雑誌編集部でも取材先が遠方だったり、アポの時間帯が夜間の場合には、宿泊して翌日に帰社することがしばしばありました。急な出張で大急ぎでパソコンと資料類とともに一泊分の着替えを手にして、社を飛び出すという具合でした。そんな時に、新幹線やフライトの予約を手配してくれるのが庶務の女性方です。とくに週末に掛かる出張では、ホテルの手配も頼むこともあります。地方でひと仕事終えて帰社する際には、庶務の女性方にお世話になったお礼の印に、手土産を持参することが習わしでした。とはいえ、出張先の名産品を買ってくればいいというものではありません。手土産にもそれなりのノウハウがあるのです。

 

 

名物土産の落とし穴




 先日、上司が三重県伊勢市に出張しました。お伊勢まいりが目的ではありませんが、出発日の前日から周囲に盛んに伊勢神宮に寄ってから戻る旨、話していました。久しぶりの地方出張が嬉しいらしく、他部署の人たちにも喋りまくっていました。そして伊勢神宮まいりをして会社に意気揚々と引き上げてきた時に、あの有名な赤福を手土産に持ち帰ったのです。しかも、自分の部署のみならず複数の部署の分まで赤福を配り歩きました。その上司は自慢げに伊勢名物の赤福を庶務の女性に手渡しましたが、受け取った女性の表情が一瞬、変わるのを私は見逃しませんでした。


 確かに赤福はお土産の定番かもしれませんが、ご自宅用ならまだしも、ひと箱ずつ受け取った部署ではその”扱い”にほとほと手を焼いている様子でした。何しろ、ご存知のように蓋を開けると一面があんこで覆われているため、人数分に取り分けるのは極めて困難です。庶務の女性が嫌な顔をするのも当然でしょう。

 

 

 赤福を取り分けるには、箸かナイフでまず均等にもちが行きわたるように切り分けた上で、一人分ずつ皿に移した上、箸かフォークを用意しなければなりません。日頃の感謝のつもりが、とんだ厄介物を押し付けるようなものです。これではせっかくの手土産が台無しです。赤福はご家庭用にこっそりと持ち帰った方が無難でしょう。ということで、赤福は嫌われる手土産のワースト1とします。

 

 

 会社の経費削減策の一環なのでしょうか。最近では日帰り出張が奨励されるようになりました。日帰りですから、商談や取材活動などで朝から目いっぱい動き回り、なかなかお土産を選んでいる余裕がないものです。でもフライトの予約を手配してくれた庶務の女性方には、何か手土産を持ち帰らないわけにはいきませんね。そんな時に重宝するのが、東京駅の大丸などにあるスイーツコーナーです。

 

 

デコレーションケーキはNG

 

 

 クリスマスの時期には、洋菓子店のショーケースには見るからに女子が好みそうなデコレーションケーキがたくさん並んでいます。これなら庶務の方へのお土産に喜ばれそうだと考える方も多いかと思います。でもちょっと待ってください。クリスマスパーティならばデコレーションケーキを用意するのは大いに結構なことですが、ホールケーキを会社に持ち帰るのだけはやめた方がいいでしょう。あなたがホールケーキを部署の人数分切り分ける立場になったらどうしますか。たとえば5人分、7人分という人数にうまくカットして取り分けられるでしょうか。

 

 

 ただでさえ日ごろの業務で忙しいところにそんなゴージャスなホールケーキを持ち込まれた日には、きっと庶務の方はこう思うはずです。

「何だって私がこんな七面倒くさいことをしなければいけないわけ?食べたければ、あんたが切り分ければいいじゃないの。ふん!」

 

 

 ホールケーキをカットするのはなかなか技術がいります。一度やったことがある方ならおわかりだと思います。まずはデコレーション部分が偏らないように気を配りながら、大体同じ厚みに切り分けなければなりません。さて何とか人数分に切り分けたら、上役から順番に形の良いピースを配っていくと、下っ端社員に順番が回るころには、デコレーションはぐずぐずに崩れて下手をすれば、横倒し状態となった出来損ないのショートケーキに成り下がってしまいます。庶務の女性もうまく切り分けられなくてイライラがマックス状態だし、横倒しのケーキを割り当てられた新入社員も失望の色が濃厚です。せっかく奮発してお土産を買ってきたのに実に無残な結果に終わりそうです。残念な手土産ワースト2はホールケーキです。

 

 

高級フルーツの罠

 

 

 手土産とは限りませんが、お歳暮の時期には、産地直送の高級フルーツをいただくことがあります。それも大きな箱一杯に詰まった採れ立てフルーツです。ちょっと見栄っ張りな方が、銀座千疋屋のフルーツの盛り合わせを下さることもあります。さて、このフルーツもなかなかの曲者です。たとえば、産直のラフランスが送られてきた場合、人数分で分けて手渡せば済むわけではないのです。庶務の女性方は、どなた様から送られてきた果物ですよと説明した上で、箱からいくつかを取り出して給湯室で皮を剥いてカットしなければなりません。箱一杯のフルーツが届けられると、「おいしそうだな。食べたいな」と誰しも思うものです。そうした気持ちを汲んで、フルーツを切り分けないわけにはいかないのです。

 

 

 こんな話を聞いたことがあります。だいぶ以前のことですが、農家直送の完熟フルーツの箱詰めが送られてきた時、庶務の新入社員が人数分をまるごと手渡ししようとしました。そこへすかさず上司が小声で、

 

「そんな丸ごとお渡しするもんじゃないよ。皆さんに試食してもらうために、ちゃんと皮を剥いて切り分けてお皿に盛りなさい。それくらい気が利かなければ、結婚できないよ」

 

 今、こんなことを話したら、たちまちパワハラで訴えれますが、当時はそのあたりは今よりはフルーツのようにずっと甘かったようです。実際、誰に頼まれずとも自ら進んで、皮を剥いて食べやすいサイズに切り分けて、爪楊枝まで用意する女性がいましたが、彼女のように「女子力」のある女性はきっとすぐに良縁にも恵まれるのでしょう。数年で寿退社となりました。めでたし、めでたし。

 

 

 ということで、女子から嫌われる手土産のワースト1は、高級フルーツということにしておきましょう。ご参考になれば、幸いです。