災害ボランティア活動もする「ラグビー日本」代表選手は真の英雄だ!
ラグビーワールドカップで初のベスト8に進出を果たした日本代表の活躍ぶりは、日本中を熱くしました。そして、今度は彼らが台風による水害で被災した地域で復旧ボランティア活動をしてくれたのです。彼らこそ、真の英雄と呼ぶに相応しい。私たち日本人の誇りです。胸が熱くなり、思わず涙が溢れました。
身分を明かさず申し込み
最初に声を上げたのは、堀江翔太選手でした。堀江の呼びかけで、田村優、稲垣啓太、松田力也、流大、北出卓也の5名が千葉県富津市郊外で復旧のボランティア活動を買って出たのです。ボランティア募集の窓口には、もちろん、ついこの前までピッチで大活躍したあのラグビー日本代表選手であることなどは、一切明かさなかったそうです。ただ一言、体力には自信があるので、力仕事がしたいと申し出たと言います。
28日にまず田村選手が一人で活動に参加し、翌日29日には田村以外の5名のラガーマンが泥まみれになった家屋から畳などの家財道具を運びだす作業に従事しました。現役バリバリのラガーマンでさえ、畳一畳を運びだすのに数名掛かりだったといいますから、本当に大変な重労働なのです。
黙々と作業に精を出す彼らが、あの有名選手だということを知った地元の方々の求めに応じて記念撮影もしました。地味ながらかなりの重労働に励む彼らの姿は、まさしく試合中の姿に負けないくらい素晴らしく、人々に新たな感動を与えてくれたことでしょう。
感謝の気持ちを表したい
他の選手に復旧ボランティアをしようと呼びかけた堀江選手は、インタビューにこう答えています。
「台風の被害についてはテレビを見て知りました。でも当時はラグビーしかできなかった。大会が終わり、体を休めるのもいいけれど、『何かしたいな』という気持ちの方が勝った。そこで他の選手にも声を掛けたところ、一緒に行こうとなったのです」
流選手もインタビューに応じて、
「試合以外のことで感謝の気持ちを自分たちの姿で伝えられたら」
と語りました。
復旧作業に精を出す彼らを見て、ご近所の方から「試合で勇気づけられました」と話しかけられた時のことをこう語っています。
「僕らのことをサポートしてもらって得たパワーは計り知れない。ラグビーだけでなく、行動でも助けになれたら(いいなと)」
日本のラグビー史上最高の栄誉を勝ち取った彼らは、間違いなく私たちにとって英雄です。でも、何という謙虚さでしょうか。感動しました。
流選手はこんな発言もしています。
「舞い上がらず、足元を見続けて、今後もやるべきことをやらなきゃいけない。負けた後の振る舞いや、人が助けを必要としている時の行動は、人間として大事な部分だと思うから」
彼らは少しも驕り高ぶることなどしません。だからこそ、真の英雄たり得るのだと思います。彼らの発する言葉の端々に、私たちは学ぶべきことが多くあると思いました。
日本代表選手といっても、彼らはそれぞれ企業に所属する社会人です。社会人としての責任感や意識の高さが伺える場面でもありました。社会人たるもの、活躍したからといって決してチャラチャラしたりはしないのです。
ラグビー日本の試合が終わり、代表選手たちは各局の報道番組などに多数、出演しましたが、番組MCやコメンテーターの方がよほど舞い上がっていましたね。彼らは流選手の発言にあったように、舞い上がらず地に足を付けて、今後のことを見据えているのです。
彼らをベスト8まで持ち上げてくれた、我らがジェイミー・ジョセフHCの続投も決まりました。また4年後にはきっとさらに進化して、活躍してくれることを願ってやみません。
ヨーロッパ社会では、貴族階級などの身分の高い人には、それに応じて果たさなければならない義務や責任があることを「ノブレス・オブリージュ」と言います。現代日本は階級社会ではありませんが、あえて今回の復旧ボランティアに参加したラガーマンたちに対してこの言葉を使いたいと思います。英雄となった彼らは決して驕らずに、一市民としてボランティア参加を買って出た、その行動こそがノブレス・オブリージュだと思うのです。
ワールド杯は終わりましたが、試合後の彼らの立派な行動に、惜しみない拍手を送ろうではありませんか。