明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

「クリスマス」の祝祭ムードを楽しめない「うつ」の辛さ

 師も走るという師走の忙しなさは、うつの方々にとっては、本当につらいものです。でも師走のやるせない気分をさらに増幅させるのが、実は「クリスマス」なのです。クリスマス・イブはもちろんのこと、12月に入った途端に世の中がクリスマスのムード一色に染まるのを、どんな気持ちで見ているのか、なかなか理解されにくいものです。街中がイルミネーションに溢れ、人々が浮かれだす状況の中、自分だけはどうしても祝祭ムードに浸ることが出来ずに苦しんでいるのです。

 

 

クリスマスを楽しめないつらさ

 

 

 週末を控えた金曜日の夕刻に道行く人々がこれから始まる休日を思って、浮足立っているのが何となくわかるものです。別にニコニコしながら陽気にステップを踏みながら歩いているわけでもないのに(当たり前ですが)、通り過ぎる若い会社員やOLさんの表情には、ウィークデイのそれとは明らかに違った明るさが認められます。そういう幸せそうな人々を見るにつけ、うつの方は自分だけがなぜ楽しめないのだろうかと自問自答してしまいます。でもその答えは大抵見つかりません。何故ならば、それこそが「うつ」の症状だからです。

 

 

 ましてやクリスマスを控える12月には、デパートやレストラン、その他あらゆる場所であの曲が流れ出すのです。クリスマスソングです。『ジングル・ベル』をはじめとして、様々なクリスマスソングが聞こえてきます。山下達郎の『クリスマス・イブ』、松任谷由実の『恋人はサンタクロース』ならまだましな方でしょう。ビング・クロスビーの『ホワイト・クリスマス』などは洋楽の定番ですね。少し新しいところでは、ジャスティン・ビーバーの『恋人たちのクリスマス』やマイケル・ブーブレのアルバム『クリスマス』もあります。昔からクリスマスソングばかりを集めたアルバムはたくさん存在します。もうこんなに思い出してしまいました。この辺にしておきましょう。

 

 

 とにかくこの時期には、世の中はクリスマス一色に染まってしまうわけです。少し前から流行りだした、ビル全体をクリスマスツリーのイルミネーションにするイベントもあります。派手なイルミネーションが溢れかえり、見たくなくてもどうしても目に入ってしまいます。例えば、タクシーで移動中に何気なく外の様子を見るともなしに見ていると、必ずクリスマスのイルミネーションに出くわすことになります。ああ…。

 

 

 思わずため息をついたら、運転手さんに具合が悪いのかと心配されたこともあります。具合が悪くなりそうなのです。とはさすがに言えませんでした。平静を装い、別の話題をこちらから振らなければなりませんでした。いちいちため息の理由を説明するのは大変ですからね。

 

 

リア充

 

 

 クリスマスを楽しむのは大いに結構なことです。クリスチャンの方は敬虔な気持ちでこの時期を過ごされるのでしょうが、それ以外の方もにわかクリスチャンにでもなったように、皆が皆、クリスマス・イブには恋人とどういう風に過ごそうかなどと下心も含めて思いめぐらせるのです。

 

 

 キリスト教徒の多い西洋諸国では、クリスマス休暇には普段、離れたところで暮らす子供たちも実家に戻り、家族揃って楽しく過ごすというのが、本来の在り方なのです。ところが、日本では(日本以外の国でも)往々にして、クリスマス・イブには恋人と親密なひと時を過ごす日という意味に変わってしまいました。でも本当は、母親の手作りターキーディナーを家族皆で楽しむのがイブの正しい過ごし方なのです。

 

 

 いつ頃から日本ではクリスマスイブが恋人の時間になったのか知りませんが、まあそれはそれでいいのかもしれません。特別な日を二人だけで過ごして、その後、めでたくゴールインとなれば、実にハッピーではありませんか。思わず、メリー・ウェディング!と間違えそうです。もちろん正しくは、ご婚約、おめでとうございます。末永くお幸せに、ですね。

 

 

 「リア充」という言葉が流行りました。その意味は、リアルな生活、即ち実生活が充実しているということです。リア充の方々は素敵なパートナーに恵まれ、お子さんにも恵まれて、ベリー・ハッピー。大いに結構ですね。今現在、交際中の恋人がいらっしゃる方は、さっさと結婚してしまいなさい。どうしようかな、まだ若いしもっと良いパートナーが現れるかもしれない、などと余計なことを考えない方が絶対に幸せになれますよ。少子高齢化が急速に進む現在、晩婚化がその傾向にさらに拍車をかけます。「産めや、増やせや」ではありませんが、真面目な話、このままでは日本はどんどんと人口が減り続け、滅んでしまいます。さっさと結婚しましょう。

 

 

木枯し紋次郎の決めセリフ

 

 

 話が逸れました。うつの方々はクリスマスをどう苦しまずに過ごせるか、考えてみました。一言でいうならば、我関せずの精神です。師が走り回ろうが、周囲がせわしなくしようとも、我関せずでいればいいのです。同様に、クリスマスも世間がどんなに浮かれようが、イルミネーションがチカチカしようが、木枯し紋次郎のように「あっしには係わりのないことでござんす」とうそぶいていればいいのです。師走の雰囲気、クリスマスの喧騒に背を向けて、紋次郎のように長い爪楊枝でもくわえてやり過ごすことです。

 

 

 とはいえ、クリスマスのムードに巻き込まれないようにするには、ただ目をつむっているだけではいけません。ご自分の趣味でも何でもいいから集中することです。もっとも手頃な手段といえば、読書です。映画でもいい。読書や映画に熱中している間は、師走もクリスマスもまったく気になりません。ご自分の”世界”に入り込んでしまえばいいのです。ターキーディナーもフレンチレストランの予約もイルミネーションも関係ありません。あっしには係わりのないことでござんす。これでいきましょう。