明日を元気に生きるための「心の処方箋」

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「年賀状辞退」について皆さんはどう思われますか?

 今年も残すところあと二か月となりました。そろそろ年賀状を辞退したいというお知らせが届き始める頃です。喪中ならばやむを得ませんが、毎年、代わり映えしないからとか、メールやラインで済ませられるからという理由が多いようです。

 年賀状辞退について、皆さんはどのようにお考えでしょうか。

 

 

年賀はがきが売れない

 

 

 年賀はがきが売れなくなって久しいと言われます。郵便局員は毎年、年賀はがきを売りさばくノルマを課せられるそうで、何とも気の毒な話です。ひと昔前になりますが、プリントごっこというミニ印刷機が大ヒットしたことがありました。その後、パソコンの普及により、プリンターで年賀状を印刷するようになりました。

 

 

 そうした時代の趨勢により、手書きの年賀状を出される方は年々減少の一途をたどるようになり、どこかの会社のDMかと見まがうような賀状が多くなりました。

 私はひどい癖字のため判読しづらいと各方面から苦情をいただいていたので、早々にパソコンのアプリからのプリンターの年賀状に切り替えました。それはそれでやむを得ぬ事情とも言えなくもありませんが、やはり手書きで通すべきだったかもしれません。

 あまりにもプリンターが普及しすぎて、最近では宛名すら印刷された賀状もめずらしくありません。あれはどうも味気ないものですね。

 

 

 一方で絵手紙がブームになりました。あれこそ、一枚一枚、心を込めて手書きで絵と文字を入れるという非常に手間のかかる作業が必要です。絵手紙は良いのに、何故手書きの年賀状は廃れてきたのでしょうか。

 

 

手紙の威力

 

 

 年賀状だけではありません。昨今、手紙をしたためるという習慣もなくなりつつあります。スマホで直接話すか、ラインやメールで済ませる方がほとんどです。確かに急用で用件のみを相手に伝えるには、その方がずっと効率的です。

 

 

 手紙では、まず便箋と封筒が必要ですし、切手を貼った上にポストに投函しなくてはなりません。それだけでも十分に手間なのに、宛先の住所に配達されるには丸一日は見なければなりません。非常に効率が悪いわけです。山羊さんなら折角届いた手紙を食べてしまうかもしれませんしね。

 

 

 電子メール全盛の時代だからこそ、手書きの手紙には手間暇を掛けてしたためた文章に重みがあると思うのです。実は、私自身、そうした手紙の威力を感じたことがあります。

 

 

 雑誌編集部に所属していた頃、ある専門分野について自分の知識を拡げたいと考えて、原稿依頼をしたことのある専門家にアドバイスをいただこうと思いました。原稿の依頼にはFAXと電話連絡でいつも済ませていましたが、その時は特別なお願いでもあったので、手書きで丁重な手紙を書くことにしたのです。

 

 

 手紙が届くころに、さっそくその方からご連絡をいただきました。開口一番、わざわざ丁寧にお手紙を頂戴しまして、有難うございます。この件、私でお力になれるならばいつでもどうぞ、と快諾してくださいました。その方はテレビに解説者として出演され、日々、ご多忙でいらっしゃいましたが、それでも私の申し出に気持ち良く応じていただいたのです。

 

 

 もちろん、日ごろから電話でお話している方ですから、その件でも電話でお願いすることも出来ました。でも、あちらからわざわざご連絡をくださり、さらに開口一番、私の手紙のことを口にされたので、やはり手紙が大いに威力を発揮したのではないかと確信しています。

 

 

日本人の美徳

 

 

 年賀状には、旧年中にお世話になったことへの感謝の気持ちと新しい一年を祈念する意味合いがあります。特別な用件はなくても、またここ数年来お会いしていなくても、同じような文面になります。即ち、旧年中は大変にお世話になり、誠に有難うございました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。という定型文を明けましておめでとうございますやら、謹賀新年やらの決まり文句と一緒に書き入れるという形式的なものです。

 

 

 毎年、同じような文面の代わり映えのしない年賀状。ただ新しい干支を表す図画が変わるだけです。何か特別なメッセージが添えられるわけでもありません。確かに儀礼的で形式的なものかもしれません。でもプリンターで印刷したものでも出来合いのものでも、そこにただひと言、手書きで添えてあればだいぶ印象が違うと思います。

 

 

 ひと言、近々会いましょうでも、どこそこへご一緒しましょうでも、また飲みに行こうでも何でもいいのです。その手書きのひと言で、相手の方にはあなたの現在の状況が少しだけ伝わります。高齢な方の場合には、年賀状に手書きのひと言がないと、病気なのだろうかなどと心配になります。ましてや、年賀状は今年限りになどと言われたら、とうとう旅立ちの日が近いのかなと誤解される恐れもあります。

 

 

 ラインや電子メールでは、あまりにも味気ないと思うのです。深夜0時になった途端に”あけおめ”ラインやメールが届くというのも、まあそれはそれでいいのかもしれませんが、面白みがありませんよね。やはり年賀状という習慣は古臭いかもしれないけれども、形式を重んじる日本人の美徳の一つだとも思うのです。いいじゃないですか。ワンセンテンスだけ手書きすればいいのですから、大した手間ではありませんよ。