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老兵は死なず「ストーンズ」名盤発売50周年に思うこと

 ダグラス・マッカーサー連合軍最高司令官が戦後支配していた日本を去る際に、「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」との有名な演説をしたことはよく知られています。でも老兵は老兵でも、ロックンロールの世界では、「消え去るのみ」の数多のバンドの中にあって、しぶとくバリバリの現役で活躍しているのが、ザ・ローリング・ストーンズです。彼らの残したアルバムに、歴史に残る名盤中の名盤と呼ばれている、『レット・イット・ブリード』があります。同アルバムは1969年に発売されてから、今年で50周年になります。ということで、ストーンズについてお話しようと思います。

 

 

ロックはライブステージが命

 

 

 このところ60年代、70年代に活躍したロックレジェンドたちのアルバムが豪華BOXセットにして再発されるようになりました。我らストーンズも同様で、同アルバムがこのほどデラックスエディションBOXセットとして発売されました。SACDとCD、レコードがセットになって、お値段が25300円もします。売りはモノラルの初CDとSACDが入っていることで、その他、諸々の付加価値を付けて限定販売されました。まあ、よほどコアなマニア向けの商品といえそうです。

 

 

 さすがにいくら貴重な限定版とはいえ、値段を考えるとなかなか手が出ませんが、もしもこのアルバムを初めて聴きたいと思われる方がいらっしゃるのならば、こんな豪華BOXセットではなくても、普通のCDでも十分に楽しめますからご安心を。そして、50年を経た今、聴いても少しも聞き飽きない素晴らしい内容のアルバムですから、購入されて絶対に損はありません。

 

 

 ストーンズの凄さはいまさらお話するまでもないのかもしれませんが、いまだにコンサートツアーを行う現役バリバリだという点に尽きます。やはりロックンロールはライブが命です。ライブよりもレコーディングに力点を置くロックミュージシャンもいますが、かのビートルズでさえ、初の日本公演の後、レコーディングのみの活動となりました。結果、バンドは空中分裂してしまいました。やはり、ロックはライブでこそ真価を発揮するもので、レコーディングだけでは不十分だと私は思います。

 

 

 ビートルズのことはさておき、ストーンズについて。何しろ結成されたのは、1962年です。東京五輪よりも2年も前のことですよ。それから延々と現在に至るまで、一度も解散することもなく、活動を続けています。当然ながら、メンバーの年齢もミック・ジャガーが76歳、キース・リチャーズが75歳、最年長のチャーリー・ワッツは78歳と皆さん、かなりのご高齢です。ミックは最近、心臓の手術をしましたが、今ではすっかり回復した様子で元気に飛び跳ねる動画が公開されました。ロン・ウッドは2年前に肺がんの手術をしています。それでもいまだに元気いっぱいにステージでロックンロールしちゃうところがスゴイ。そう思いませんか。

 

 

時の洗礼を受けて

 

 

 そんな彼らがまだ20代の若造の頃に制作したのが、『レット・イット・ブリード』です。いまだに彼らのコンサートのクライマックスには、このアルバムに収録されている『ギミー・シェルター』『ミッドナイト・ランブラー』を演奏します。いやぁ、もう最高にご機嫌な演奏ですよ。

 

 

 絵画、彫刻などのアート作品は時を経ても色褪せない魅力を持ち合わせていなければ、本物ではないと言われます。時の経過が芸術の真価をあぶりだすと言ったところでしょうか。その意味では、小説もそうですし、ロックンロールも同様だと思います。そして、発売から50年という節目に『レット・イット・ブリード』の豪華BOXが再発されるというのは、まさしくこのアルバムが永遠の名盤であることが証明されたのです。

 

 

 70年代の中ごろあたりからニューヨークやロンドンを中心に規制のロックンロールに対抗すべく、パンクロックあるいはニューウェイブと呼ばれるバンドが一世を風靡しました。その代表格はセックス・ピストルでしょうか。リーダーのジョニー・ロットン(ライドン)は、当時、勇ましくストーンズなんかぶっ飛ばせと言ったとか言わなかったとか。ともかくそんなセックス・ピストルはその後、どうなったのか。時の洗礼を受けた結果、バンド自体がとっくになくなり、ライドンも一応、活動はしているようですが、ぼちぼちといったところです。彼らのようなパンクまたはニューウェイブバンドが束になってかかっても、ストーンズには遠く及ぼなかったのです。

 

 

 結成から57年経っても、いまだに現役のロックンロールバンドであるローリング・ストーンズは、時の洗礼を受けてなお、活躍中です。こんな生きたレジェンドはなかなかいないでしょう。今後もストーンズのようなバンドが出現するのかどうか、わかりません。それくらいスゴイことだと思うのです。

 

 

 時の洗礼を受けたストーンズをもう一度、聴き直そうではありませんか。もしや皆さんの中には発売以来、ずっとあのアルバムを聴き続けている方もいらっしゃるかもしれません。私は中学生の頃に初めて聴いて以来、虜になった口ですから、まだファンとしては若輩者ですね。先輩方には大変に失礼を致しました。でももしまだあの名作を聴いたことがないのならば、是非とも、聴いて下さい。時の洗礼を受けたロックンロールの凄みを体験してください。元気が出ますよ。ところで、あのアルバムには、「このレコードは大音量で聴くべきです」との但し書きがあります。ヘッドフォンではなく、スピーカーからの大音量で堂々とロックンロールするストーンズを楽しんで下さいね。