明日を元気に生きるための「心の処方箋」

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「豪雨災害」と「コロナ禍」に見舞われた「終戦記念日」に思うこと

 終戦から76年経った8月15日、全国戦没者追悼式が東京・九段の日本武道館天皇皇后両陛下のご臨席のもと、執り行われました。

 戦陣に散り、戦禍に倒れた尊い命に静かに祈りを捧げるべきこの日に、「豪雨被害」とさらに変異株による感染拡大に歯止めが掛からない「コロナ禍」が重なった今年、1分間の黙祷の間に、人々の胸には様々な思いが交錯したに違いありません。

 

 

 天皇陛下のお言葉にも、先の戦争への”反省”といういつものフレーズに「新型コロナ」の文言が加わりました。「コロナ禍」に苛まれている国民に対して、深くご案じられるご様子がお伺いできました。むろん終戦記念の式典ですから、先の大戦についてのお気持ちは十分に伝わりましたが、やはり目下のところ、陛下が最もお心を痛めていらっしゃるのは、「コロナ禍」の国民のことでしょう。

 

 

「負の記念日」

 

 

 天皇陛下はもちろん「先の戦争」を直接経験なさってはおられません。終戦から76年を経た現在、陛下をはじめ大多数の日本人は”戦争を知らない子供たち”です。

 上皇陛下は皇太子時代に戦争とその終結を経験されました。そうしたご経験がおありだからでしょう、終戦の日に加えて長崎と広島に原爆が投下された日のこともしっかりご自分の体験としてとらえられて、両日には必ずお祈りを捧げられるのだそうです。

 

 

 言うまでもなく終戦記念日は敗戦国・日本にとっては「負の記念日」です。「負」というのは、しかし、決して戦争加害者の負い目から生じることではありません。戦争というのは、勝者にも敗者にも等しく「負の遺産」を残します。莫大な賠償金の支払い義務を負わなければならない敗戦国ばかりではなく、戦勝国も戦争により多大なる犠牲を払わなければなりませんでした。

 広い意味で戦争に勝者、敗者という単純な区別はなく、むしろいずれもが「敗者」にならざるを得ないのです。戦争を語る時、戦陣に加わった方や銃後の方も必ず同じ結論に達します。彼らのスピーチには、必ず決して戦争を起こしてはならなぬという言葉で締めくくられるのです。

 

 

 終戦記念日の15日、NHKに代表される大多数の日本のメディアは戦没者追悼式の模様を報じた後で、韓国の光復節の模様を伝えました。光復節とは、韓国が日本の統治から脱して独立したことを記念する日のことです。韓国は国際協定により日本が韓国に対して植民地支配などに対する賠償金を支払ったにもかかわらず、いまだに慰安婦問題や徴用問題に難癖をつけ続けていることは周知のとおりです。

 確かに韓国はかつて日本の植民地であったことは事実ですが、韓国だけが”被害者”ではありません。にもかかわらず、あろうことか日本のメディアはこぞって韓国の言い分に沿った形で韓国の「終戦記念日」もセットで報じるのです。これはアンフェアではないでしょうか。

 

 

 日本は原爆を実際に投下された唯一の被爆国です。長崎と広島にエノラ・ゲイが飛来し、そして無慈悲にも核爆弾を炸裂させたのです。戦勝国アメリカは原爆投下についてこれまで正当性を主張していました。が、2016年にオバマ米大統領が広島の平和記念公園を訪れて、原爆死没者慰霊碑に献花し犠牲者を追悼しました。その後、米国内でオバマ氏の行動について賛否両論がありましたが、少なくとも戦勝国としての”威厳”を保つことよりも戦争の犠牲となった人々へ哀悼の意を表することを選択したオバマ氏の決断はまさしくフェアでした。

 

 

人々の願い

 

 

 76年前に第二次世界大戦終結しました。その後も世界中で局地的な戦争や内戦は数限りないほど起きています。銃撃の犠牲者だけではなく、気候変動が原因の大干ばつ、大型台風や大洪水などの自然災害による死者数は数えきれません。

 自然災害の多い日本列島では、大型台風の上陸や大地震津波によりこれまでに多くの生命や財産が失われました。今も時ならぬ大豪雨に見舞われています。こうした災害は日本だけではありません。ドイツでも豪雨により大洪水が発生し、多数の死傷者を出しました。メンケル首相は洪水の発生は地球規模での気候変動の影響によるものと主張しました。

 

 

 15日の全国戦没者追悼式で天皇陛下が発せられたお言葉の中に「新型コロナ」というフレーズがありましたが、常に国民の思いに寄り添われようとされる陛下には、76年前の戦争の犠牲者と同様に現在も感染が収まらない「新型コロナ」についても随分とお心を痛められていることと拝察いたします。そして、前線の停滞により各地で甚大な被害を生じさせている豪雨についても。

 

 

 「コロナ禍」と「豪雨災害」に見舞われた今年の終戦記念日。戦争を経験された方も戦争を知らない戦後生まれの世代も思いは一緒です。戦争に勝者も敗者もないこと。戦争以外の要因でも多くの人命が奪われていること。地球温暖化の抑制に真剣に取り組まねばならないこと。「コロナ禍」が一日も早く収束しますように。