明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

「宣言」期限も「東京五輪」も『アンディサイデッド』!

 11日までの期限で”短期集中”して新型コロナを抑え込むという政府の目論見はものの見事に大外れに終わったことは、ご承知のとおり。政府は大阪府や東京都のような爆発的感染の起きている地域に愛知県と福岡県を新たに加えて、緊急事態宣言を今月いっぱいまで期間延長すると発表しました。

 

 

 今回で三度目となる「宣言」に、国民はもう飽き飽きしています。そうした現状にあって、徒に期限のみを延長したところでその効果は高が知れています。結局、感染状況は少しも改善されず、「変異株」はますます猛威を奮い、「人流」も「新規感染者数」も減少するどころか、逆に増加に転じてしまい、にっちもさっちもいかなくなってしまった…などという最悪の結末を迎えるかもしれないのです。

 

 

「五輪中止」を政局に

 

 

 菅政権にとっての喫緊の課題とは、「東京五輪」開催の是非についてです。先月の15日、TBSのCS番組に出演した二階俊博自民党幹事長が政府の要人として初めて五輪中止の可能性について言及したことが波紋を呼びましたが、これを機に政権内にも「五輪中止論」が囁かれ出して、さらに波紋は広がりを見せています。

 

 

 二階氏の”爆弾発言”の火消しに総理周辺は躍起となり、すぐに二階氏の談話として、あの発言は中止する方向を示したものではないという趣旨のコメントを発表しました。が、当の二階氏からしてその「釈明コメント」について、党幹部から問いただされた際に「勝手にしろ」と言い放ったそうです。つまりは、”本気”の発言だったわけです。

 

 

 緊急事態宣言について菅総理に”先手”を取られてしまった小池百合子東京都知事ですが、こと「政局」については抜群の直観力と感度を誇る小池氏だけに、失地挽回へのタイミングを完璧に捉えようと、まるで獲物を眼前にした肉食獣のように今にも飛び出さんと身構えているところです。小池氏の狙う「獲物」とはまさしく「五輪返上」という、現在考え得る最大の生贄です。

 

 

 この究極のカードを巡り、今まさに小池都知事菅総理との間では水面下で熾烈な暗闘が繰り広げられています。「五輪返上」を誰が先に言い出すのかを巡り、両者ともに一歩も引かぬ構えなのです。おお、何という浅ましさでしょうか。よりによって「東京五輪」を政局にするとは。許しがたいことです。

 

 

 今月17日に予定されているIOCトーマス・バッハ会長の来日は、「宣言」延長により見送られる模様です。バッハ氏は17日、18日の広島県での聖火リレーに合わせて訪日する意向を示していましたが、橋下聖子大会組織委員会会長が現在の感染状況を鑑み、「非常に困難」との見解を明らかにしました。このことからも今や世論はもちろんのこと、政権内にも「解散風」ならぬ「五輪返上風」が吹き出し、やがて台風の目のように成長しつつあるようです。

 

 

 米国の有力紙ワシントン・ポストが5日、バッハ氏のことを「ぼったくり男爵」と痛烈に批判する記事を配信、新型コロナ禍の中で東京五輪開催を強要していると報じました。同紙はバッハ氏のみならず貴族出身者の多い他のIOC委員についても「地方行脚で食料を食い尽くす王族」で、「開催国を食い物にする悪癖がある」と断罪したのです。

 

 

『アンディサイデッド』!

 

 

 IOCの「たかり体質」については今に始まったことではありませんが、いずれにせよ、菅総理が7日、「宣言」延長を発表した際に行った会見で「安全、安心の(五輪)大会は可能」と胸を張って語ったのとは裏腹に、今の感染状況が続く限り五輪の強行開催はあまりにもリスキー過ぎると言わざるを得ません。

 二階氏の「発言」を真摯に受け止めて、「五輪返上」をすっぱりと決めるべきタイミングを迎えていることは間違いなさそうです。

 

 

 「宣言」を短期集中的に11日で解除することが政府の目論見でしたが、それは「東京五輪」開催の最終段階にバッハIOC会長が訪日する日程に合わせるためでもありました。バッハ会長に聖火リレーが華々しく行われている場面を見ていただき、かように今の日本はコロナ禍からの脱却を果たしました、と示すつもりでいたのです。

 

 

 が、感染状況は一向に好転せずに、バッハ氏の訪日も叶わなくなりました。さて、次に決断すべきことは何か。そうです。小池都知事の流儀でいけば”政局的”な「五輪返上」であり、もっと穏やかにいくならば、菅総理ご自身が決断して都知事や五輪委員会、バッハ会長を交えて話し合い、誠に残念ながら「東京2020オリンピック競技大会」の中止を正式に決定することです。

 

 

 もうヘビの生殺し的なことがいつまでも続くのはご免です。緊急事態宣言の解除は今度こそ、今月いっぱいなのか。それともまた経済との両立を図るというにエクスキューズのために「自粛要請」のレベルを部分的に引き下げながら、ずるずると再延長するのか。

  東京五輪を開催するのか、それとも「返上」するのか。菅総理のお考えは…。その答えはおそらくこうでしょう。「アンディサイデッド!」、つまり「まだ決まってない」です。

 

 

 ジャズファンにはなじみ深い『Undecided』というナンバーがあります。エラ・フィッツジェラルドの歌唱が有名ですが、個人的には美人歌手・ビヴァリー・ケニーのアルバム『ライク・イエスタデイ』の一曲目で歌われる、コケティッシュな演奏が好みです。つんと顎を突き出したおすまし顔のイラストがとても素敵で、思わずジャケット買いしてしまいそうなアルバムです。

 スウィングジャズ時代からビバップモダンジャズに至るまでジャズマンが好んで取り上げる佳曲として知られています。ヘンなタイトルですが、その由来については巷間こう言われています。

 作曲者が自分の所属するバンドリーダーから曲名を尋ねられて、まだ決めていなかったため「未定です(Undecided)」と咄嗟に答えたところ、それがそのままタイトルになったそうです。

 

 

 ジャズの世界ならばジョークで済みますが、総理のお答えとしては、まったく洒落にもなりませんね。