明日を元気に生きるための「心の処方箋」

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「戦争」に勝者なしとプーチンは心得よ!

 ロシア軍のウクライナ侵攻から二ヵ月が経ちました。当初よりプーチン大統領ウクライナでの軍事行動は「侵攻」ではなく「解放」である旨、繰り返し国民に納得させようとし、その為に「偽情報」を公表することで国民の理解を得ようとしました。

 しかし日本を含め欧米諸国はロシアの主張は全く容認できないどころか、”フェイクニュース”であると断じました。戦禍のウクライナ国内で実際に起きている現状については、ゼレンスキー大統領の主張に明らかに歩があるようです。限られた映像や少ない情報の中で、唯一信頼できるのはウクライナ側からの「情報」であると西側諸国は判断したのです。

 

 

「軍事力」対「情報戦」

 

 

 ミサイル攻撃を受けて破壊しつくされたウクライナの都市の映像は、紛うことなき「真実」を物語っています。情報化社会という言葉はもはや使い古された感がありますが、今回のウクライナ戦争において、モノを言うのは「情報」に他なりません。侵略者・ロシアとウクライナとの間では、ミサイルによる攻撃だけではなく、「情報戦」を有利に進めることが極めて重要なのです。

 

 

 ゼレンスキー大統領は「情報戦」において長けているようです。国連での演説を始め、日本の国会でもオンライン演説を行い、西側諸国へのアピールを成功させました。対するロシアは、プーチン氏が公営放送を通じて自国民に向けてウクライナへの軍事行動の正当性を強調してはいますが、インターネットで世界中の情報がどこにいても入手できる「高度情報化社会」においては、いくら”大本営発表”を繰り返したところで、いつまでも国民を欺き続けることなど不可能でしょう。

 

 

 ロシアは米国や中国と並ぶ軍事大国であると認識されていました。しかし今回のウクライナ戦争では侵攻当初よりウクライナ軍の反撃を受け、戦車や軍艦「モスクワ」の沈没など大きな打撃を受けました。そこで判明したのは、ロシアの軍事力は確かに物量的には強力であっても、案外脆弱であったということです。

 プーチン氏はウクライナの軍事力など大したことはないと高をくくっていたようです。短期間のうちに首都キーウの陥落を達成できるはずと信じて疑わなかったのではないでしょうか。ところが、実際には侵攻の初期段階から思わぬ苦戦を強いられる羽目になり、停戦交渉も暗礁に乗り上げて、まったく攻めあぐねているというのが現状です。

 

 

 柔道8段のプーチン氏ですが、マッチョな男ぶりを殊更強調したがるほどの”肉体派”だけに、ウクライナなどすぐに打ち取って見せると言ったか言わなかったかは知りませんが、この戦争には絶対に勝利すると固く信じていたに違いありません。もちろん、戦争を仕掛けた張本人なのですから、最初から「勝ち戦」以外には考えもしなかったのでしょう。

 ところが、「情報化社会」においての「戦術」に関しては、ゼレンスキー大統領に大きくリードされてしまいました。ポピュリズムを背景に元コメディアンから国家元首にまで上り詰めたゼレンスキー氏には、ウクライナ国内のみならず全世界のマスコミをも味方に付けるだけの”手腕”が備わっていたのです。これはマッチョでコワモテが売りのプーチン氏にとって大きな誤算でした。

 

 

アメンボほどの「命」

 

 

 圧倒的な軍事力を誇るロシアのプーチン氏が勝利するのか。それとも軍事力では比べるべくもないウクライナのゼレンスキー氏が勝つのか。侵攻でも侵略でも戦争でも言葉の意味するところは同じです。どちらが戦勝国となるのか、全世界が固唾の飲んで注視しています。

 しかしそもそも「戦争」の真の勝者など存在するのでしょうか。戦争という人類にとって最も愚かな行為の結果がもたらすのは、何たる酷たらしい惨状でしょうか。

 

 

 人類の叡智が築き上げた文明。科学の進歩。我々が何世代に渡り営々と進歩発展させてきた文明が国家権力の都合によりいとも簡単に残骸と化してしまう。それが戦争です。人命は地球より重いと述べた日本の総理大臣の言葉は確かにその通り。事実、地球どころか紙切れより軽いのかもしれません。現代社会に生きる一人一人の命はいかほどの重さなのでしょう。きっと想像を遥かに超えるほど軽いに相違ありません。

 

 

 童謡『手のひらを太陽に』にこんな一節があります。

 

「ミミズだって オケラだって アメンボだって

 みんな みんな生きているんだ

 友だちなんだ」

 

 ぼくらはみんな生きている、というフレーズで始まるこの曲の言わんとしているところは、命あるものは皆、尊い存在なのだということ。しかし、その命の尊さが今現在、一人の独裁者によって踏みにじられようとしているのです。ミミズやアメンボほどに。いとも簡単に。

 

 

 ウクライナ戦争は長期戦になるとの見方がありますが、いずれは決着の時が訪れます。その時の勝者がプーチン率いるロシアなのか、ウクライナと西洋諸国なのか、予断を許さない状況です。ただ一つだけ言えることは、「戦争」には決して勝者などいないということ。戦争により多数の無辜の民が傷つき命を落とし、文明が破壊される。戦勝国となっても、国際社会から糾弾され国交は断絶し経済危機に直面するということ。

 

 

 地球上に生命が誕生し我々の祖先たる古代生物たちは進化し続けることで生き残り、やがて人類まで進化を遂げました。進化の過程にはたった一つの法則があります。個々の命をいかに次世代に引き継いでいくかという法則です。

 命こそが唯一無二の存在であるということ。その「命」を徒に無駄遣いする「戦争」には、勝者などあり得ないと心得よ、プーチン