明日を元気に生きるための「心の処方箋」

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「時短」要請よりも「出社制限」が有効です!

 東京都は28日、酒を提供する飲食店やカラオケ店に対して営業時間の短縮を要請しました。12月17日までの20日間、時短の要請に応じた店舗には協力金として一律40万円が支給されます。とはいえ、忘年会シーズンの最中の時短要請。忘年会自体を自粛する傾向にさらに拍車がかかりそうです。

 「Go Toキャンペーン」効果がようやく出始めたこのタイミングでの時短要請に、外食産業からはもはや限界に達したとの声も聞こえだしました。

 一向に収束する気配がない「新型コロナ」の感染状況に、もはや打つ手はないのでしょうか。

 

 

 感染症対策分科会の尾身茂会長が「今が(爆発的な感染を防ぐ)最後のチャンス」と”警告”を発した12日からすでに2週間以上が経過し、残念ながら尾身氏の予言した通りの結果となりつつあります。全国で最も感染者数の多い東京都では、27日に過去最多の570人の新規感染者数を記録しました。翌28日も561人、29日は3日ぶりに500人を割り418人でしたが、日曜日に400人台となったのは初めてのことです。

 

 

振り上げた拳

 

 

 爆発的な感染増加の感染状況に一体、政府はどの程度の危機感を抱いているのでしょうか。内閣が発足した際に、菅総理は「新型コロナ対策」を最優先課題との認識をしめしましたが、一度振り上げた拳の行き場にお困りの様子です。

 確かに、これ以上、経済活動の停滞は許されない状況に、鳴り物入りでスタートさせた「Go Toキャンペーン」を中止または中断させることを、旗降り役を任じていた菅総理が躊躇われるのは無理からぬ話かもしれません。しかし、最も懸念すべきは、このまま感染拡大を放置すれば必ずや米国や欧州諸国の例に見られるような「医療崩壊」を来すことです。政府は今まさに「経済再建」か「感染防止」かの二択を迫られているのです。

 

 

 「Go Toキャンペーン」の是非については、なかなか一概には言えない面があります。専門家の間でも、同キャンペーンが主因となって現在の感染拡大状況を招いたとは必ずしも言えないとの見解もあり、意見の分かれるところでもあります。しかし、とくに「イート」については、会食の席での感染例が多くみられるように、クラスターを引き起こす最大の要因といえそうです。

 

 

 小池都知事は例のボードを使いながら、5つの「小」を推奨しましたが、分科会の尾身会長も自ら実演を交えながら、会食の際に食べ物を口に運んだ後に、急いでマスクで口を覆ってから会話をするという”新しい”食事作法を私たちに示しました。両者の「新作法」を実践するとなると、あまりにも煩雑過ぎて会食する気力も失せるかもしれません。

 

 

 「コロナ禍」での「新しい生活様式」はこれまでの常識を根底から覆すことになりました。以前はごく当たり前だった食事風景すら一変させてしまったのです。ひと頃、流行った(今もそうですが)「オンライン飲み会」がその典型です。

 そもそも飲み会とは気の置けない仲間同士が集い、ワイワイガヤガヤと日頃の鬱憤を吐き出す場だったはず。それが、オンラインでは「集わない」「ガヤガヤしない」「個食」が基本ですから、要するに一人酒するのに等しい。一人酒で何がいけないと叱られそうですが、「飲み会」の基本的な条件のほぼすべてが失われてしまうわけですから、それを果たして「飲み会」と呼んでいいものかとも思うのです。

 

 

 「トラベル」「イート」キャンペーンの対象地域を制限することに対して、各自治体の判断に委ねるのはおかしいと、大層ご立腹の小池都知事ですが、どうやらお怒りも少しは沈静化してきたようで、今後、政府と意見交換しながら同キャンペーンの対象地域から東京都を外すことを視野に入れるようになりました。

 確かに国の政策なのに自治体に丸投げするとは何事かと、口角泡飛ばしたかどうかは別として、小池氏のご立腹は理解できなくもありません。が、政府に文句を言うより先に、都民の命と健康を守ることが都知事の責務ではないでしょうか。

 

 

「出社制限」を

 

 

 分科会会長の尾身氏が27日、衆院厚生労働委員会で全国の感染状況について、「人々の個人の努力だけに頼るステージはもう過ぎた」と発言して、国や自治体に強いメッセージを出すよう求めました。発言の中で尾身氏は、営業時間の短縮や感染地域とそうでない地域との移動をなるべく控えることが極めて重要との認識をあらためて示しました。

 

 

 「ステイホーム」「リモートワーク」「オフピーク通勤」という単語はもはや聞き飽きた感があります。それでも実際には、耳にタコは出来ても、それらの”スローガン”が必ずしも実行されているとは言い難い現状があります。不要不急の外出を控えるように呼び掛けても、ちょっと京都の嵐山見物に出かけたり、イルミネーションで飾られた街並みをそぞろ歩いたりする人々の何と多いことでしょうか。

 日本人の特性として熱しやすく冷めやすい点が挙げられますが、緊急事態宣言の頃のことはもう過去の出来事と思っていたとしたら、それは大きな間違いです。今こそが真の「危機的状況」なのです。

 

 

 「喉元過ぎれば」の諺のように、通勤電車はかつての”活気”が戻りつつあります。終電の時間が多少早められても、居酒屋などの飲み屋が時短営業になっても、「3密」は一向になくなりません。ラッシュアワーの混雑ぶりは相変わらずの様子ですし、オフィスワークを今も続けざるを得ない勤め人の数がこれ以上減ることもなさそうです。

 

 

 政府の分科会でたびたび指摘されているように、緊急事態宣言が発出された感染第1波の頃とは違って、現在の感染状況が示す傾向のひとつとして、家庭内感染の占める割合が増えたことが挙げられます。一家の稼ぎ頭のお父さんやお母さんが、職場や通勤電の途中の「密」で感染してそれを家庭内に持ち込むことで、家族にウィルスを広めてしまう。感染者の中で「感染経路不明」が半数近くを占めるのはそのせいでしょう。

 

 

 居酒屋やカラオケ店を時短営業にするよりも、感染予防の基本中の基本である「3密」の一つ、混雑する通勤ラッシュをさらに軽減させることの方がよほど効果的に違いありません。”感染危険地帯”である首都圏・東京にわざわざ混雑する通勤電車に乗って、オフィスという密閉空間で長時間労働を強いられる勤め人こそが、「感染経路不明者」の正体ではないでしょうか。

 これ以上の感染を食い止める「最後の手段」として、勤め人の「出社制限」を求めるべきです。リモートワークを推進しない企業には罰則を科すこと。菅総理にそう提言したいものです。