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「第6波」を遠ざけるにはどうすれば良いのか?

 最後までイマイチ人気のなかった菅総理の後を襲い、第100代内閣総理大臣岸田文雄氏が就任する中、新型コロナの感染第五波もいつの間にか収まりつつあるようです。季節は夏から秋、そして冬へと移り変わり、「東京五輪」の開催すら危ぶまれたあの夏はもう遠い昔の出来事のようです。

 

 

 それにしてもよくぞ「東京五輪」を開催できたものだと感心してしまいます。とはいえ、「東京五輪」の開催はやるも地獄、辞めるも地獄のはずで、外国からの観戦客を断って無観客での大会としたことにより、五輪開催で見込まれていたインバウンドがゼロになり、大赤字を残す結果となったのは言うまでもありません。もしも菅内閣時代の功績をひとつだけ挙げるとしたら、やはり「東京五輪」を強行開催した点は外せません。

 

 

 感染対策が後手後手に回っているとの批判もあった菅総理ですが、一時はワクチン接種が遅々として進まなかった不手際はあったものの、現在の国民のワクチン接種率が先進国でも上位にランクインするようになったことを考えれば、戦後最大の国難と言われる「コロナ禍」を現在の感染水準にまで収束させた実績は評価されるべきでしょう。

 

 

「岸田内閣」の障壁とは

 

 

 ワクチン接種だけではなく、医療体制についても危ぶまれた”医療崩壊”を回避できたのは菅前総理の手腕によるものと言えます。在職中の1年間はコロナ対策に明け暮れる日々だったはずで、その上、トランプ氏からバイデン氏へと米国の大統領が交代し、日米関係を含む外交問題について難しい舵取りを強いられたのです。必ずしも菅総理のリーダーシップの賜物とは言えないかも知れませんが、日米豪印「クアッド」首脳会合を成功させた功労者の一人として菅総理の名を上げることはできるでしょう。

 

 

 政治家には常に賛否両論が付きものですが、いかに訥々とした弁舌が国民に響かないなどという批判はあっても、少なくとも菅氏は菅氏なりに汗をかいて働いたことは間違いありません。その菅内閣の後任として新たに総理大臣に就任した岸田氏にも、是非とも大いに日本のために大いに働いていただきたいものです。

 

 

 岸田総理が所信表明演説で語った「新しい資本主義」がどのようなものになるのか、果たして分配と経済成長がうまくリンクするかどうかはわかりません。コロナ禍により疲弊した経済をV字回復させるために、大規模な財政出動を図るといいつつ、他方では大企業への増税の可能性に言及するなど、まだ十分に腰が据わっていないような印象があります。経済成長戦略がしっかりと定まらないうちに公明党が要求するような一時金の支出のみでお茶を濁すようなことがあってはなりません。

 

 

 現在放映中NHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公、「日本の資本主義の父」と称される渋沢栄一が265年も続いた江戸時代から明治時代へと変遷する際にどれほどの苦難に満ちた思いをさせられたのか。そのあたりの経緯については大河ドラマに任せることとして、問題は岸田総理が掲げる「新しい資本主義の実現」が果たして可能かどうかです。岸田総理はもしかすると渋沢が当時感じたような「壁」よりもさらに巨大で重層的な「障壁」にぶち当たるかもしれないからです。

 

 

 岸田総理が最初に突き当たる「壁」は、今臨時国会の会期末にあたる14日に衆院を解散し31日に投開票が行われる「衆院選」です。第100代総理大臣という節目に就任していきなり岸田総理は国民からの”審判”を受けることになります。大胆な財政出動、新しい資本主義と謳ったものの、如何せん、まだ日が浅すぎます。世論調査によれば前内閣よりも支持率はアップしたとはいえ、まだ実績も何もないうちにいきなり選挙を迎えるのははなかなかきついことでしょう。これでは選挙管理内閣と揶揄されても仕方がありませんね。

 

 

「第6波」を遠ざけるためには

 

 

 そんな岸田内閣にも今回、有利な点があります。それは「コロナ」の感染状況が劇的に好転したことです。ご承知のように現在の新規コロナ感染者数は急速に減少しており、東京都では二ケタ台になりました。戦後最大の「国難」とされる「コロナ禍」が一段落することで、今後、Go Toトラベルの再開など旅行業や飲食業の業績が回復基調となる見込みです。

 

 

 ただし。第5波のような大きな感染の波が第6波となって到来するような事態は何としても避けなければなりません。実は、第5波が現在のように急激に収束していった原因については専門家の間でさえも解明しきれていません。理由はよくわからないけれどもとにかくワクチン接種がある程度進んだ結果、感染が収まってきたとしか説明できないのです。それだけに逆に今後、第6波がある日を境に急速に盛り上がってくる可能性もあるのです。

 もう緊急事態宣言や「まんぼう」は懲り懲りです。何とかこのまま感染の大きな波を遠ざけるためには私たちはどうすれば良いのでしょうか。

 

 

 何か特別なことをする必要はないのです。政府分科会の尾身茂会長をはじめ専門家の方々がおっしゃっていたように、とにかく「3密」を避けることとマスク着用と手指の消毒、うがいといったこれまで通りの「新しい生活様式」に沿った基本的な感染予防だけでいいのです。久しぶりに「宣言」が解除されたからといって、いきなりノーマスクで好き放題にすると諸外国のケースのように感染の再拡大は必ず起こります。そうした”反面教師”には事欠きません。

 

 

 岸田内閣の第一の関門である衆院選挙ですが、「新しい資本主義の実現」などという壮大なる構想を訴えるのではなく、「コロナ禍」がある程度収束したという事実と第6波を国民ひとりひとりの地道な努力で遠ざけようとシンプルに問いかければ良いのです。

 そもそも今は封建社会からいきなり資本主義社会へと大変身を遂げざるを得なかった明治時代とは根本的に違います。岸田総理はどう頑張っても渋沢栄一にはなれないのです。

 

 

 政治のことは政治家に任せて、私たちは私たちの出来ることを実行していきましょう。それはいたってシンプルです。必ずマスクを着用する等、基本的な感染予防対策を遵守することです。それこそが第6波から逃れるための最大の防衛術に他ならないのです。