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「東京五輪」の質問に苦悶の表情を浮かべた「安倍首相」

 13日に成立した改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)について、翌日の夕刻、安倍総理は国民に向けて、会見を開きました。

 個人の権利を制限することも可能となる「特措法」だけに、国民に対して丁寧に説明する責任があります。総理はさらなる緊急事態宣言の発令に備えるためにも、国内における新型肺炎の感染状況や防止に必要な措置について、先日に続き、二度目の会見となりました。

 

 

「苦悶」の表情

 

 

 欧州や中東地域で観戦の拡大が際立つ中、今現在、日本国内の感染率はそれらの諸国に比べてまだ数値が低く、非常事態を宣言するまでには至っていないと力説しました。

 ダイヤモンド・プリンセス号の乗員乗客への対応や新型ウィルスの発生源となった中国・武漢から日本人を帰国させるためのチャーター機を用意したことや、クラスターの発生する環境についても説明し、さらなる感染防止のために必要な措置は速やかに行っていく考えを示しました。

 

 

 新型肺炎パンデミックの段階に入ったことで、今後、日本経済の先行きに対する懸念に対して、さらなる経済政策や金融措置も講ずる用意があることを表明し、これ以上の感染を抑えつつ、その間に新型肺炎の治療薬やワクチンの開発に最大限の努力を要請しました。

 

 

 総理の発言の後で、官邸記者クラブに所属する報道機関からの質問に入った時のことです。二番目の質問で、開幕まで五か月を切った東京オリンピックについて、予定通りに開催できると思うか、トランプ大統領が言うように1年後の延期や規模の縮小、中止の可能性はあるか、IOCがそれを判断するタイムリミットはいつ頃になるのか、と問われた際に、安倍総理は眉間に深い皺を寄せて苦悶の表情を見せたのです。

 

 

 総理はそれまでの立て板に水の如くの口調から一変して、訥々とした調子で、苦し気に質問に答えました。

 

 五輪の招致が決まって以来、人々に感動を与えられるような大会にしようとワンチームとなって力を尽くしてきた。実際に、福島で聖火リレーのスタートにも立ちあうこと。IOCのバッハ会長が五輪の成功のために全力を傾けるとの発言もある。IOCはWHOと緊密な連携のもとで状況を注視していると承知している。そうした方針のもとで関係機関と連携をとり対応していく方針だ。

 昨日に連絡をとったが、トランプ大統領は日本の透明性のある努力を評価すると発言し、五輪の成功にむけて両国が協力し、緊密に連携していくことで一致した。

 

 という趣旨のことを答えました。が、総理の額に浮かんだあの眉間の皺からは、東京五輪を何とか成功させたいが、今後の動向次第では、予定の変更や延期、中止という選択肢をとらざるを得ないとの、強い懸念が読み取れました。

 

 

 感染防止に全力を挙げて、感染のピークを後ろにもっていき、その間に「特効薬」を見つけたいという趣旨の発言もありました。現実問題として、感染のピークが先に延びれば、まさに7月24日の開幕式の時点では、新型肺炎は根絶どころか、五輪開催の真っ只中で、感染のピークを迎えることになる可能性が高いではありませんか。

 

 

 開催国の日本国民の一人として、非常に残念なことではありますが、現状では、東京五輪を予定通りに開催することなどとても出来そうにないと考えざるを得ません。安倍総理のあの苦悶の表情は、そうした実情を十分に承知した上で、しかし現段階では開催国の総理大臣としては、五輪の延期や中止を表明するわけにはいかないという、ジレンマを感じさせるのに十分でした。

 

 

数々の伏線

 

 

 推理小説のお好きな方なら、事件の謎解きをするうえで、巧妙に張り巡らされた伏線に注目するはずです。それらがヒントになっている場合が多いからです。WHOの委員や日本オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の委員が、東京五輪を開催するか否かについて、たびたび発言してきたことも「伏線」と見ることが出来ます。

 

 

 それらのネガティブな発言に対して、IOCのバッハ会長や森喜朗会長が即座に反論したことも、伏線に違いありません。ミステリーファンの皆さんならば、これらの「伏線」が示すところが何なのか、とうに答えは出ているはずです。

 

 

 はっきり言いましょう。今回は大変に残念ながら、東京五輪の開催は中止となる公算が大ではないでしょうか。トランプ大統領も語った、大会を1年後に延期したらどうかとの意見もありますが、それも大統領の”リップサービス”なのかもしれませんね。

 

 

 新型コロナウィルスを完全に制圧できるまでには、少なくともあと2、3年はかかりそう。折角、開催国となったのに申し訳ないけれども、今回は諦めてくれ。

 安倍総理がとトランプ大統領と電話で会談した時に、そんなニュアンスの話があったのではないでしょうか。

 

 

 さて、数々の伏線があり、状況証拠もあります。あとは、正式決定を待つのみですが、ミステリーファンならずとも、もう結論は見えています。残念ですが。