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ついに見えてきた「東京五輪」中止という最悪のシナリオ

 高野連が春のセンバツ高校野球大会の中止を発表しました。大相撲やプロ野球無観客試合で開催。さらに政府はスポーツや文化イベントの自粛期間を10日間、延期するよう要請しました。これを受けて東京ディズニーランド、ディズニーシーは大慌てで、16日からの営業再開を4月上旬に変更せざるを得なくなりました。次々と大型イベントが延期や中止になる中、このところ気になるのが、開催日まであと5か月を切った「東京オリンピック」のことです。

 

 

「延期あるいは中止論」

 

 

 自粛期間を当初は2週間程度としていたところが、一向に新型肺炎の感染拡大に歯止めが掛かりません。政府の求める10日間の自粛延長でも、事態が劇的に好転するとはとても思えません。新型ウィルスが世界的に拡大の一途を辿る中、東京オリンピックの延期や中止という最悪のシナリオが次第に現実味を帯びてきたのです。

 

 

 IOC国際オリンピック委員会)の委員の中でも特に大きな発言権を持つと言われるディック・パウンド氏が東京五輪の開催可否について「判断期限は5月末」との見解を示した”爆弾”発言に、日本国内で激震が走りました。

 

 

 折も折、東京五輪パラリンピック組織委員会の高橋治之理事が、国内外の一部メディアに新型コロナウイルスの感染拡大により五輪開催が難しい場合「1、2年の延期が現実的」との見解を表明したのです。同委員会の森喜朗委員長はこの発言に恐らく大激怒したことでしょう。即座に会見を開き、高橋委員の「延期」発言を「本人から軽率な発言だったと謝罪があった」と話して、その”火消し”に躍起の様子です。

 

 

 しかし、IOCのバウンド委員の「判断期限」について言及については、国会の場での橋本聖子五輪相の見解は二転三転し、当初は「あくまでも私見」と説明していたのに、後に、開催都市契約に20年中に開催されない場合、IOCが大会を中止できると明記されていることに触れた上で、「20年中であれば延期できると取れる」と語ったのです。与党内でも「東京五輪の延期論」がくすぶり始めていることが窺えます。

 

 

 一連の「東京五輪延期論」にIOC会長のトーマス・バッハ氏はあらためて、今月3日に行われた理事会の席上で、語気を強めて五輪の延期や中止はまったく考えていない旨、表明しました。「東京五輪の開催には不変の自信しかない」とまで力説してみせたのです。しかし、むしろ森会長やバッハ会長らが「延期または中止論」をことさら否定すればするほど、実はその真逆のシナリオが現在、水面下で進行中ではなかろうかとの疑念が湧いてきます。むしろ、いよいよ「東京五輪」は中止か延期がほぼ固まりつつあるとの思いを強くしました。

 

 

 世界最大規模のスポーツの祭典であるオリンピックと芸能人の離婚スキャンダルを同列に論じては、失礼かもしれませんが、どこか似ているように思えてなりません。芸能人カップルは不仲や別居報道が出るたびに、そんなことはまったく事実無根だと強く否定するのが普通です。ところが、しばらく後には、報道された内容通りに別居または離婚争議に発展していたことが判明し、これ以上弁解しきれなくなってから、ようやく件のカップルが報道陣の前で頭を下げて、やれ円満離婚だのなんだのと釈明するのです。

 

 

「現代の黒死病」か

 

 

 オリンピックという一大イベントには開催国とIOCとの間で数々の知られざる取り決めがあって、それらは暗黙の了解になっています。とにかく途方のないほど莫大な”金”が生まれるのです。そのため次期開催国に決まった瞬間から、交通網を整備したり、外国人客の受け入れ先となる宿泊施設の拡充を図るなど、巨額の投資が始まります。巨大な”金”や”利権”が絡むだけに、そうやすやすと延期したり中止することは出来ないのです。

 

 

 しかしWHOが警告する世界的な「パンデミック」が起きたとなると、話は別です。バッハ会長や森会長が力説するように、何が何でも東京五輪を開催するとしか今はいえないものの、「パンデミック」が起きた時のケースについても今からこっそりと準備せざるをないはず。IOCの有力委員は、口を滑らしたのか、あるいは故意になのかわかりませんが、「判断期限は5月」という発言は非常に現実味があるように思われます。

 

 

 現時点では仮にとしておきましょうか、仮に東京五輪が中止となった場合には、その経済的な損失は7兆8000億円との試算もあります。この金額には、チケットの払い戻しなどを含む大会運営費に加えて、観客用の食費やグッズの売り上げ、さらに国内消費の落ち込みも織り込まれての数値ですから、かなり正確な数字だと考えられます。

 

 

 消費税率の引き上げで国内消費が想定よりも下回ったことが問題になりましたが、それどころではありません。感染の拡大が止まらなければ、GDPに大きな影響を及ぼすのは必至です。もしも五輪を強硬したらしたで、さらなる感染拡大を引き起こし、多くの生命が奪われることになりかねません。また仮に五輪が中止となったら、日本経済はかつて経験したことのないほどの大打撃を被ります。

 その時、私たちは今回の新型肺炎が「現代の黒死病」だと思い知ることでしょう。あのノストラダムスの大予言は、2020年だったのかもしれません。