明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

感染者848人!「東京五輪」は本当に「安全・安心な大会」だったのか?

 5日に「東京パラリンピック」が閉幕し、約1か月半に及ぶ「2020東京オリンピックパラリンピック大会」が終了しました。

 「東京五輪」開催の是非については「新型コロナ」の感染状況が日々、悪化の一途を辿る中、五輪関係者を含み大多数の国民が否定的な考えでした。しかしIOCとしてはビッグマネーの動く特大イベントだけに、その「利権」に食らいつかんがために何としても実現に漕ぎ着けたい。開催国・日本にとってもこれまでの「招致活動費」を無駄にしたくから、どうしても開催したい。

 そうした両者の思惑が一致した結果、「緊急事態宣言」が発出される中であっても、無観客での開会、閉会式も辞さず、極めて強引に開催したのです。その結果、オリンピック、パラリンピックの選手や大会関係者から合わせて848人もの感染者を出す事態となったのです。

 

 

「ワクチン後進国

 

 

 感染者848人の内訳は、オリンピックが547人、パラリンピックは301人、代表選手が41人。開催を決めた後、菅総理は「安全・安心な五輪開催は可能」と胸を張りましたが、果たしてこの感染者数は総理のお言葉通りの結果と言えるでしょうか。極めつけは、IOCのバッハ会長がオリンピック閉幕後、帰国前に銀座ぶらを楽しんだことです。これではいくら政府の感染症分科会や小池都知事がいくら「不要不急」の外出を控えるよう国民に呼びかけても虚しく響くだけです。

 

 

 次々と変異種を生む「COVID-19」の脅威は、今や日本もすっかり「デルタ株」に飲み込まれてしまった現状を見れば明らかです。ワクチンが効かない「ミュー株」など、この先もさらに凶悪化した変異種が現れることでしょう。

 ”ワクチン後進国”の日本では感染者数の割合の高い20代の若者への接種が急がれますが、モデルナに異物が混入していたことが発覚し、ファイザーも同様のことが起こりました。これらの”事故”によってさらに若者へのワクチン接種は遅れることになります。諸外国では二度のワクチン接種に加え三度目の接種を実施するところもあるというのに、まったく日本のグダグダ接種にはうんざりさせられます。

 

 

 なぜもっと早い段階でスピーディなワクチン接種を行えなかったのか。今さらながら、疑問に思います。何ごとも「石橋を叩いて渡る」という国民性のせいでしょうか。それとも”国民皆ワクチン接種”という「一大プロジェクト」に際して、政治家が強いリーダーシップを発揮できないからでしょうか。いや、政治家の責任だけではなさそうです。接種業務を取り仕切るべき行政が”縦割り主義”やら何やらで動きが鈍いのも一因でしょう。

 小池知事が思い付きで始めた若者への「アポなし接種」のグダグダぶりには呆れるばかりです。大行列が出来たことへの責任逃れに終始した小池氏の態度は見苦しいの一言です。まったく。

 

 

 流行語大賞の有力候補に挙がるかもしれないのが「不要不急」という四字熟語です。東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県の緊急事態宣言の期限が迫る中、期間の延長が確実になりました。対象となる全国の都府県では再三の「宣言」発動にすっかり慣れきってしまい、今やありふれた日常と化した感があります。

 政府のコロナ感染症対策分科会の尾身会長が「コロナ慣れ」した若者へ向けてSNSを利用して、直接対話を試みようというのは、それほどまでに危機感を募らせてのことに違いありません。前述のバッハIOC会長の「銀ブラ事件」が起きたように、今現在、「不要不急」の意味と意義が改めて問われているのです。同様に、「安全・安心」の意味も問い質されるべきかもしれません。

 

 

刀折れ矢尽きた「菅総理

 

 

 コロナ対策に政治生命を賭けると大見得を切った菅総理でしたが、そのお言葉を額面通りに解釈すれば、要するにコロナ対策に失敗したことを認めたということになります。政治の世界は一寸先は闇と言われていますが、まさしくその通り。内閣改造を行い人事を刷新して来るべく総裁選に打って出るはずだった菅総理がわずか数日の間で考えを180度方向転換して、総裁選への出馬を取りやめることを決断しました。

 一体何が総理にそう決心させたのか、よほどの政界通であってもなかなか理解できません。ましてや筆者を含む一般人にはさっぱりわかりません。

 

 

 政治評論家など政界事情通でなくてもこれだけは理解できます。菅総理は結局のところ「新型コロナウィルス」との戦いに負けたのです。繰り返される「宣言」発出とその期間延期→まん延防止等重点措置→「宣言」再発動という負のスパイラルを断ち切る手立てをすべて使い切ってしまったのです。まさしく刀折れ矢尽きた結果、退陣するほかなかったのです。

 

 

 もしも総理が仰っていたように「安全・安心な五輪の実現」に成功していたら、どうだったでしょうか。これまで五輪開催に批判的な世論は一転し、総理に対して拍手喝采を送ることでしょう。内閣支持率は右肩上がりとなり、総裁選に圧勝して次期首相の座が約束されていたかもしれません。

 でも現実はその逆でした。東京五輪が閉幕して、オリンピックとパラリンピックを合わせての感染者数の総計848人という事実を突きつけられたのです。そして五輪のみならず、日本で世界中でまだまだ「コロナ禍」は収束しそうにありません。