明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

「時差出勤」「テレワーク」が出来ない職業はどうするのですか?

「まさに今が今後の国内での健康被害を最小限に抑えるための極めて大事な時期」

 加藤厚生労働大臣はそう発言しましたが、軽症の方は自宅で待機して、勝手に病院に行くなというのです。

 新型コロナウィルスは過去に症例がなく、いまだ有効なワクチンがありません。横浜港に停留したまま、約2週間も続々と感染者が現れる客船の中に閉じ込められた、ダイヤモンド・プリンセス号の乗客を、私たちは目の当たりにしたのです。もしや自分も感染したかもしれないと感じた高齢者の方々がいつ重症に陥るかもしれない中、自宅でじっと待機などしていられますか。

 

 

会社を休めない人々

 

 

 加藤大臣は、現時点では、まだ大規模な感染拡大が認められているわけではないとし、国民に冷静な判断を促しました。政府は感染の拡大を食い止めるための「基本方針」を策定。具体的には、発熱などの風邪の症状がある場合は仕事を休み、外出を控えたり、企業などに対して時差出勤やテレワークを強く呼びかけるとのことです。

 

 

 猛烈社員が頑張っていた昭和の時代ほどではありませんが、相変わらず、有休休暇もまともに取れない状況にあります。さすがに有給休暇の消化を企業側に義務付けはしましたが、サービス残業やら休日出勤などに形を変えて、従業員たちは働きづめなのは今も昔も変わりありません。日本人の美徳のひとつに「勤勉さ」が挙げられますが、勤勉過ぎるのも考えものです。

 

 

 有休を半ば”強制的に”取らされても、なお会社員は働き続けます。そんな日本人の勤勉さ故に、ちょっとくらいの体調不良で会社を休まないのです。明らかに風邪を引いていて、市販の風邪薬を服用しつつ、無理して出社するのが我らサラリーマンの悲しい性です。そんな会社人間たちにちょっと熱があって風邪っぽかったら会社を休めと言っても、素直に従うとはとても思えません。

 

 

 ましてや3月は年度末です。一年で最も多忙なこの時期に少しくらいの熱で休むはずもありません。大部分の方はきっと多少無理をしてでも、仕事が残っているからと出社することでしょう。高齢者や喘息や糖尿病などの持病を抱えている方ならいざ知らず、若い働き盛りの社員たちは多少のことでは休まないものです。

 

 

 新型コロナウィルスの感染者がどこそこに何名出たなどというニュースが毎日、報じられますが、いざ自分が新型ウィルスに感染しているとは思わないものです。体が丈夫で風邪ひとつひかないような剛健な方こそ、コロナウィルスに侵されているなどとは考えもしないのです。自分は丈夫だから平気だ、これくらいの熱は風邪薬ですぐに良くなるだろうと信じて疑わない。皆様の周りにもそういう方が少なからずいらっしゃいませんか。

 

 

 今回の新型肺炎は、まだ症状が顕在化しない初期段階でも他人にうつるといいますから、なお質が悪い。勢い、通勤電車の中で、人混みで、エレベーター内で、会社で等々、知らないうちに菌をばらまく「クラスター」となってしまうのです。

 

 

虚しい「基本方針」

 

 

 政府は今回の基本方針の中で、クラスターを起こす状況をなるべく避けるように呼び掛けています。前述したように、時差出勤やテレワークを推奨するのはそのためです。しかし、実際に政府の呼びかけの通りにいくでしょうか。

 

 

 たとえば時差出勤ですが、会社まで短時間で行かれる都心部に自宅があれば、いつもよりも1時間でも早めに出社することで、ラッシュ時の通勤電車を避けることができるでしょう。でもそれは限られた方だけです。

 多くの会社員は東京近郊や県外にお住まいですから、通勤時間が1時間以上、いや2時間近くも掛かる方も結構いらっしゃいます。そういう遠距離通勤の場合には、時差出勤で始業時間を1時間早めたり、遅くしても、結局のところ、どこかでラッシュアワーに引っかかってしまいます。

 

 

 テレワークはどうでしょうか。IT企業やデスクワーク主体の職種ならば、それも可能でしょうが、すべての会社員がテレワークのみで仕事が出来るはずもありません。最も労働人口の多いサービス業では、テレワークなどは到底無理です。接客業や営業マン、タクシーなどの運送業、そして雑誌編集者などは、顧客や対象者と向き合ってはじめて仕事が出来るのです。

 

 

 ブルース・ウィルス主演の映画『サロゲート』は、脳波で遠隔操作できる自分の分身となるロボット「サロゲート」がオフィスで仕事をしたり、外出したりして、当人は安全な自宅にいながらにして、自在に「サロゲート」を操って日々を過ごすという内容でした。すでに自ら判断して行動するAIロボットが存在する現在、このSF映画の世界観が現実のものとなる可能性はあると思います。

 もしも自分の分身となってくれるロボットがあれば、ロボットが代わりに通勤電車で出社して、仕事をしてくれるから、ウィルスに感染する心配はありません。でも言うまでもありませんが、これは映画の話であって、現実には、生身のあなたが新型ウィルスにいつ感染するかもわからない状況で、日々を過ごさなければならないのです。

 

 

 「時差出勤」も「テレワーク」も出来ないサラリーマン諸氏は一体、どのようにして未知の細菌から我が身を守れと言うのでしょうか。勤め人一人に一体ずつ「サロゲート」を貸与するというのなら話は別ですけれども…。

 ところで、唯一の防御手段たるマスクはどうなっていますか。まだ全然足りないではありませんか。ああ!

 せめて「発酵黒にんにく酢卵黄」で日頃から抵抗力を高めて、ウィルスに負けないように自衛するほかありませんね。