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かくして「安心・安全な五輪」は完全に瓦解した!

 訪日したウガンダの選手団から陽性反応が現れ、すべての選手が濃厚接触者となった結果、複数の感染が判明したことは周知のとおりです。

 従来型に比して感染力が1・9倍という”最強変異株”の「デルタ株」の市中感染が明らかになった今、あのウガンダ人の陽性者を空港検疫所に留め置くこともなく、そのまま「変異株」と共に野に放った政府の大失態は糾弾されるべきです。

 蟻の一穴とはまさにこのこと。この一件が示すのは、いかに政府の「水際対策」が不完全であるかということ。「感染予防」の最前線であるはずの空港検疫でさえこの始末です。菅総理が強弁した「安心・安全な五輪」はすでに瓦解したといっても過言ではありません。

 

 

「どうにもとまらない!」

 

 

 国民の世論の半数以上が東京五輪の開催に否定的な考えにもかかわらず、IOCの口車にまんまと乗せられたのか、あるいは開催地・東京都の小池百合子知事の”思惑”によるものなのか不明ですが、ともかく、多くの専門家が強い警鐘を鳴らしていたにもかかわらず、あとひと月後には「東京五輪」がいよいよ開幕します。

 

 

 その間、政府の分科会や都のモニタリング会議の専門家の先生方が口を揃えて、新規感染者数の推移や「変異株」の蔓延などの状況を鑑みて、「普通ならば、(五輪の)開催は困難」という意見や、「無観客での開催が最低条件」との見解を述べていました。五輪反対論の急先鋒だった日本医師会会長が週刊誌にホステスとの寿司デートをすっぱ抜かれ、急にトーンダウンした嫌いはありますが。

 菅総理とは今ではすっかり袂を分かつようになった政府・分科会の尾身茂会長も五輪開催には懐疑的です。世論も学者もそして与党内からも開催を危ぶむ声が日増しに強くなっている状況であっても、もはや開幕日までのカウントダウンを止める手立てはありません。こればかりは、かのジェームズ”・ボンドもイーサン・ハントも『ミッション:インポッシブル』なのです。

 

 

 東京都などを対象とした緊急事態宣言が期限の20日以降に、蔓延防止等重点措置に”格下げ”されてからも一向に新規感染者数は減少せず、26日現在のデータによれば4日連続して前週の同じ曜日に較べ100人超えの増加に転じています。田村憲久厚労相も現状の感染状況について、リバウンドの傾向が見られるとの見解を示しました。

 政府関係者からは五輪開幕の直前の7月20日頃には、都の新規感染者数が1週間平均で700人程度に上昇するとの見方もあり、西村経済再生担当相の言のように開催中であっても緊急事態宣言の発令が現実味を帯びてきました。

 

 

 そもそも3度目の「宣言」発令は何としても「東京五輪」の開催に漕ぎつけたい一心であったに違いありません。にもかかわらず、いくら「宣言」の再々延長は避けたい思惑があったとしても、総理の主張する「安心・安全な五輪」を実現させるためには、中途半端に「宣言」を解除すべきではなかった。前回、「まんぼう」での失敗から何ら教訓を得ることもなかったようです。

 

 

 明らかに新規感染者数が減少に転じ、全国の感染状況が目に見えて改善の傾向にあるのならば、「宣言」から「まんぼう」にランクダウンさせてもリスクは少ないでしょう。しかし今現在の「感染状況」は明らかにリバウンドしつつあります。「宣言」解除どころかこの分では「まんぼう」の期限である7月11日の解除も再考せざるを得なくなりかねません。

 

 

 ひと頃、政府や一部の専門家が「ワクチン接種」が感染収束の切り札であると主張していました。が、実際には、全国民を対象にワクチンの接種を実行すると豪語していたわりには、肝心のワクチンの供給は滞りがちの上に、接種方法を各自治体任せにしたせいで遅々として接種は進んでいません。

 ようやく大規模接種会場が確保できるようになり、さらに自衛隊の協力もあって、ワクチン接種は以前に比べればスピードは増しました。それでも、”ワクチン先進国”の諸外国に比べれば、まだまだです。

 

 

瓦解した「安心・安全な五輪」プラン

 

 

 もっとも恐れるべきは、言うまでもなく「変異株」のひとつである「デルタ株」の感染拡大です。実際に、すでに「デルタ株」の市中感染は確認されています。インドやベトナムパキスタンなどで急拡大していった「インド株」とも呼ばれる「デルタ株」ですが、この新型ウィルスが発見された当初には、私たち日本人は遠い国での出来事に過ぎず、それが今や従来株に取って代わろうという状況になろうとは、実のところ、想定していなかったのではないでしょうか。

 

 

 「COVID-19」は単なる病原菌などではなく、恐るべき「生物化学兵器」ではなかろうか。だとすれば、インフルエンザのようにワクチンさえ接種していれば、大したことにはならないだろうと言う考えはあまりにも危機意識に欠けていました。トランプ前大統領が”根拠”こそは明かさなかったものの、「中国のウィルスだ。そのことは習近平も知っている」と自身のツイッターで爆弾発言をしたことが思い出されます。

 

 

 トランプ氏のこの発言が果たして真実なのか否かは、ご本人以外は伺い知れませんが、発生源の中国を始め、ロシア、米国、英国などの先進諸国ではすぐに「新型コロナウィルス」のワクチンの開発に取り掛かりました。そしてトランプ氏の言によれば「中国産」のウィルスである故にいち早く中国ではワクチンの開発に成功し、ロシアや米国、英国もほぼ同時期にワクチンを開発・製造に動き出しました。

 

 

 日本はどうだったでしょうか。ご承知のようにいまだに日本製のワクチンの開発、製造には至っておりません。ファイザーアストラゼネカなどの外国の製薬会社からワクチンの供給を受けられるように政府は「ワクチン外交」に努めたようですが、予定通りの数量が供給されず、ワクチンは不足気味です。これでは”切り札”の「ワクチン接種」の加速化もおぼつきません。

 

 

 「ワクチン」さえ全国民が接種を済ませることが出来れば、「コロナ禍」は収束する。そのように政府は当初から考えていました。ところがどうでしょう。ワクチン接種は遅々として進まず(少なくとも東京五輪の開幕までには)、今度は感染力が従来型の約2倍という狂暴な「デルタ株」がしだいに席巻しつつあります。
 かくして「安心・安全な五輪」の開催プランは完全に瓦解したのです。いよいよ「感染五輪」の幕が切って落とされるのです。