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英国「2度目のロックダウン」は「対岸の火事」ではありません!

 一向に感染拡大に歯止めが掛からない「新型コロナウィルス」。感染の第二波の最中にある欧州では、英国のジョンソン首相がついにイングランドウェールズスコットランド北アイルランドを除く)に対して二度目のロックダウンを開始することを発表しました。

 

 

 英国では今年3月に感染急拡大を受けてロックダウンに踏み切った経緯があります。「コロナ禍」による経済への悪影響は全世界規模に及んでいますが、特にイギリス経済は欧州のその他の国と比較してより大きなダメージを被りました。8月に発表された4月~6月の四半期のGDPの数値は前期比で20・4%減と、スペイン、イタリア、フランスなど同程度の感染状況にあった国々に比べても突出した数字でした。

 

 

二度目のロックダウン

 

 

 先月28日には、フランス、ドイツの両国が新たなロックダウンを導入することを発表したばかり。イギリスのインペリアル・コレッジ・ロンドンの研究チームによれば、イングランドの1日の新規陽性者数は10万人近くになるとのことですから、たとえ経済活動の低迷を再び招く結果になろうとも、ロックダウンはやむを得なかったのでしょう。

 

 

 先月31日の英国全土の新規感染者数は2万1915人、累計患者数が101万1660人と100万人の大台を超えて、英国もアメリカ、インド、ブラジル、ロシアなどの”感染大国”の仲間入りを果たしたことになります。これらの国の中で断トツなのがアメリカ。一日の新規感染者数は約10万人にのぼります。それでも、大統領選まであと数日となった現在、トランプ大統領は一向に「新型コロナ」に対して無関心のままです。

 トランプ氏ご自身が感染したにもかかわらず、いまだに「コロナなど恐れることはない」と言わんばかりです。いやはや、大統領選を前にしてますます”強気”の姿勢をアピールし続けるトランプ氏のタフネスぶりには、呆れるばかりです。英国が再度のロックダウンに踏み切ることとなった、世界の感染状況の中にあって、アメリカはどうするつもりなのでしょうか。

 

 

 

 一時はバイデン候補の優勢が伝えられましたが、トランプ氏は選挙戦の最中に感染した後、わずか数日間でコロナから復帰するという”離れ業”をやってのけました。その甲斐あってか、トランプ氏が猛追してきて、大接戦の様相を示すようになりました。よしんばトランプ氏が大逆転して大統領選を制したら、今後、「コロナ対策」はどうなるのか予測できません。何しろ「二度とロックダウンはしない」と明言しているくらいですから。

 

 

 もしも仮に現大統領がバイデン氏であったのならば、今頃は英国やフランスなど感染急拡大中の欧州諸国のように、ロックダウンに踏み切っていたかもしれません。少なくともトランプ氏のように新型コロナを軽視するような態度はとらなかったことでしょう。世界をリードし続けるアメリカ合衆国が「COVID-19」対策を誤るようなことがあれば、世界の秩序は大混乱に陥る恐れがあるのです。賢明なる米国人の良識に期待する他ありません。

 

 

対岸の火事」ではない

 

 

 翻って我が国の感染状況はどうでしょうか。全国一感染者数の多い東京都では、1日の速報値で116人と13日連続して100人の大台越えとなりました。前日の31日は215人で3日続けて200人を超える陽性者数でした。新規感染者数の高止まりも大いに問題ですが、さらに注目すべきはその内訳についてです。なんと陽性者数の6割の人の感染経路が不明なのです。

 

 

 安倍政権時代に始まった「Go Toキャンペーン」ですが、第一弾の「トラベル」、第二弾の「イート」に続き「商店街」もかなりの経済効果が見込めそうです。停滞した経済活動を活性化させるために政府が旗振り役となってスタートした同キャンペーンについては、確かに一定の成果が上がったかもしれません。

 でも「社会経済活動」のみの視点ではなく、最も重視されるべき「感染防止」の観点から言えば、「ステイ・ホーム」から脱却してどんどん外出しよう、旅行に出かけましょう、商店街でショッピングを楽しみましょうとすることによって、都市部に比べて格段に医療体制の脆弱な地方に「新型コロナ」を拡散させるという、深刻な事態を招いたことは否めません。

 

 

 実際に北海道では感染者数が急増したため、道が定める5段階の警戒レベルをこれまでより1ランク引き上げることを決めました。鈴木北海道知事は飲食時の感染防止を徹底するように注意を喚起しました。これは「Go Toキャンペーン」で感染が拡散したことに対する、知事なりの警鐘と見ることも出来ます。

 

 

 空気感染もあり得る「covid-19」に対して、私たちに出来る予防方法はあまりありません。それでも「三密」を避け、手指を消毒したりうがいを欠かさず行うことはもはや習慣となりました。他国ではマスクを着用しない人に対して罰則規定を設ける国も少なくない中、規律正しい日本人はそうした罰則が科せられなくても、ほとんどの人は交通機関や屋内などではマスクをきちんと着用しています。これは誇れることです。

 

 

 残念ながらそのマスクもこの新型ウィルスに対しては万能ではありません。政府の分科会でもその点についての言及がありました。ただ万全でなくてもマスク着用により、会話時の飛沫の飛散をある程度抑えることは出来ます。日本列島が冬本番を迎えつつある今、これからの季節に懸念されるのは、インフルエンザとのダブル流行です。

 

 

 実は、新型コロナよりも毎年、秋冬に患者数が増加するインフルエンザの方が死亡者数が圧倒的に多いのです。ある大手週刊誌が「インフルとコロナの”ツインデミック”はマスクを着用していれば大丈夫」と結論づけていましたが、あの薄っぺらい不織布で出来たマスク一枚で感染の予防は万全であるはずがありません。

 

 

 「神の国」日本が特別なのか、それとも日本人の律儀な性質が「新型コロナ」を遠ざけているのか。ともかくも、現在のところは欧米諸国のように「感染の第二波」により日々新規感染者がうなぎ上りという状況には陥っていません。しかし、遠からずやがては日本も「第二波」(あるいは第三波)に飲み込まれないとも限らないのです。

 英国の「二度目のロックダウン」は決して対岸の火事ではないことを肝に銘じなければいけません。