明日を元気に生きるための「心の処方箋」

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三度の「緊急事態宣言」発出に「虚脱感」しかない

 一体「まんぼう」とは何だったのでしょうか。蔓延防止等重点措置という長たらしい名称が与えられたところで、その効果は極めて限定的でしかありませんでした。緊急事態宣言よりもワンランク下の「まんぼう」ではあまりにも無力だったわけで、それならばもっと早い段階で、「緊急事態宣言」を発出すべきでした。

 

 

無策の極み

 

 

 日本政府の甘い見通しについて、外国メディアは「緩い制限は、(感染)拡大防止に失敗した」と報じ、さらに東京五輪の”強行”開催を進める政府の姿勢に対しても、「日本国民はますます不満を募らせている」と批判しています。

 

 

 今回で三度目となる緊急事態宣言では、飲食店の酒類提供の自粛要請を行うなど、前回の「宣言」よりは多少の規制強化を行ってはいるものの、諸外国のような「ロックダウン」などは実施せず、相変わらず国民に自粛要請のお願いをするばかりです。

 

 

 東京五輪を”安全に”開催させるためには、もっと強力な規制を行わなければ、現在の感染状況に歯止めを掛けることなど不可能。それは過去2度にわたり「宣言」を発動した際の効果のほどが如何ばかりだったのか見れば明らか。大阪と東京の二大感染都市に「ロックダウン」を掛けること。そこまでやって初めて「コロナ慣れ」で危機意識が希薄となった日本人の脳天にガツンと喝を入れることになるでしょう。 

 

 

 しかし実際には、周知の通り、この期に及んでも一向に政府は「都市封鎖」に踏み切ろうとはしません。飲食店での酒類提供の自粛、百貨店やショッピングモールなど大型商業施設の営業自粛。この程度で新型コロナ、特に「変異ウィルス」の感染拡大を抑え込められるはずもありません。中国・武漢で最初に発生した「新型コロナウィルス」よりも現在主流になりつつある「変異株」ははるかに感染力、重症化のリスクも高いのです。

 

 

 25日に発動された「宣言」によって、果たして政府の思惑どおりに「短期集中」で感染が収束に向かうでしょうか。誰がそんなことを信じるものですか。「まんぼう」の失策を認めず、ただ何となく「緊急事態宣言」ならば大丈夫だろうと考えているとしたら、これこそ「無策」の極みであると言わざるを得ません。

 

 

「二重変異株」も

 

 

 1年前を思い出してください。初めて「緊急事態宣言」が発出されたあの当時と今現在の状況を比較して、何が変わって何が変わらないのか。実際、何一つ変わってはいないのです。それどころか、事態はさらに悪化の一途を辿っています。一時は東京都の新規感染者数が二ケタ台まで下がり、このまま「COVID-19」は収束するかに見えましたが、それほど甘くはありませんでした。現代の”生物兵器”の脅威を今、私たちは否が応でも実感させられているのです。

 

 

 日々、救急医療の逼迫度は高まる一方で、そうした状況下の最前線で戦われている医療従事者の方々には、本当に頭が下がる思いです。自らも感染のリスクに晒されながら、重症患者の治療やケアに心血を注いでいらっしゃる方々のお陰で、何とかギリギリのところで医療崩壊というダムの決壊が起こらずに済んでいることに私たちは深く感謝しなければなりません。しかし、高いホスピタリティと責任感を以て日々戦い続ける方々もそろそろ肉体、精神の両面で限界が近づいています。

 

 

 爆発的なパンデミックにより医療崩壊に陥ったニューヨーク市では、一時期、患者どころか遺体の処置すら手が回らず、街中に遺体を積み込んだままの車両が立ち往生するという地獄絵のような光景が現出しました。今、日本でもそうした「地獄絵」が再現されるかもしれないのです。事実、重症化した患者を載せた救急車が搬送先の見つからない状況が半日以上続いたことがありました。

 

 

 これまでは欧米ですさまじいパンデミックが起こりましたが、幸いにも日本を含むアジア諸国ではそこまでの感染状況には至らずにいました。とはいえ、アジア系は大丈夫だと高を括ってもいられません。インドで現在、猛烈な勢いで蔓延している「ベンガル株」と称する「三重変異株」の存在が今後、日本人にとって新たな脅威となるかもしれないからです。インドでは「二重変異株」の蔓延と同時に「ベンガル株」も拡散していった経緯があります。この「二重変異株」はすでに日本でも2例確認されているのです。

 

 

 今回の第4波はそれ以前の感染状況に比べてはるかに危険な波であると専門家は口を揃えて警鐘を鳴らしています。感染拡大と共に変幻自在に性質を変貌させる「COVID-19」。すでにインドで大流行中の「二重変異株」が日本に上陸しているのです。いやもしたしたら「三重変異株」(ベンガル株)も密かに入国しているかもしれません。

 

 

 「変異株」によるパンデミックに見舞われている今、果たして政府の主張するように短期集中的な「宣言」のみでこの「変異株」を封じ込むことが出来るでしょうか。そして政府の思惑通りに東京五輪を開催できるのでしょうか。主催国である日本の国民の大多数が五輪開催に懐疑的です。当然です。

 

 

 「ロックダウン」もせずに前回の「宣言」時とさほど違いのない、緩い自粛要請のみで「短期集中」措置だと言い張る菅総理。効果がまったく期待できない、三度目の「宣言」発出に加えて、東京五輪を”強行”開催しようとする日本政府に対して、私たちは言い知れぬ「虚脱感」に襲われています。