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「新型コロナウィルス」の「特効薬」は見つかるでしょうか?

 WHOは新型肺炎が世界的な流行期、即ち「パンデミック」に至ったと発表しました。これを受けて、各国では対応に追われていますが、何よりもこの新型ウィルスの特効薬こそが最優先課題であることには、多言を要しません。

 むろん、アメリカや日本、そして発生源となった中国でも、新型肺炎の治療薬、ワクチンの開発に躍起になっています。

 

 

鍵を握る「3つのワクチン」

 

 

 現在、臨床試験が行われているのは、主に三種類のワクチンです。米国の製薬会社、ギリアド・サイエンシズ社は抗ウイルス薬レムデシビル。抗HIV薬ロピナビル/リトナビル配合剤 米国のアッヴィの「カレトラ」。これはロピナビル・リトナビル配合剤で、それぞれの働きによりウィルスの増殖を抑えて、その血中濃度を保たせて効果を高める薬です。三つ目は、富士フイルム富山化学の「アビガン」。アビカンは抗インフルエンザ薬で、ウィルスの増殖を抑制する働きがあります。

 レムデシベルは、すでに中国と米国で臨床試験が始まっていて、中国での臨床結果が4月に得られる予定です。

 カレトラは、日本ではすでにHIV感染症の治療薬として承認されています。

 アピガンも、もともとインフルエンザの治療薬として日本では認証済みの薬剤です。新型コロナウィルスもインフルエンザウィルスと似た構造をしているため、新型ウィルスに対しても効果を示す可能性が期待されています。

 

 

 上記以外では、帝人ファーマの「オルベスコ」という吸入ステロイド喘息治療薬が新型肺炎に有効である可能性があるとの報告もあり、実際、帝人ファーマは厚労省から要請を受けて、臨床研究向けに同薬剤の供給を確保すると発表しました。

 

 

 臨床試験新型肺炎に有効な薬はどれか、あるいはほかに特効薬があるかもしれず、厚労省が「これが新型肺炎の治療薬です」とのお墨付きを与えるまでには、まだ時間が掛かりそうです。

 

 

 しかし「パンデミック」となった現在、新型肺炎に劇的に効果のある特効薬を見つけることが、危急の課題です。果たして早い段階で、見つかるでしょうか。日本はもちろんのこと世界の国々が固唾をのんで見守っているのは、他でもありません、この7月に開幕する東京オリンピックが、果たして予定通りに開催できるかどうかです。

 

 

 IOCのバッハ会長は、東京五輪の実施に自信を持っていると答えましたが、パンデミック宣言の後には、一気にトーンダウンして、五輪の開催はWHOの見解に従うと発言しています。IOCの幹部が開催するか否かを判断する期限は「5月末」との私見を述べて物議を醸しましたが、今やさらに前倒しとなり、4月末までに判断するとのことです。

 

 

 さすがに、安倍総理やバッハ会長が、東京五輪の開催を強調したところで、日本人でさえも大会の延期は避けられそうにないと考えるようになりました。安倍総理トランプ大統領と電話会談をして、この問題について話し合った模様ですが、トランプ氏は私見としながらも、無観客の五輪にするよりも1年延長して開催した方が良いのではと会見で述べました。安倍総理小池都知事がいくら予定通りに五輪を開催するよう全力を尽くすと力説したところで、虚しいだけです。もはや東京五輪は延期か、へたをすれば中止もあり得る状況なのです。

 

 

「コロナショック」の特効薬は

 

 

 資本主義経済では、カネ、ヒト、モノの三角関係で動いています。そのうち、ひとつでも滞るような事態となると、たちまち経済状況は悪化してしまうのです。今回の「コロナショック」とでも呼ぶべき、新型肺炎による世界経済への悪影響は、かの「ブラックマンデー」や「リーマンショック」をも凌ぐといわれています。東京市場の株価は史上最高の下げ幅を記録したのです。

 

 

 日銀は市場の安定を図ろうと巨額の資金を投入する考えを表明しましたが、残念ながら、今回の「コロナショック」の”処方箋”としてはさほどの効果は期待できそうにありません。というのも、いくらじゃぶじゃぶと資金を投入したところで、ヒトとモノが停滞している現状にあっては、効果は期待薄です。

 

 

 まずヒトの停滞。感染拡大を避けるためになるべく外出を控えるようになり、大相撲春場所のように無観客試合を敢行するなど、ヒトが動かないのです。家に引きこもっていては、外食したり映画やスポーツ観戦に出かけたり、旅行したりして、お金を落としてくれません。

 

 

 モノ。世界の工場とも呼ばれている中国は、武漢が新型ウィルスの発生源でもあり、感染者数は世界最悪となっています。操業できない工場では生産がストップし、また物流も停滞したままです。日本の薬局からマスクが姿を消したように、中国からの製品が輸入できないため、品物不足に陥っています。

 

 

 ヒトとモノの状況を元通りにしない限りは、「コロナショック」による経済的ダメージは回復に向かいません。やはり、一刻も早く新型ウィルスに効く「特効薬」を見つけるしかないのです。

 

 

 池井戸潤の小説に『下町ロケット』があります。阿部寛の主演で連ドラ化して、人気を博しました。そのシリーズ第二弾の『ガウディ計画』では、小児心臓病に画期的な効果を発揮する新しい人口弁を開発したものの、がなかなか厚労省の審査に通らずに苦悩する場面があります。池井戸作品は綿密な取材をもとに執筆されていますから、現実にそのような状況があるのでしょう。しかし今回ばかりは、新型コロナウィルスに抗するためには、”ロケット”並みのスピード感を以て、新薬を承認することが絶対に必要です。もう少し、臨床試験を重ねてからなどと悠長なことは言っていられないのです。

 融通の利かない役人に付ける「薬」はないものでしょうか。