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会社の嫌な「忘年会」から上手に抜け出す「極意」とは

 年末恒例の忘年会シーズンがやってきました。全社員が一同に会する大規模な会から、各部署ごとのこじんまりとしたものまで、会社には様々な忘年会がありますが、要は全員参加が基本です。つまり歴とした"業務”の一環なのです。そのため忘年会を欠席することはよほどの理由がない限り、許されません。

 

 

 忘年会を楽しみにしているのは、私が知る限り、役員や部長クラスまでで、それ以下の”平民”にとってはちっとも楽しめないどころか、時にして不愉快ですらあります。「忘年会」という名の不快な行事から何とか逃げ出せないものかと考えたことがある方は結構いらっしゃるはず。そんな方々へ私なりに編み出した、忘年会から抜け出す”極意”をお話しようと思います

 

 

「出欠」の真意

 

 

 まず、ひと月以上も前から出欠を取るところからして、気に入らない。確かに年末は宴会場なりレストランの予約が取りにくいという事情もありますが、まだまだ年末気分には程遠い時期に忘年会についての知らせが来るのは、ちょっと気が早過ぎるのではないでしょうか。多分、早い時期から出欠を取ることで、社員たちに「忘年会に参加しろよ、絶対だぞ」とばかりにプレッシャーをかける意味合いが含まれているのだと思います。

 

 

 そもそも会社の忘年会には、社員の士気を高める目的があります。今年一年間、お疲れ様でした、今日は日ごろの業務を忘れて楽しく飲みましょう、という趣旨であったはず。上司とその部下という上下関係を今日一日だけは忘れて、無礼講でいきましょう、という会だと思うのです。でも実際、たとえ上司が今日は無礼講で構わないので、大いに楽しもうと発言したとしても、決してその言葉どおりにやってはなりません。よほど酒に弱いか、その逆で酒乱の上司でもない限り、その場で交わされた社員同士の打ち明け話や他の上司への噂などを下手に口にしようものなら、後々、痛い目に合います。上役の口車には気軽に乗るなというのは、サラリーマンの掟、その一です。

 

 

 無礼講という言葉を上司が口にする時には、よほど注意しなければなりません。わざわざそう発言したのには、必ず狙いがあると思って間違いありません。即ち、打ち解けた雰囲気作りをして部下に油断させ、本音や普段は口にしないような情報を聞き出そうとしていると考えられます。また少々細かい話になりますが、日頃ぶっきらぼうな態度の上司が、急に進んで部下のグラスに飲み物を注ぐ動作をし始めたら、警戒レベルを上げるべきです。必ず”下心”があってのことと心得るべきです。掟、その二。

 

 

社員旅行は危険だらけ

 

 

 今よりも景気が良かった頃には、企業はこぞって社員旅行を実施したものです。中には、ハワイだグアムだのと海外までわざわざ巨額の社費を投じて社員旅行に出かけた会社も少なくありませんでした。やがてバブル崩壊とその後の経済不況の中、企業にそんな余裕がなくなり、最近では社員旅行を取りやめる社も増えてきました。社員旅行というのもまた、忘年会以上に”危険”な行事です。社員旅行での行いが災いして、”左遷”させられた人もいたものです。

 

 

 社員旅行では、一同揃っての宴会の後、三々五々、それぞれの部署の社員ごとに分かれて部屋で飲みなおしたり、麻雀大会を催したりして過ごします。そこにほろ酔い加減の重役が様子を見に来りします。そんな時の重役は日ごろのしかつめらしさはなく、極めてフレンドリーに下々の社員たちに交じって談笑したりします。でもそれは表面上そう見えるだけで、仮面の下には密かに各部で起こった秘匿された”事件”や秘密情報を聞き出そうとしているのです。それに気づかずについ心を許してしまったら最後、あとで仲間や上司から「なんで〇〇常務にあの話を漏らしたのか!」ときついお仕置きが待っていることでしょう。

 

 

