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異常気象に耐え抜いた「ボジョレーヌーボー」を味わえる幸せ

 11月の第3木曜日は、ボジョレーヌーボーの解禁日です。最近では、ニュース番組の扱いもごくささやかなものですし、以前のようなお祭り騒ぎもなくなりました。今年は、勤労感謝の日を祝して、ボジョレーヌーボーを味わうことにしました。高価なワインではありませんが、ボジョレーを味わえる幸せをあらためて実感した次第です。皆さんは、今年のボジョレーは如何でしたか。

 

 

今年は上出来

 

 

 以前の好景気の時には、解禁日の前夜から銀座や六本木などのフレンチレストランやワインバーは貸し切りとなって、日付けが変わるのと同時にワインをグラスに注いで、乾杯!と大騒ぎする光景があちこちで見られました。その後、景気後退とともにそうしたお祭り騒ぎは鳴りを潜めるようになりました。

 

 

 11月第三木曜日を出来立てホヤホヤのワインの解禁日とするとはいえ、フランス産のワインの話です。今や日本各地にワインの産地があり、2016年5月に開催されたG7伊勢志摩サミットでは、12本の日本ワインが供されて、好評だったそうです。ボジョレーヌーボーも大変に魅力的なワインですが、日本のワインが世界的に評価をえられるようになった現在、日本ワインにもボジョレーの解禁日のようなイベントがあってもいいと思います。

 

 

 今年のボジョレーヌーボーは、ボジョレーワイン委員会の発表によると、天候が悪かったにもかかわらず、バランスの良さ、フレッシュさからして、魅力的なワインに熟成する可能性があるそうです。とはいえ、今年はブドウの生育にとっては非常に厳しい気象条件だったようです。異常高温や低温に大雨による被害も出る中、これだけの出来の良いワインが生産されたのは、奇跡的なことなのかもしれません。

 

 

悪天候を乗り越えて

 

 

 異常気象はフランスだけではありません。日本も今年は大型台風が何度も上陸して、農作物に大きな被害をもたらし、家屋が全半壊不自由な仮暮らしを強いられておられる方も大勢いらっしゃいます。そんな荒天続きの日本列島にあって、たとえば宮城県では米が豊作となりました。地球規模で起こる異常気象に耐えて耐え抜いた農作物のひとつが、今年のボジョレー地方のブドウであり、日本の米作なのです。

 

 

 11月23日は日本国憲法が制定される以前には、新嘗祭と呼ばれていました。今年1年の農作物の収穫を神様に感謝するという祝祭日でした。国は違えども、フランスのボジョレーヌーボーの解禁日も「新嘗祭」とほぼ同じ時期なのは、偶然の一致ではないような気さえします。不思議な感じです。

 

 

 前述のとおり、フランスのボジョレー地方では異常気象が続きました。4月には氷点下に近い低温になり霜が降り、5月には雹害が起きました。さらに7月には異常高温、8月に大雨と、ひどい天候が続いたそうです。それでも、何とかブドウの生育は持ち直して、上出来のボジョレーワインが出来上がったのです。

 

 

 異常気象に耐え抜いたブドウから作られるボジョレーヌーボー。バブル期に、その意味さえ理解せずにフランスの真似をして大騒ぎをしていた頃には、考えもしなかったことです。今年のボジョレーは、ちょっと甘いとか何とかわかったようなことを口にして、悦に入っていたことを恥じ入るばかりです。

 

 

 フレンチレストランを貸し切りにしなくても、出来立てのボジョレーを味わうことは出来ます。もちろん、お店側にしてみれば、ボジョレー飲みたさに予約がいっぱいになった方が喜ばしいに違いないでしょうけれども。日本人はお祭り騒ぎが大好きです。ハロウィンの日にどこからともなく渋谷に集結してくる若者たちのように、ただ騒ぎたいだけの方々も大勢います。お花見もそうですね。上野恩賜公園などの名所では、見事に咲き誇るソメイヨシノはそっちのけで、ただの飲み会と化したグループがあちらこちらで騒いでいます。

 

 

 別に違法行為をするのでなければ、多少の大騒ぎはまあ仕方がありません。でも花見という目的を見失うようでは、意味がないと思うのです。ただ大酒を食らって騒ぎのならば、別の場所でやってほしいものです。むろん、他人に迷惑の掛からない所で。好景気に沸いていたあの頃、ボジョレー解禁を肴に大騒ぎをしていたのも、花見の酔っ払いやハロウィンのバカ騒ぎと同じようなものです。若気の至りだったと反省しきりです。

 

 

 今年のボジョレーヌーボーを静かに味わいました。天候不順を乗り越えて立派に育ったブドウです。そこから作られた新しいワインの味は格別です、有難くいただくことにしました。年齢を重ねると少しは学習するものです。ボジョレヌーボーの解禁日にフランス人があれだけ大喜びするのには、意味があるのです。その意味がようやくこの年齢になって理解できるようになった気がします。

 

 

 異常気象に耐え抜いたボジョレーヌーボー勤労感謝の日に味わえるのは、幸せなことですね。「新嘗祭」の五穀豊穣を感謝するのと同様に、今年のボジョレーを有難くいただきましょう。