明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

居酒屋で楽しく飲めるのは「アルバイト店員さん」のお陰です!

 寒い雨の週末ですね。都心でも霙が観測された地域もありました。前回のブログでお話しととおり、「寒い週末」を楽しむべく防寒対策を万全にして、行きつけの居酒屋へ行ってみました。家から一歩出た瞬間から強い北風にさらされ、手足がかじかむ思い。一刻も早く目当ての店に急ぎました。果たして、店内は暖房が十分に効いていて、気持の良い暖かさに包まれました。こんな日には、当然、熱燗を一杯いただきましょう。

 

 

凄腕の女性店員さん

 

 

 蛸の酢の物がお通しで出された後、さて今日は何を頼もうかなと考えていると、すかさず若い女性店員さんが注文を受けに来てくれました。本日のお勧めは何だろうと思っていたところ、笑顔で立て板に水の如く教えてくれたのです。もしかしたら接客マニュアル通りなのかなとも思いましたが、ここからが彼女の真骨頂でした。私のちょっとしたしぐさから好みを察したらしく、すぐに本マグロの赤身を推薦してくれたのです。数あるお勧めの中から、私の好みを推測して、彼女なりに考え抜いたリコメンドメニューを提示したのです。もちろん、その一品を即座に注文した次第です。

 

 

 彼女の敏腕ぶりはそれだけではありませんでした。それとなく観察していると、各テーブルを回りながら、巧みに注文を受けて、即座に厨房に伝える一連の動作には一分の隙もありません。実に見事な接客ぶりにすっかり感心してしまいました。

 

 

 板前さんと店長は彼女に全権を委託している様子。あれだけてきぱきと仕事をこなしてくれれば、店長も出る幕はないでしょう。居酒屋ですから、客層もまちまちで中には子供連れの客もいました。そんな客には、ジュースのメニューを出してきたり。高齢のご夫婦には懇切丁寧にメニュー選びを手伝ったりと、八面六臂の働きぶりは見ていて実に気持ちの良いものです。

 

 

「人材」は宝

 

 

 恐らく彼女は正社員ではなく、非正規雇用だと思われます。ほとんどの飲食店では、正社員は店長などごく少数だけで、他はアルバイトなどの非正規雇用で賄っています。今の日本社会では、非正規雇用との割合が全体の37・3%を占めます。十人に四人弱が正社員以外なのです。政府は増え続ける非正規雇用に対して、正規雇用との収入格差を縮めるべく、いろいろな方策を打ち出してはいますが、「同一労働、同一賃金」にはまだほど遠いのが現状です。実際に、正規と非正規との収入格差は倍以上もあるのです。かつて日本経済が右肩上がりだった頃とは違い、昨今では正社員を雇い入れる余裕がない会社が増えています。一度、正社員でなくなると、もう二度と正規雇用になれない可能性が高いのです。

 

 

 とくに非正規雇用に頼らざるを得ない業種に、飲食店などのサービス産業があります。ファミレスやコンビニでは正社員はせいぜい一人か二人です。スーパーでも同様で、店長などの管理職以外は皆アルバイト店員というところもめずらしくありません。居酒屋などもその典型です。

 

 

 時々ニュースに取り上げられるような、悪ふざけをするアルバイト店員は中にはいます。食材をゴミ箱へ投げ込んだり、冷蔵庫に寝そべったりする様子をご丁寧にも動画サイトに上げて、”事件”が発覚するのです。でもそういう馬鹿げた悪ふざけをするのはアルバイトだけではありません。違法と知りつつ平気で会社の信用を傷つける正社員などいくらでもいます。不正な経理操作により会社のお金を横領する事件が後を絶ちません。アルバイトだから責任感がなくても仕方がない、正社員だから会社へのロイヤリティが高いとは限らないということです。

 

 

 ファーストフード店がまだ目新しかった頃に子供時代を過ごした私などは、マクドナルドのアルバイト社員に憧れたものです。とくに女子は大人になったら、マックのお姉さんになりたいという子が少なからずいました。アメリカナイズされた凛々しい制服姿に憧れたこともありますが、それ以上にてきぱきと仕事をこなしつつも笑顔を絶やさない、彼らの立ち居振る舞いに憧れたのだと思います。

 

 

 銀座に日本におけるマクドナルドの一号店がオープンしたのは、1971年のことです。以来、マクドナルドに限らず様々なファーストフード店が全国に広がりました。ファーストフード店のみならず、コンビニエンスストアファミリーレストランも次々に全国に展開していきました。その昔、学生バイトといえば、新聞配達くらいしかありませんでしたが、今やアルバイトはあらゆる業種で求められています。昨今の外食産業などサービス業では常に人手不足状態にあります。とにかく人手が欲しいということで、アルバイトを募集していくうちに、中にはろくでもない人間も混じることもあるでしょう。そんなチャランポランな人が「バイトテロ」を引き起こすのです。

 

 

 居酒屋に話を戻しましょう。あの素晴らしく気が利いて、仕事ができるアルバイト女性は店にとってなかなか得難い貴重な人材に違いありません。個人的な見解ですが、いい店には必ず気持の良い接客をしてくれる仲居さんや店員さんがいるものです。どんなに美味しい料理を出していても、給仕する店員さんが不愛想で非常識な作法だったら、そんな店には二度と足を運ぶことはないでしょう。それ故、優秀な店員さんを確保できるか否かで、繁盛店になれるかどうかが決まるといっても過言ではありません。人材は企業にとって、お店にとって、まさに「宝」なのです。

 

 

 寒空の中、出向いた居酒屋さんで気持ち良く過ごすことが出来たのは、非正規雇用の女性店員さんのお陰だと感謝しています。彼女は失礼ながらたとえ安い賃金でも、今の仕事が自分に向いていて楽しいから、一生懸命に働いているのだと思います。それは勤勉な日本人の美徳でもあり、「おもてなし」の心なのでしょう。でもいつまでもそんな”美徳”に甘えていてはいけません。正しく働く人々が、それに見合った正しい賃金を得られる社会であってほしいと思わずにはいられません。