明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

「深川不動」で護摩と大太鼓に我が身を打たれること

 旧暦では今年の新年は1月25日でした。現代の日本人にとっては正月といえば1月1日元旦と決まっています。でも中国の春節のように今でも旧暦の正月を祝う国は意外にも多いのです。今年は中国の春節連休とともに新型コロナウィルスも中国国内から日本を含む世界中に拡大してしまいました。

 

 

 節分は冬から春への季節の分け目に当たる日とされ、いわば大晦日のようなものとされています。そのためこの日を過ぎると新たな年が始まると考えられています。

 

 

遅めの「初詣」

 

 

 節分はもうとっくに過ぎましたが、あらためて門前仲町深川不動堂にお参りに行きました。新暦の正月三が日には、当然ながら、初不動の参拝者でごった返すので、あえて旧暦の節分を過ぎた頃に少し遅い初詣に出かけることにしました。

 

 

 成田山新勝寺の別院として深川に建立された深川不動堂ですが、数年前に大規模な増築が行われ、ご本尊のお不動様は、正面の身代わり不動とは別に、左手の増築された部分に半円型に参拝席が設けられ、見上げるような高いところに鎮座されています。まるで劇場のような作りになっていて、ベンチシートに座り足を置くスペースにはホットカーペットまで敷かれていて、なかなか快適です。

 

 

 ご本尊のお不動様は高い天井近くの場所にいらっしゃるので、下から見上げると長年の護摩焚きの煙に燻されたせいで真っ黒なお姿になられています。目を凝らして拝見すると真っ黒なお姿ながら目だけがキラリと光ります。下々の者を高い場所からしっかりと睨みつけているようで、有難くて思わず手を合わせて拝みたくなります。

 

 

護摩焚きと大太鼓

 

 

 こちらでは、護摩祈祷を毎日、日に幾度も行っています。通常、午前中は9時と11時の二回あります。午後にも4回あります。今回、11時の護摩祈祷に行きました。

 

 

 まず度肝を抜かれるのは、ほら貝の音色と共に6名ほどの僧侶が祭壇に現れて、それぞれの定位置に付き、いよいよ御祈祷が始まる時です。祭壇には、左右に大太鼓と小太鼓が設えられ、僧侶が足を踏ん張りながら思い切りぶっ叩くのです。ドーン!ドーン!という爆雷の中にいるようなものすごい爆音。これには誰もが腰を抜かすに違いありません。不動真言や様々なご真言を唱える中、中央の祭壇では高僧がひとり黙々と護摩木を火にくべます。その炎が囂々と立ち上る様は、地獄の業火の如くです。いや、正確には護摩焚きの炎はすべての厄難を焼き尽くすお不動様のお力の表れなのです。

 

 

 護摩焚きの炎と大太鼓の轟音の中に身を置くうちに、昨年一年の間に降りかかった様々な厄が抜け落ちていくようです。20分ほど大太鼓と僧侶たちの読経の時間を過ごした後には、何だか魂が浄化されたように感じます。誠に有難い行なのです。

 

 

 もう20年以上も前から深川不動堂に毎年、節分が過ぎた頃に参拝して、この護摩祈祷を受けています。お坊さんが静かに厳かに経文を唱えるのを聞くだけでも、十分に有難い気持ちになりますが、あの燃え上がる炎と連打する大太鼓の轟音に接する時は、特別な体験をしたという気持ちになれます。

 

 

 お不動様はいかめしいお顔をされていますが、実は大日如来の化身なのです。すべての人々をお救いなさろうとされる大日如来様のお優しいお姿とはまるで正反対で、憤怒のご表情を浮かべていらっしゃいます。でもあのお顔は決して人々をお叱りになるためではなく、人々の煩悩をお許しになられるためのものです。

 

 

 お不動様のご真言を拝聴しているうちに自然に覚えましたが、古代サンスクリット語か何かのようで、さっぱり言葉の意味はわかりません。一応、調べてみましたが、すべての障害を取り除き、粉砕し給え!という激しい言葉のようです。山伏が修行の間中、不動真言を唱え続けます。それだけ霊験あらたかなご真言なのです。

 

 

 ご真言とは、魔法の呪文のようなものだそうです。これを唱えることで、お不動様のご加護が必ずや現れると言われています。信じるか信じないかはあなた次第です。もちろん。

 

 

獺祭の甘酒を

 

 

 さて午前中の最後の護摩祈祷が終わったところで、そろそろお昼になりました。ランチは何にしようかな、と実はそちらが目的だったりするのですが、ここは深川です。アサリなどの貝類をご飯と一緒に炊き込んだ、深川めしは有名です。でも、せっかく有難いご祈祷を受けた後ですから、今回はアサリご飯よりももう少し贅沢なものが食べたくなりました。食いしん坊の業の深さにはまったく変化はみられませんでした。

 

 

 深川めし以外で、何か美味しい食べ物を探しているうちに、鰻屋さんが目に入りました。鰻もいいですね。でも今回はちょっと変化球で、寿司屋に入ることにしました。寿司も鰻も十分に贅沢過ぎますけれども、厄難が払い落とされてその分、お腹が空いたのでは仕方がありません。

 

 

 深川不動の参道沿いには、土産物店や仏具店に交じって、獺祭と書かれたのぼりがはためいている店先があります。ここでは、獺祭という美味しい日本酒の酒粕で作る甘酒を販売しています。紙コップ一杯が400円とかなり高価ですが、これがすこぶる旨い。500ミリリットル入りのペットボトルに入った甘酒は何と1,000円もするのです。コーヒーよりも高価です。でもあの美味しさを一度味わってしまうと、どうしても高いのを承知で買ってしまうのです。

 

 

 お不動様のご利益は数知れずあれども、護摩修行の後のすきっ腹には、鰻か寿司が必要だと思うのです。誠に勝手な解釈ではありますが。それと忘れてならないのは、あの獺祭の甘酒です。深川不動堂を訪れた折には、是非とも皆さんも修行の疲れを美味しい食べ物と甘酒で癒してくださいね。