「切手」がない時に皆さんはどうされていますか？

　いざという時の備えが大切ということは百も承知のはずでした。とくに台風被害などの視線災害が頻発する中、停電に備えて乾電池を用意しておくとか、水は一日一人あたり３リットルは必要だから最低でも三日分を用意しておくことなど、災害への備えは万全のはずでした。

「切手がない」

　ところがです。井上陽水の『傘がない』ではありませんが、問題は今日の手紙、切手がないことに今、気が付いたのです。行かなくちゃ、手紙を出しにいかなくちゃ。でも切手がない。という事態に陥っています。参ったな。

　先日、新米をいただいたことへの礼状を出そうと思い、ひと通り手紙をしたためたところで、切手がないことに気づいたのです。そうです。消費税率の引き上げに伴い、定型の手紙には84円の切手を貼る必要があることをすっかり忘れていたのです。

　家の中をくまなく探しましたが、見つからない。カバンの中も、机の中も探してみたけど見つからないのに、まだまだ探す気ですか。『夢の中へ』の一節ですね。本当にそんな風にあちこち探しまわったのです。でも、50円切手、120円切手にあとは82円切手しかありませんでした。

　いやはや、手紙の重要性についてブログに書いた、その当人がこの有様です。でもだからといって、ラインや電子メールで済ませればよいとは考えていませんよ。ただ、やはり旧メディアである手紙は何かと不便な点があることをあらためて実感したわけです。

　そもそも切手は買い置きしておくのが普通です。料金改定後は84円切手をちゃんと用意しておかなければいけませんでした。84円に切り替わる少し前から街中から82円切手が姿を消したことをご存知でしたか。まだ84円じゃないのに、82円切手のストックがなくなった人は、あちこちのコンビニをはしごしても、結局手に入れることが出来ませんでした。そんな様子を傍で見ていたのです。

切手一枚のために

　切手の宅配サービスはないのでしょうか。あれ、切手がないと慌てた時に、すぐに必要な枚数の切手を届けてくれるサービスはないものでしょうか。もっとも一枚数十円、まとめ買いをしてもせいぜい数百円にしかならないから、商売にならないでしょうね。でももし今そんな便利なサービスがあれば、すぐにでも利用したいと思います。

　コンビニに行けばそこで入手できるわけですから、そうすべきなのでしょう。でもよれたジャージ姿のまま外出するのは気が進みませんから、着替えをしなくてはなりません。それにたかが84円こっきりの買い物をするために、わざわざ着替えしてまで外出するのは、どうにも億劫です。

　仕方がない。明日、出かけたついでにコンビニに寄るなりして切手を買って、その場で84円切手を貼り、ポストに投函しようかとも思うのですが、そうなると、すでに手紙の末尾には日付けを書き入れています。投函してから、その手紙が宛先の住所に届くには一日以上は見なければなりません。そうすると、日付けが合わなくなってしまいます。

　手紙を受け取った方はきっとこんなことを思うことでしょう。「あれ、日付けが二日も前になっている。ポストに手紙を投函するのを忘れたのかな」と。いえ、決してそんなことはないんですよ。お礼状ですから、出し忘れるなんて失礼はしません。どうぞそれだけは信じてください。と心の中で思っても、相手の方には通じるはずもありませんよね。困ったものです。

　折角の礼状なのに、感謝の気持ちが切手一枚のせいで十分に伝わらなくなってしまっては元も子もありません。ここはひとつ、今すぐにでも着替えをして、コンビニに切手を買いに行かなくては。歩くよりも車で行った方が早いからそうしよう。と、ついにここに至って私は切手一枚を買うためにコンビニに行くことを決意したのでした。

　ジャージを脱ぎ捨てて、シャツを着て、寒いから上着を引っかけて、いざ出発です。ところがこの期に及んで、またもや不測の事態に見舞われたのです。玄関の施錠を確かめて、駐車スペースに行き、ポケットを探ったところ、なんと車のキーがないことに気が付いたのです。何と不注意なことよ。車で行こうと決めたのだから、ちゃんとキーを持って出なければいけないのに。いや、待てよ。キーをどこへやったかな。確かにジャケットのポケットに入れたと思ったのだが、そこにはない。ということは、家の中のどこかにキーを置き忘れたわけだが、さて、どこに置いたのか、まったく思い出せない。

　車を諦めて、そのまま出かければよいものの、どうしてもキーをどこに置いたのかが気になります。仕方がなく、もう一度、玄関の鍵を開けて靴を脱ぎ、家の中へ入りました。キーはどこへいった。花はどこへいった。チーズはどこへ消えた？

　さて、皆さんならこの場合、どうなさいますか？私はその時点で今日、手紙を出すのは諦めました。明日、コンビニでちゃんと余分に切手を買って、今後、このような事態に陥らないようにちゃんと備えをしておこうと固く誓ったのでした。備えるべきは、食料や防災セットだけではないことを痛感した次第です。