 昨今では、陋習ともいうべき社員旅行がなくなりつつあることは良い傾向です。社員旅行の代わりに未だにほとんどの会社で行われているのが、忘年会なのです。故に、忘年会も陋習に他なりません。本当に親しい友人や仕事仲間同士、あるいは異業種の方々との忘年会ならば、前者は日ごろの親睦をさらに深める楽しみがあり、後者では、あまり馴染みのない方々との交流によりお互いに良い刺激を得ることが出来て、有意義な会合になることでしょう。でも月曜から金曜日まで毎日、顔を合わせている社員同士が集う、それも会社の行事としての忘年会など、何もいいことなどありません。ただ無益な上に時間の無駄遣いに他ならない。むしろ有害ですらあります。

 

 

忘年会という悪しき習慣

 

 

 そんな憂うつで不愉快な「忘年会」から何とか逃げ出したいと、皆さん、思いませんか。中には変わり者がいて、上司がいようと何だろうとただで飲み食いできるのを嬉しがる方もいるようですが、大部分の方々は今年の忘年会はパスできないものかと思案されておられるのではないでしょうか。そこで、勤続数十年の私が編み出した、忘年会から上手に抜け出す方法があります。

 

 

 まず早々に出欠を取られる時には、必ず出席すると答えなければなりません。ここで間違っても「欠」とすると、後々、「祟り」に見舞われますよ。とにかく、たとえ欠席したくても、出席の意思を明確に示すことが大事です。さて、忘年会の当日がやってきました。大概、忘年会の開始時間は終業時間から1時間ないし1時間半ほど遅い時間です。その間に、仕事にかこつけてぐずぐずと社に居残ってはいけません。さっさと仕事を終えて、一旦、社を出てどこか会場の近くの喫茶店で本でも読みながら、時間を潰しましょう。

 

 

 ここからが重要です。忘年会の始まる定刻よりも少しだけ早く会場入りすることです。大体、5分から10分前が目安です。それより早いと席が決められている場合、ぽつんとまだ人もまばらなテーブルに付かなければならず、居心地の悪い思いをします。遅刻するのはもってのほかです。幹事ににらまれた上に、乾杯の音頭を取ることになっている上司の目が光ります。

 

 

 最初にあるのは、担当重役によるスピーチです。今年一年の会社に起こった些末な出来事をくだくだと話したあとで、参加者全員にグラスを持つように促し、決まり文句に続き、乾杯!とやります。一口、ビールを口にして一度グラスをテーブルに戻した後、必ずスピーチを行った重役に向かって熱い拍手を送ることをお忘れなく。もしビールを飲み干して憮然とした態度でいると、必ずあとでチェックが入りますよ。

 

 

「忘年会脱出作戦」

 

 

 ここまででもう我慢の限界かもしれません。いかにしてこの場から角が立たずに抜け出すことが出来るか。まず最初にやるべきことは、自分の席に着く前に幹事に一言、今日は風邪気味で体調が良くないので、具合が悪くなったら帰らせていただくかもしれない、と断りを入れることです。会社にいる間も、終始、自分は体調不良なのだということを周囲にアピールしておきましょう。そして、クロークに荷物を預けないで、いつでも持ち出せる部屋の隅などに置きましょう。これでいつでも中座できる準備は整いました。

 

 

 いよいよ中座するとなったら、まずはそのテーブルで一番の年長ないし上役に、具合が悪くなったので失礼させていただきます、と挨拶することです。次に、席から立ちあがり荷物を手にしながら、直属の上司にも必ず一言、挨拶して中座する許しを得てから退出しましょう。大切なことは、何も言わずに勝手に帰ったと思わせないことです。会社という組織は上下社会ですから、何をするにも必ず上司には許可を得なければなりません。それは忘年会でも同様です。上司に直接、中座することを詫びた上で許可を得さえすれば、もうあなたは堂々とその場から抜け出すことが出来ます。ご参考になれば、幸いです。「なお、失敗しても当局は一切関知しないからそのつもりで。成功を祈る…。」(『スパイ大作戦』より)