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「コロナ禍」「東京五輪延期」…私たちが進むべき「道」とは?

 ついに安倍総理東京五輪の開催延期について言及しました。23日の参院予算員会で総理はIOCが五輪延期の検討に入ったことについて、「(大会の)完全な形での実施が困難な場合、延期の判断も行わざるを得ない」と述べました。五輪を開催するか否かの最終判断はIOCにあるとしながらも、「世界がコロナウイルスに打ち勝った証しとして完全な形で実施していきたいと考えてきた」と強調。16日夜にテレビ会議で主要7カ国の首脳に「規模は縮小せず、観客も一緒に感動を味わって頂く方針のもと、準備を着実に進めていく」との方針を伝えたことを紹介しました。

 

 

「五輪延期」は必至

 

 

 総理が東京五輪の延期について言及したのはこれが初めてです。総理の言によれば、「完全な形での実施」にしたいとのことですから、大相撲春場所のような無観客での開催や中止ではなく、あくまでも延期して五輪を開催することを強調しました。

 

 

 専門家の試算によると、東京五輪を中止した際に被る被害総額は4兆5151億円にも上る模様で、延期でも6408億円もの損失が生じるとのことですから、これは一大事です。IOCと水面下で延期の決定を話し合った模様ですが、まあ中止よりは延期の方が被害が少なくて済みそうです。

 

 

 とはいえ、東京五輪の中止という最悪のシナリオは回避できたものの、延期した場合、開催日をいつにするのかという難問が待ち構えています。トランプ大統領が会見で話したように、1年の延期で果たして大丈夫なのか、まったく不明です。恐らく、現代会では、誰一人として一体、何年後の何月の開催にすれば、もう新型肺炎は完全に収束するとは、言い切ることは出来ない状況なのです。

 

 

 仮に来年の7月の開催とした場合、ちょうど一年先延ばしした形になりますが、新型コロナウィルスの感染が終息している保証はまったくありません。では二年後ではどうでしょうか。たとえ2年後、いや3年後に延期しても、総理の望むような「完全な形での開催」が可能かどうか、先が見通せません。

 

 

 政治の世界は「一寸先は闇」と評されますが、巨大な利権が絡むオリンピックの世界も同様です。IOCのバッハ会長が五輪の延期について、「週末のサッカーの試合を延期するようなわけにはいかない」と断じましたが、この発言の裏にあるのは、巨額の金が絡む一大イベントを易々と延期には出来ないという意味合いだ思われます。

 

 

米中の新たな「火種」

 

 

 感染が瞬く間に拡大していったアメリカでは、トランプ大統領は新型コロナウィルスを「中国のウィルス」であると強調した上で、中国政府が正確な感染に関する情報を開示せずに”隠蔽”したことで、米国を含む世界各国で感染防止の対策をとるのが遅れたと語りました。つまり、中国の秘密主義のせいで世界中がこのウィルスの脅威に晒される羽目になったといいたいわけです。

 

 

 ようやく米中の貿易戦争が雪解けしてきたところに、今度は新型コロナの責任論を持ち出し、今後、再び米中がこのウィルスを巡る責任論で喧嘩を始めたのです。貿易戦争の火の粉が日本を含む世界経済へ飛び火したのはご承知のとおりです。

 

 

 トランプ大統領自身が「アメリカ第一主義」を掲げて自国の利益を最優先させる政策をとり続けているため、世界経済の成長に不可欠のはずの自由貿易主義が危うくなりつつあります。中国をはじめ商売上の"敵”には高い関税を課し、保護主義に走り、その結果はご覧の通りの世界的な大不況です。そこに、”中国のウィルス”が地球上を席巻し、さらに世界経済に強烈な追い打ちを掛けたのです。

 

 

新型コロナの「救世主」

 

 

 映画『マトリックス』では、人々がコンピューターが作りだす仮想空間で生活するという世界観が描かれます。生身の人間は培養液の中でコンピューターとコネクトされて冬眠状態にある。コンピューターの支配から脱した一部の人間たちが”エージェント”と呼ばれる敵と熾烈な戦いを繰り広げるというストーリーです。圧倒的に不利な状況下にある人々の前に現れたのが、生身の人間ながら超人的な能力を有する「救世主」。キアヌ・リーブス演じるネオが、コンピューターの支配する世界から人間を救い出せるただ一人の男なのです。

 

 

 新型コロナウィルスの世界的な拡散が止まらない現況で、「ネオ」のような救世主は現れるのでしょうか。この場合の「救世主」はヒトではありません。パンデミックを止める唯一の方法は、新型ウィルスに対抗できる「特効薬」しかありません。今、世界中でこの「特効薬」探しに必死なのです。

 

 

 「特効薬」=「救世主」探しは専門家に任せるほかありません。では、私たちに今、出来ることは何でしょうか。コロナ渦により東京五輪の延期は不可避の状況です。市中では、いまだに感染防止のために必要なマスクすら入手困難な状態が続いています。マスクだけではありません。消毒用アルコールやトイレットペーパーも品薄です。政府は企業にマスクを増産するよう要請し、国の備蓄の中から相当数のマスクを医療機関などへ配布し始まりました。

 

 

 それでも薬局のマスクや消毒液の棚には商品がひとつもなく、からっぽのままです。一体どうしたことでしょう。その理由は明らかです。一部の人たちがそれらの品物を買い占めに走ったからです。在庫がどれほどあろうとも、いっぺんに特定の商品を大量に買い占めれば、どの商品も品薄になります。今、スーパーや薬局からマスクが姿を消したのは、商品が届いて、ようやく商品棚に並べた途端に我先に買いあさるからに他なりません。

 

 

 もう買い占めは止めましょう。共働きの世帯などでは、仕事があるため朝から行列に加わる時間的な余裕はありません。仕事帰りに、あるいは休憩時間中に、マスクを買いに行ってもとっくに売り切れています。

 

 

 日本人は元来、誇り高き民族のはずです。もう十分な量を確保したはずなのに、なおも連日のようにあちこちの薬局で行列を作っては、買い占めるというのは、如何なものでしょうか。自分さえ良ければ他人のことはどうでも良いというのは、日本人の美徳とは相反する行為ではないでしょうか。

 

 

 もっと冷静になりましょう。冷静に必要な枚数を確保したら、次の人に譲るくらいの気持ちがあってもしかるべきだと思います。日本人の美徳を忘れないこと。これこそが今、私たちがとるべき「道」ではないでしょうか。