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「沢尻エリカ」逮捕で問われるNHKの「危機管理」

 女優の沢尻エリカ合成麻薬MDMAの所持で逮捕されたニュースは、テレビ界に大きな衝撃を与えました。来年のNHK大河ドラマ麒麟がくる』で、斎藤道三の娘・帰蝶で、後に織田信長正室となる濃姫役を演じるため、初回放送まで2か月を切る中、撮り直しが不可能な状況だいいます。

 

 

 麻薬関連での逮捕といえば、今年3月にNHK大河ドラマ『いだてん』に出演中のピエール瀧がコカイン使用で逮捕されたことは、記憶に新しいところです。そしてまたしても大河ドラマの役者が逮捕されたわけです。一年間を通して放映される大河ドラマといえば、NHKを代表する番組です。一度ならず二度までも出演者が違法薬物で逮捕されるとは、異常事態といわざるをえません。大河ドラマを制作するNHK側の危機管理不足が厳しく問われなければなりません。

 

 

制作費に見合う視聴率か

 

 

 そもそも大河ドラマは民放テレビ局の予算の数倍から十倍近くを掛けて制作することが知られています。それだけに質の高いドラマを作り続けられるのです。ことに大河ドラマともなると、民放ドラマの比ではありません。私たちの受信料収入から潤沢な予算を掛けて制作されます。そのわりには、最近の大河ドラマの評判はあまり芳しいとは言えませんね。

 

 

 特に現在放映中の『いだてん』は、ラグビーW杯と被ったこともありますが、視聴率が数パーセントという体たらくでした。確かに、『いだてん』よりも素早くピッチを走りまくるラガーマンたちを観ている方がはるかに面白かったですよね。

 

 

 巨額の制作費をつぎ込んで番組作りをする大河ドラマですから、当然ながら、キャスティングには十二分に気を配っているはず。と思いたいところですが、どうやら実際にはそうでもなさそうです。

 とある民放局の幹部がこんな話をしてくれました。

 

 

「我々民放局では、まずキャスティングありきでドラマ作りはスタートするのが普通です。そのために局では、視聴率が稼げそうな女優や俳優を擁する芸能事務所と常日頃から良好な関係を築くように心掛けています。人気女優や俳優を起用するためには、遅くても1年半以上前からスケジュールを抑えるのが常識です。もしもその主演女優なり俳優が何か問題を起こしたら、大変なことになるので、たとえば薬物の噂のあるなしなどのウラ情報も含めて秘密裡に情報収集することは欠かせません」

 

 

 民放局の場合には、視聴率ですべてが評価されるので、そうした涙ぐましい努力を惜しまないようです。NHKのように、大河ドラマの視聴率がたとえひと桁台の前半などという結果になろうとも、平気でいられるはずもないのです。民放局にとっては、ドラマやバラエティ番組のMCのスキャンダルは死活問題になりかねないから、必死なのです。出演者に対する日ごろからの”情報収集”に熱心ということは、言い換えれば、危機管理がしっかりしている証拠でもあります。

 

 

 テレビ局では、全番組を決める部署に編成局があります。編成局の最も大事な役割としては、MCや主演女優、俳優の「潜在視聴率」を見極めることです。潜在視聴率というのは、その司会者やタレントがどれくらいの数字=視聴率を取れるかを数値化したものです。毎年、その数値はタレントの実績を見て、決められるのです。その数字によって、出演料も決めらます。

 

 

 視聴率がすべてという民放局では、潜在視聴率と共に重視するのが、前述した”情報収集”の結果です。つまり、番組のスポンサーを納得させる材料として、潜在視聴率とキャスティングしたタレントがどの程度”安全”で信用できるのかが非常に重要なポイントになるのです。

 

 

「危機管理」の欠如

 

 

 沢尻エリカに話を戻しましょう。沢尻に関しては、テレビ局のみならず芸能マスコミの間でも、「安全性に大いに問題ありの要注意人物」との認識で一致していました。主演映画の舞台挨拶で司会者からの質問に不機嫌そうに「別に」と発言してバッシングを浴びたことがありました。また某クリエーターとの泥沼離婚騒動を起こしたりもしました。芸能記者でなくても、”エリカ様”は相当に”要注意人物”であることは容易に想像できました。

 

 

 NHKは番組作りをスポンサーに頼る必要がないので、さほどスキャンダル情報には驚かないのかもしれません。それでも、NHKを代表する大河ドラマの主要キャストにそうした”要注意人物”を起用すること自体、危機管理が足りないのではないのかとの誹りを受けても仕方がありません。今回の沢尻の合成麻薬所持容疑での逮捕は、そうしたNHKの”体質”が表れているように思えます。

 

 

 キャスティングはドラマでもバラエティ番組でも、その成否を大きく左右する要素です。少なくとも、民放局ではドラマの内容よりもキャスティングを最優先した番組作りが常識です。NHKは民放局とは違い、スポンサーの顔色をうかがう必要はないけれども、少なくともキャスティング時にそのタレントなり女優がどれくらい”信用”できるのか、きちんと調べるべきではないでしょうか。日ごろ、受信料収入の上にどっかと胡座をかいていたNHKの体質が、今回のような事態を引き起こしたともいえそうです。NHKは襟を正して、しっかりと「危機管理」を徹底していただきたいものですね。