明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

「五輪観戦」が「感染五輪」になりませんように!

 「まんぼう」こと蔓延防止等重点措置から"格上げ”しても、首都圏や関西圏の感染拡大は留まるところを知りません。それもそのはず、感染防止に欠かせない「人流」に目立った変化が見られないからです。

 これは決して他人事などではありません。私たち自身の生命にかかわる重大案件に他なりません。「コロナ慣れ」や「自粛疲れ」こそが今や私たちの裡にある「悪魔」だと心得るべきです。

 

 

 そもそもすべてにおいて遅きに失する政府のコロナ対策。三度目の「宣言」発出しかり、医療体制の確保しかり。最も罪深いのは、ワクチン接種の遅れです。接種を希望する全国民に二度のワクチン接種に必要な手当ては出来ていると政府は当初、説明していました。ところがどうでしょう。いまだに一度目さえ優先順位の高い医療従事者や高齢者への接種を完了させられるのはいつになるやらわからない始末なのです。来年の春までには、などと暢気なことを言っている場合ではないのです。

 

 

政府の危機管理能力

 

 

 米国製薬会社のファイザー製のワクチンの供給の遅れを言い訳にはすべきではありません。菅総理がわざわざワクチン接種推進担当大臣に河野太郎氏を指名したのに、何という体たらくでしょうか。ファイザー製に頼るばかりではなく、もっと他のワクチンが接種可能となるように、スピード承認すべきではないでしょうか。むろん、安全性を疎かにするわけにはいきませんが、他国のケースを参考にして、この際、石橋を叩いて渡ることよりもスピード感を以て承認していただきたいものです。

 

 

 一体、政府は三度目の「宣言」を発出するまでの間に何をしていたのか。「変異株」の蔓延であらたなパンデミックが起きる可能性は1年前から承知していたはずです。「3密」を避けよ、ソーシャルディスタンスなどと国民にお願いするばかりでは、新型コロナを封じ込めることは出来ません。日本政府には危機管理能力が圧倒的に欠如していると言わざるを得ません。

 

 

 二度あることは三度ある。この諺を政府はご存知ないのでしょうか。1年前からきちんと備えていれば、現在のような事態は避けられたかもしれないのです。備えあれば憂いなしと言うではありませんか。前回の「宣言」を解除した時から今後、再び同様のパンデミックが起きた時に十分に機能するように、軽症から重症患者まで入院治療の出来る医療体制を構築しておくべきでした。それをしなかったのは間違いなく政府の怠慢に他なりません。

 

 

 今まさに首都圏が関西圏のような爆発的感染拡大の最中、東京五輪開催までの秒読み段階に入りました。今月17日にはIOCのバッハ会長が訪日します。先月28日には、東京五輪組織委員会の橋本会長や開催地・東京都の小池知事らとバッハIOC会長らの5者会談が行われました。東京五輪への秒読みが続く中、着々と開催へ向けて進んでいます。

 

 

「感染五輪」の恐怖

 

 

 が、しかし。本来ならば日本代表選手を夢見る少年、少女の憧憬の対象であるはずの聖火リレーでさえも、この感染状況下ではままならず、聖火の灯りも小さくなる一方ではありませんか。今、日本人の大多数は東京五輪の開催に否定的です。ほとんどの人が望んでいないオリンピックなど、果たして開催する意味があるのでしょうか。

 

 

 平和の祭典であるオリンピック大会。いくら外国からの観戦客を受け入れなくても、各国からの代表選手が東京五輪に参加するために訪日すれば、当然ながら選手に随行する人たちも同時に来日します。各国の報道陣が自国の選手の活躍ぶりを本国に伝えるために大挙してやってくることでしょう。

 

 

 むろん、日本に入国するために事前のワクチン接種やPCR検査が陰性であることが条件になるはずですが、ワクチンを接種した後でも感染、発症するケースはあります。インドで爆発的に拡散した「二重変異株」や「三重変異株」が五輪関係者の中から出ない保証はないのです。本来ならば得られるはずのインバウンドが無くなったと嘆くくらいでは済まされない、極めて深刻な事態を引き起こすリスクが潜んでいる可能性が高いのです。

 

 

 海外からの観戦旅行者はなくなり、国内に限った観戦になりましたが、それも競技会場によっては「無観客」になるかもしれません。東京五輪のために巨費を投じて建設されたオリンピックスタジアム。6万8000人の席数を誇る大会場には、一人も観客の姿はありません。華々しく聖火が会場に入り、聖火台に点火される歴史的な瞬間を興奮のうちに見守る者もいません。広い競技スペースに集まった各国の代表選手たちだけがその瞬間に立ち会うことを許されるのです、主催国の日本人はそれらの光景をテレビ画面を通じてしてしか見ることが出来ないのです。

 

 

 私たちは「コロナ禍」における「新しい生活様式」を実践してきました。スーパーコンピューター「富岳」の計算によって、野外である程度の距離感を保っても、そよと風が吹くだけで飛沫が飛んでくることが判明しました。「COVID-19」の脅威は計り知れません。あっという間に英国を席巻した変異株「N501y」に日本もいつの間にかすっかり飲み込まれてしまいました。その上、インドの「二重変異株」もすでに上陸しています。危ない。東京五輪をこの状況の下で開催を強行するのは無謀過ぎます。

 

 

 17日に来日する予定のバッハIOC会長は今の日本の感染状況を見て、どう思うでしょうか。尾身茂政府・分科会会長が20日の会見でこう発言しました。

「五輪を開催するかしないかにかかわらず、日本に住む人々の健康と日本の医療を守るために、感染が拡大して医療が逼迫する状況は絶対に避けたほうがいい」

 最悪の場合には、「五輪観戦」が「感染五輪」にならないとも限らないことを政府やオリンピック委員会は肝に銘じていただきたいものです。