明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

そのイライラは「コロナ」のせいではないですか?

 日本人は元来、我慢強い民族だと言われています。武士は食わねど高楊枝という諺があるように、たとえ食い扶持にも困窮する浪人者ですら、武士の誇りは決して捨てずに、痩せ我慢しました。戦時中には、「欲しがりません。勝つまでは」を合言葉に国民を総動員してまで、食糧難の中、辛抱を重ねました。

 痩せ我慢しても決して良い結果が得られるわけではないのです。

 

 

痩せ我慢

 

 

 新型コロナ肺炎の感染拡大が続く中、日本に限らず、世界中が今、”痩せ我慢”を強いられています。日本国内では、不特定多数が密集する恐れのある、スポーツや文化イベントが次々と延期や中止に追い込まれました。ご承知のように、大相撲春場所無観客試合となりましたし、野球も同様です。春の選抜高校野球に至っては、直前になって中止が決まりました。

 

 

 先日の会見で総理が集団感染の起きやすい場所の一例として、ライブハウスをあげましたが、ライブハウスだけが決してクラスターの温床というわけではありません。要するに、換気が悪い密閉空間に大勢の人が密集するような場所が危険だというのです。ご丁寧にもクラスターの発生地点を地図上に示す報道もありました。

 

 

 ジャズバーでジャズの生演奏を聴くことを無上の喜びとしている私などは、ジャズバーもいまや「危険地帯」とされているため、家族から出入り禁止令を突き付けられた次第です。トホホ。

 

 

 安倍総理が国民に要請しているように、今は日本中が自粛ムード一色です。学校は臨時休校になり、卒業式も出席者を制限して行い、企業も社員に時差出勤やテレワークを奨励しています。皆、我慢を強いられているのです。

 

 

 世界中で入国制限や移動の禁止など、新型肺炎の拡大防止に躍起になっていますが、そうした中で唯一、普段通りに過ごしている国があります。イギリスです。イギリスでは、感染予防は国民の一人一人の意思に任せて、日本のようにイベントの中止を要請したりしません。新型肺炎から身を守ることも、個人の自由というわけです。さすがは、EUからの離脱を決断した国だけのことはあります。

 

 

 もちろん、こうしたイギリスの対応について各国からは非難の声も上がっています。英国人は、あくまでも我関せずの姿勢を貫いています。イギリス風の考え方が正しいか否かは一概には判断できないと思いますが、その徹底した個人主義には感服せざるを得ません。

 

 

 でも生来、我慢強い日本人は政府から要請があれば、それに従います。コンサートが続々と中止になる中、椎名林檎率いる東京事変だけはライブを決行しましたが、当然ながら批判の声が上がり、その後に予定されていたライブはすべて中止となりました。シュン。ファンの皆さんの気持ちはそんなところでしょうか。

 

 

「イライラ」が募り

 

 

 人混みに出るな、遊園地も休園、ライブハウスも閉鎖。いい加減、我慢にも限度があります。コロナ肺炎に罹りたいと思っている人など一人もいませんが、もう何でも自粛にはうんざりです。

 マスクすらいまだに入手困難ではありませんか。マスクが買えない人は、仕方がなく、使い捨てマスクを選択して滅菌して、もう一度使うより他ありません。

 先日、帰宅したら、家の中に洗濯ハンガーに何枚もの使い捨てマスクがぶら下がっているのを発見して、情けない気持ちになりました。同時に、ふつふつと怒りが湧いてきました。

 

 

 そういえば、最近やたらとイライラするようになりました。時差通勤のお陰で普段の通勤電車は満員ではなくなりましたが、それでもつり革につかまって大勢の通勤客が乗り合わせています。そもそもこの通勤電車にイラつきました。大勢の乗客を詰め込むことだけを目的にデザインされた車両。座る場所はごく限られているため、ほとんどの人は立たなくてはなりません。乗客全員とはいわずとも、もうちょっと座れる座席を増やせないものでしょうか。

 

 

 ランチで利用するいつものカフェでも、店員が全員マスクを着用しているのを見ると、苛立ちます。むろん、従業員がお客さんにウィルスをうつさないようにとの配慮なのは理解いています。でもその客の方がマスクが手に入らなくて、使い捨てマスクを再利用しているのです。

 

 

 時差通勤で通常の就業時間よりも早めに会社を上がれるようになり、そのためラッシュアワーの前の電車に乗れることは有難いのですが、空いているとはいえ、微妙に先に座席を確保した人が、「俺に近づくなよ」的なオーラを出しているのが、気に入りません。中には、わざと荷物を隣の座席に置いて、他の人が座れないようにしている輩もいます。そういう情景を見ているだけで、イライラが募ります。

 

 

 先日、こんな場面に出くわしました。二人分の席を独占している男がいて、初老の紳士がその占有者の前に立って、こう言いました。

「そこの席は空いていますよね。そこに座りたいので、荷物をどけていただけますか?」 

 ところが、その男はさも迷惑そうな顔をして、

「他にも席はあるじゃないか」

 と無遠慮に言い放ったのです。ここに至っては、ひと悶着ありそうだなと思っていたのですが、その老紳士は冷静な態度で、さらにこんなことを言ったのです。

 

「ええ、他にも席はありますよ。でもあなたの隣には多分、どなたも座ろうとはしないでしょうから、私が座ろうかと思ったんですよ」

 

 そこまで言われては、さすがに席を空けざるを得なくなり、渋々と座席の上の荷物をどけました。老紳士は落ち着いたもので、失礼と言いながら、悠然とそこに腰を下ろしたのです。

 

 

 この手の男は、最低限のマナーすら知らない”ならず者”です。あえてトラブルに発展しかねない危険まで冒して、席を空けさせようとした老紳士の態度もあまり褒められたものではありません。傍若無人に振る舞う輩はどこにでもいますが、いちいち相手にしていては、こちらが損をします。見て見ぬふりをしろというわけではありませんが、マナー一つ知らない奴に説教しても時間の無駄というものです。そういう奴は世間から白い目で見られるのですから、わざわざ教育してやることもありません。

 

 

 二人がもしもつかみ合いの喧嘩を始めたら、止めに入ることはやぶさかではありませんが、そうはならずに済んだのは幸いでした。皆、イライラしているんですよ。あなたのそのイライラもきっと「コロナ」のせいです。