明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」立派に実った「新米」に心から感謝しましょう!

 それにしても今年は何と自然災害の多い年でしょうか。10月に入ってから上陸または接近した台風19号と21号による被害は甚大で、38都道府県に及び、被害総額は1679億円に上りました。このうち農作物の被害額は116億円。農業用ハウスは26億円の被害が出ました。9月に上陸した台風15号でも千葉や茨城など12都県で509億円の被害があり、三つの台風による被害の総額は何と2000億円を超えるものでした。まさしく未曽有の災害に襲われたのです。

 

 

雨ニモマケズ

 

 

 農水省による11月前半の野菜価格の見通しでは、キュウリやトマトなど11品目が平年並みで、ニンジン、白菜、キャベツの3品目は安値水準で推移するとのことです。日本の農業は本当にタフですね。まるでラガーマンのように逞しい。文字通り、「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」に育ったのです。東北出身の宮沢賢治も草葉の陰で泣いていることでしょう。

 

 

 水害による農地や農業施設が壊滅的な状況となり、今後、農業を続けていくことが出来なくなった方も大勢いらっしゃいます。また台風が接近する前に急いで米を刈り取り、保管していたものの、その保管所が水没して折角のお米が売り物にならなくなるという被害も多く見受けられます。何と酷いことでしょうか。

 

 

 米どころの宮城県では、今年の米の作柄は「やや良」の豊作だそうですが、台風19号による被害総額は4700万円で、さらに被害額が増える可能性もあるといいます。それでも豊作になったというのは、まさに奇跡的としか言いようがありません。

 

 

 宮城県在住の友人、Mさんから今年も新米が我が家に送られてきました。ぴかぴか、つやつやの新米です。どっさりと袋詰めされたお米を見た時に、私は泣きそうになりました。有難いことです。そして、ご実家が米農家のMさんが今年も、例年にもまして豊作だという美味しいお米を送ってくださったことに、私は、ああ無事でこのような素晴らしい新米を収穫されて本当に良かったと、胸を撫でおろしました。神様にお礼を申し上げなければ、罰が当たります。

 

 

 Mさんとは20年来の交流があり、毎年、この時期には収穫したての新米をたくさん送ってくださいます。そして、Mさんからの心よりの贈り物を有難く、美味しくいただいております。今年のお米は先の台風被害のことを思うと、特別な感じがします。実は、Mさんは東日本大震災でお子さんを津波で亡くされた、辛いご経験をお持ちです。

 

 

 東北地方を襲った巨大な津波がMさんのお子さんの命を奪ったのです。Mさんはその数年前に結婚されて、海辺の一戸建てに住み始めたばかりでした。その時、Mさんは仕事の用事で自宅から離れた場所にいたため、津波から逃れることが出来たのです。

 

 

 悲しみは時が解決してくれるといいますが、そんなことはありません。どんなに時間が経過しても、悲しみはずっと心の奥底に残るのです。でもどれほど悲嘆にくれようとも、一度失われた命が元通りになることはありません。悲しみを抱えながら、生きていくしかないのです。Mさんは悲しみの中で、日々を精一杯生きているのです。

 

 

立派に実った新米に感謝を

 

 

 いただいた宮城県産のぴかぴかの新米。Mさんのご実家で精魂込めて育てたお米です。それをいただける私は幸せ者に違いありません。いえ、そうでなければMさんの心尽くしに応えたことにならない。太田裕美の『木綿のハンカチーフ』ではありませんが、50を過ぎた私などは、都会の絵の具にもうとっくに染まり切り、社会に会社に仕事に揉まれに揉まれて、真っ黒になってしまいました。中原中也の『汚れっちまった悲しみに』の如く、汚れっちまっているのです。

 

 

 そんなふやけた感傷に浸るようでは、まだまだ甘ちゃんですね。「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」に育った新米を少しは見習わなければいけません。そう自戒の念をこめて、宝石のような新米を有難くいただくことにします。

 

 

 立派に実った新米に心から感謝しましょう!