明日を元気に生きるための「心の処方箋」

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「ヴァレンタインデー」はオワコンでしょうか?

 緊急事態宣言の期間延長により、「不要不急の外出」を控える中、14日の「ヴァレンタインデー」を迎えました。スーパーやデパートなどの商業施設では、そんな”世相”に遠慮するかのように、ひっそりとお菓子売り場にはヴァレンタイン向けのチョコレートコーナーが設けられました。

 

 

 「コロナ禍」で迎えた今年のヴァレンタインデー。チョコレート専門店は別としても、どこか”活気”のない様子が見え、購買意欲がそがれる気がしました。もっとも私のような50代のしがない会社員にとっては、「コロナ禍」で次々とイベントが中止に追い込まれる中にあって、せめてヴァレンタインデーだけは止めないでほしいと願わずにはいられません。

 

 

「義理チョコ」

 

 

 昔は(つまり2、30年ほど以前には)、ヴァレンタインデーは一大イベントでした。当時の学生諸君にとっては、その日にいくつチョコレートをプレゼントされたかがひとつのモテ指数でした。社会人も同様で、お義理でも何でもとにかく女性社員からの温かいお心遣いに大いに感動したものです。

 

 

 会社という組織に身を置くサラリーマンには、チョコをたんまりといただくことは、一種、社内的な認知度を図るバロメーターにもなりました。当然、縦社会である会社では、その部署のトップの部長が最も多くのチョコを集めるのが常識とされていました。平社員はよほどのイケメン(当然ながら独身者)でもない限り、なかなか山ほどのチョコをいただくことはありませんでした。

 

 

 その頃、「義理チョコ」という言葉が流行りだしたのです。その日、女性社員は感情的なことは抜きにして、上司にはしかるべき数の義理チョコを差し上げるのが常識とされたのです。今思えば、これは「パワハラ」かもしれませんね。

 

 

 有難くも部下からたくさんの義理チョコを頂戴した上司は、ホワイトデーにはそれなりの返礼を考えなくてはなりません。もしも、義理チョコであろうともヴァレンタインのチョコを受け取ったからには、必ずそのお返しをしなくてはなりません。うっかりホワイトデーを忘れてしまったとしたら、後々大変なことになります。女性社員からは白い目で見られ、「ダメ上司」の烙印を押されれてしまうのです。そうなったら、出世レースにも支障が出かねません。女性社員から疎んじられるようになったら、お終いです。

 

 

「オワコン」なのか?

 

 

 義理チョコが「パワハラ」に相当するかどうかの議論は別にして、ヴァレンタインデーが若い世代ばかりではなく幅広い年齢層にまで浸透していたことは事実です。義理チョコすらもらえなかった平社員は、その日はどこかの飲み屋でくだを巻くことしかできません。まぁ、そんな時代もあったのです。

 

 

 ところがどうでしょう。今やヴァレンタインデーは以前ほどの一大イベントではなくなりました。上司が暗にその日に義理チョコを要求するような社風があるところは、女性に無駄な出費を強要するとはけしからんとして、コンプライアンス違反になりかねません。

 

 

 実際、筆者の会社でもヴァレンタインデーにチョコを送る習慣はすっかり風化してしまいました。義理チョコに対してホワイトデーに何を渡そうかと頭を悩ます必要がなくなった分、気持ちが楽になったとも言えますが、一抹の寂しさも感じなくもありません。

 

 

 とはいえ、日本で完全にヴァレンタインデーが廃れたわけではありません。その日が近くなると、特設のヴァレンタインチョコレートの売り場が設置されますし、そこには昔よりもはるかに高品質の美味しいチョコレートが陳列されます。失礼ながら昔のいわゆる義理チョコの中には、あまり美味しいとは言い難いものも少なからずありました。今では、王室御用達のベルギーチョコレートや、世界的なショコラティエのブランドチョコなど、様々な種類の本格的なチョコレートが販売されています。

 

 

 ひと昔もふた昔も前には、チョコレートと言えば子供のお菓子という風に考えられていました。現在では、日本にいながらにして(幸か不幸か海外渡航が制限されているからこそ尚更)世界中の高級チョコレートを味わうことが出来るのです。意中の男性に素晴らしく美味しいチョコレートをプレゼントしようと考えていらっしゃる女性にとっては、実に選び甲斐があることでしょう。そんな”本命”チョコレートを受け取ることの出来た男性は、本物の幸せ者です。チョコレートと共にその女性の気持ちをしっかりと受け止めてあげてください。

 

 

 新しいもの好きの若い人たちにとって、ヴァレンタインデーはもはや「オワコン」(終わったコンテンツの意)なのかもしれませんが、筆者のようなオジサン族にとっては「懐かしい思い出」です。少なくとも、最近はやりの「パリピ」が渋谷のスクランブル交差点に意味もなく集結するハロウィーンよりも、ずっと価値があると思えるのです。

 

 

 会社組織のイベントなどではなく、ヴァレンタインデーに本命の男性に厳選した(心を込めて手作りしたチョコレートを含む)本物のチョコレートをプレゼントすること。何と素敵な日でしょうか。「コロナ禍」で心身ともに疲労している今、そんなヴァレンタインデー本来のあるべき姿が復活するといいですね。

 ヴァレンタインデーは決して「オワコン」などではありません。