明日を元気に生きるための「心の処方箋」

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冬の味覚でもある「鰆」の塩焼きを贅沢にいただく

 サワラは漢字では魚編に春と書きますが、実は冬の味覚でもあることをご存知でしょうか。むろん、そんなのは常識だと言われればそれまでなのですが、お恥ずかしながら私は春に旬を迎える魚とばかり思っていました。ところが、スーパーなどの鮮魚売り場を覗いてみると、鰆の切り身が売られているのを発見しました。確かに関西では旬が春の魚とされますが、関東ではむしろ冬の鰆を「寒鰆」と呼び、珍重しているそうです。意外な気がするのですが、皆さんはどうでしょうか。

 

 

「寒鰆」は冬の味覚

 

 

 鰆はいわゆる出世魚で、体調が50センチ以下をサゴシかサゴチと呼び、それ以上の魚体のものは鰆と呼ばれるのです。瀬戸内海産の鰆は高級魚だそうで、スーパーなどで格安で売られているのは、多くは韓国産などの外国生まれの魚です。わざわざ寒鰆と呼ぶくらいですから、さすがに脂がよく乗っていて、塩焼きにすると酒の肴にもなります。

 

 

 サバ科の魚で傷みやすく、新鮮なものを選びたいものです。前述のように関西では、春の魚として刺身にしたり、唐揚げにしたりと料理法もいろいろです。春の鰆はさほど脂分は多くなく、さっぱりとした味わいだそうです。それで西京焼きにするのが定番になったのでしょうね。やはり旬は春なのかもしれません。

 

 

 12月から3月頃までが旬の寒鰆は深海に生息していて、出世魚とはいえ冬場には成長しないそうです。出世魚の代表といえば、鰤(ブリ)。地方によって呼び名が違うのでややこしいのですが、関東では、稚魚をモジャコ、体長35センチ以下をワカシ、60センチまでのをイナダ、80センチ以下をワラサ、それ以上を鰤と呼びます。では他の地方ではどんな呼び方をするのか。気になりますよね。ウィキペディアで調べてみてください。白状すると私もそうしました。

 

 

切り身が泳ぐ⁉

 

 

 ところで、皆さんは鰆がどんな魚体をしているのか、ご存知ですか。出世魚だということはわかりましたが、漁師さんならいざ知らず、水族館の水槽の中で泳ぎ回る鰆の姿を見たことがありません。そこで再びネットで検索したところ、新江ノ島水族館では以前から鰆を展示しているそうです。でも2010年に初めて展示したといいますから、やはり海中でしかなかなか見ることのできない、貴重な魚類です。定置網に掛かった鰆を生きたまま捕獲しようとしても、すぐに死んでしまうらしいのです。

 

 

 鰆は食べたことはあるけれども、その姿は見たことがないという方が、私を含めて多いかと思います。体長が1メートル近くもある大型の魚ですから、そのまま丸ごと鮮魚コ-ナーに並べられることはまずありません。鮭もそうですね。もちろん、クジラも。売り場では切り身にして販売しています。マグロもそうですが、大型魚はなかなかありのままの姿を見る機会は限られています。今でこそ、どこそこの寿司チェーンでマグロの解体ショーを売り物にしているお店もありますが、そういう時でもなければ、なかなか丸ごとを見る機会はありません。

 

 

 お魚好きの小学生のお子さんが、お母さんと一緒に鮮魚店に行って、鮭や鰆、マグロが加工されパックに入って販売されているものを買うところをいつも見ていました。ある時、その子が塩ジャケをおいしそうに頬張りながら、お母さんにこう尋ねたのです。

「シャケって、海の中でこんな形をしていてどうやって泳ぐのかな?」

 

 

 お母さんは慌てて、これは切り身といって本当はもっと大きな魚なんだよ、と説明してもなかなか納得してくれません。それでさっそくお母さんはその子を連れて水族館へ行き、マグロが大きな水槽の中で悠然と泳ぐ姿を見せたのですが、お子さんはひとこと、こう言いました。

「マグロってちっとも赤くないや。つやつやに光っていて気持ち悪~い!」

 それ以来、大好きだったお魚をあまり食べたがらなくなってしまったそうです。

 

 

 無邪気な子供らしい話だなと感心したものですが、鰆がどんな姿の魚なのかもしれなかった自分も同じようなものだと自らの無知を恥じるほかありません。大人も水族館で魚の生態を勉強した方がよさそうですね。

 

 

 では肉の場合はどうでしょうか。鶏肉はまあ鶏だということくらいはわかります。でも最近、鶏肉が何の肉なのか知らない子が増えているそうです。豚肉はよし。牛肉もその名の通りだからわかります。鯵や秋刀魚のような小型の魚ならば、魚屋さんでそのままの形で売られているので、誰でもわかります。でも、たとえば鰆のような魚はどれくらいの大きさでどんな魚体をしているのか、知りませんでした。切り身になって売られているところしか知らなかったのです。

 

 

 それはさておき、鰆の旬が春と冬であることがわかりました。春の鰆はあっさりと淡泊な味わいで、冬場のは脂の乗りがいいこともわかりました。そして寒鰆の塩焼きを美味しくいただきました。冬の味覚を楽しみつつも、ちょっとだけ頭が良くなったような気がします。何しろ魚には、血液をサラサラにする成分のDHAEPAが豊富に含まれていますからね。皆さん、魚をもっと食べましょう。