明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

サユリストを泣かせた「吉永小百合」密着ドキュメンタリー

 サユリストはきっと大泣きしたに違いない。10月26日OAされたNHK『プロフェショナル 仕事の流儀』で吉永小百合が初めてテレビ局の密着取材に応じました。最後の銀幕のスターと呼ばれる吉永。これまでその私生活はもちろんのこと、プライベートな映像すらほとんど明かされることはありませんでした。それ故、銀幕のスターたりえたのかもしれません。ご本人も、これが最初で最後の試みと語っていましたが、あれを見て、サユリストの方々はどのような感想を持たれたでしょうか。

 

 

女優・吉永小百合に疲れて

 

 

 主演映画『最高の人生の見つけ方』の撮影風景を中心に、吉永の演技にかける思いや考え方について、非常に短いインタビューでしたが、率直に語るところはとても好感が持てました。映画撮影の合間にインタビューに応えるという時間的な制限もあったのでしょう。もう少し掘り下げた話を聞き出してほしかったと思いました。移動中の車中でごく簡単な日常会話をする場面がありましたが、その時に吉永の本音が表れていたように感じました。

 

 

 こんな場面です。何気なく吉永が密着取材中のディレクターに、あなた、何歳なの?とたずねて、33歳と答えるディレクター氏に、若いわねぇと感嘆するのです。あとで、女優としての経歴を紹介する中で、33歳という年齢が吉永にとって大きな転機となったことが判るのです。

 

 

 学芸会で演じることの楽しみに目覚めた吉永。やがてその美貌が映画関係者の目に留まり、デビュー作がいきなり大ヒットとなり、アイドル女優となったことはご承知のとおりです。が、吉永自身は撮影の過密スケジュールのためにやむなく高校を中退してまでも、スター街道を駆け上っていったわけです。人気絶頂の頃に、ステージママたる母親の言いなりに女優・吉永小百合を演じ続けることに疲れ果て、親の猛反対を押し切ってフジテレビのディレクターだった現在の夫との結婚を強行したのです。

 

 

 そして結婚を契機にこれまでの清純派女優のイメージが出演作品とマッチしにくくなり、一時期、女優業を休むことになるのです。それでも吉永は自分は映画女優としてやっていきたいと強く思うようになったのが、まさしく33歳の頃だったといいます。このあたりの事情については、実は熱心な映画ファンならばある程度知られている話でした。もっと長時間を割いたインタビューが可能だったのならば、もう少し掘り下げた知られざる裏事情を吉永自身の口から聞き出すことが出来たかもしれませんね。もちろん、NHKのドキュメンタリーは優れた内容のものが多いことで知られています。撮影の合間に短時間ずつしか取材できなかったために、さらに掘り下げた話を聞きだすまでには至らなかったことが少し残念ですね。

 

 

 とはいえ、初の密着ドキュメンタリーですから、貴重な番組になったと思います。高倉健と共演した『動乱』の撮影では高倉と1年余りも一緒に過ごすことになり、高倉からいろいろと学んだと語っていました。同映画については賛否両論ありました。高倉と吉永の初共演という話題性はありましたが、吉永自身の演技はそれほど認められた作品でもなかったのです。高倉健の映画にかける情熱に吉永が感化されたということなのでしょう。

 

 

末期がんの役柄

 

 

 現在上演中の最新作『最高の人生の見つけ方』はジャック・ニコルソンモーガン・フリーマンの共演した映画のリメイクですが、天海祐希吉永小百合の女性二人を主役に替えて、末期がんで余命いくばくもない二人が最後まで自分らしく生きる姿を周りの人たちとの交流も交えて描く感動作です。末期がんにおかされた病人役を演じる吉永は本当にやつれ果てた容貌となり、サユリストでなくてももらい泣きしそうな感じがします。そして、今回が初の試みとなる密着ドキュメンタリーへの出演というのが、何となく映画のストーリーと今の吉永を重ね合わせてしまいます。本当に病気でなければよいのですが…。ジムで筋力トレーニングをする姿もありましたが、吉永さんは大丈夫なんでしょうね。ちょっと心配になってしまいました。

 

 

 そういえば、テレビ出演どころかインタビューすら滅多に受けなかった高倉健も、最晩年にはバラエティ番組に出演したり、インタビューに応じたりして、どうして心境に変化が生じたのだろうと訝しくも思ったものです。

 

 

 吉永小百合はいつまでも銀幕のスター然としていることに飽きたのかもしれませんね。これからは他の女優と同じようにごく普通に過ごしたいと考えたのでしょうか。吉永小百合、73歳。いつまでもお元気で、毎年1本ずつでいいですから、映画に出演し続けていただきたいと切に願います。サユリストの皆さんも、お元気で彼女をいつまでも応援してあげてくださいね。でも、何となく今回の『プロフェショナル』の吉永小百合の姿には、泣けてきますよね。無常ということを強く感じさせるに十分でした。