明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

雨ニモマケズ、「コロナ」ニモマケズ

 宮沢賢治の有名な詩、『雨ニモマケズ』には時代背景の違いこそあれ、今の日本人が直面している様々な困難に対して、気の持ちようが肝要であるという教訓が含まれているように思われます。

 雨風だけではなく雪や夏の暑さにも負けない丈夫な体をもつこと。これを現代に置き換えれば、先ごろ九州、中国地方を襲った豪雨災害の被害であり、また「雪ニモ夏ノ暑サニモ」とはまるで「コロナ禍」に見舞われ感染した方々と医療従事者やその関係者に対するメッセージのようでもあります。

 この詩に描かれる人物はそうした非常に困難な状況下にあっても、他人事のように振る舞ったり、或いは逃げ出したりせずに、「イツモシヅカニワラッテヰル」ことが出来るのです。

 

 

 しかもこの人物は清貧を心掛け、決して自分の利益を優先させることはなく、冷静に状況を判断することを忘れません。困った人をよく助け、弱気になっている人には励ましの言葉を投げかけ、争いごとを収め、東奔西走の日々。その結果、他人から蔑まれるだけで褒められずとも何とも思わない。「サウイウモノニ、ワタシハナリタイ」の言葉で終わります。

 

 

 これでは「一日一善」どころではありませんね。とんでもない「お人好し」かもしれない。「デクノボウ」呼ばわりされても気にもしないとは、よほど強靭な精神力の持ち主に違いありません。こんな人物にはなかなかお目に掛かれないでしょう。世にいう聖人君子には、得てして見掛け倒しのケースが多いように思われます。

 

 

小池百合子高市早苗

 

 

 さて、緊急事態宣言が12日までの期限から今月末へ延長される中、政界は今、上へ下への大騒ぎの様相を呈しています。ご承知のように自民党の総裁選に向けて、派閥の思惑やら何やらが渦巻き、一寸先をも見通せぬ深い闇に覆われています。すでに出馬を表明した候補者の方々が我こそは次期総裁に選ばれんと”東奔西走”する様子を見るにつけ、宮沢賢治が『雨ニモマケズ』に描いたような人物は彼らの中に一人でもいらっしゃるのだろうかという疑念を抱かざるを得ません。

 

 

 与党・自民党の総裁選騒動に、「コロナ対策」が後回しにされていると批判する野党各党。立憲民主党の枝野幸雄代表などはその筆頭格ですが、東日本大震災の大惨事に見舞われた際に、当時の民主党政権の無策ぶりは今さら言うまでもありません。「コロナ禍」で難しい舵取りを強いられる自民党政権に対して、枝野氏が声を張り上げて非難しても説得力はありません。

 

 

 菅総理が事実上の退陣表明を行った際に、自民党内でさえこれを予測していた議員はほとんどいませんでした。菅氏の「退陣」は与党、野党を問わず、寝耳に水だったのです。それは小池百合子都知事も同様でした。小池氏の”変わり身”の速さは知らぬものはないほどですが、さすがに今回ばかりはいつもの”動物的”とも言われる勘も働かなかった模様です。

 

 

 小池氏の野望とは、ずばり「初の女性宰相」になること。最大都市・東京の都知事として辣腕ぶりを大いにアピールし、再び国政に打って出る。その際には都民ファーストの会特別顧問の肩書を最大限に利用して、自民党を含む超党派議員を集結させて「小池新党」を立ち上げる。そこまでいけば小池旋風に煽られ自民党も小池氏の軍門に降らざるを得なくなり、そしてついに小池氏は初の女性総理大臣への就任という野望を果たすのです。ところがこのような壮大なる計画を前にして、思わぬ伏兵が現れたのです。

 

 

 伏兵とは、高市早苗氏のことです。ざっと高市氏の来歴を見ると結党と同時に自由党に所属しその後は新進党(1994年当時)に合流し、新進党を離党してすぐにこんどは自民党に入党するという、これまた変わり身の速さ。清話会所属議員となり小渕政権では通産政務次官を、森政権では森氏の懐刀となり、小泉内閣で経済産業副大臣に就任。一度、落選した後に2005年の郵政民営化選挙で小泉首相の指示で造反議員の選挙区に刺客として送り込まれ再選を勝ち取りました。第一次安倍内閣内閣府特命担当大臣に就任して初入閣。その後、自民党が下野したが、再び政権を奪取すると第二次安倍内閣で初の女性の総務大臣に就任しました。

 

 

 安倍晋三氏の信任が厚いことが窺えますが、まさしくその通りで、今回の総裁選でも安倍氏からの強力な援護を得ての出馬でした。「コロナ対策」でとかく批判される菅総理の後任としては、手詰まり感の強い現在の政権が支持率を下げる中にあって、首相を退いてからも根強い人気を誇る安倍晋三氏の”推しメン”で、もし総裁に選出されれば初の女性の総理大臣が誕生するという点で注目度も”鮮度”も高い。剛腕ながらも”変人伝説”が囁かれ出した河野太郎ワクチン接種推進大臣よりも多くの支持票を集められるかもしれません。

 

 

 繰り返しになりますが、一寸先が闇と言われる政界ですから、次の首相が河野氏になるのかそれとも初の女性総理が誕生するのかまだ何とも言えません。現在の自民党総裁候補の中に『雨ニモマケズ』のような「人物」が含まれていることを願わずにいられません。