明日を元気に生きるための「心の処方箋」

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埼玉の「劇団クラスター」から学ぶべきこと

 「コロナ禍」による経済的なダメージから一刻も早く立ち直るために始まった「Go Toトラベル」。今月から晴れて東京都もその対象となり、第二弾の「Go Toイート」もスタートしました。

 菅内閣は最優先課題として「新型コロナ対策」を挙げましたが、社会経済の再生を図るには、「Withコロナ」を前提とした経済対策が必須です。しかし、現在の感染状況は、まだ「新型コロナ」の収束には程遠いと言わざるを得ません。

 

 

 全国で最も感染者数の多い東京都では、11日に確認された新規感染者数が146人と4日ぶりに200人を割りましたが、依然として200人の大台を超える日が続いています。感染第二波は落ち着くどころかむしろ横ばい状態で、今後、気温が低下する冬にかけてインフルエンザとのダブル流行も懸念されます。

 

 

 感染の第一波が過ぎてからほどなくして第二波が到来したことはご承知のとおりです。今後、第三波の襲来も十分にあり得るわけで、まったく予断を許さない状況です。そうした中にあって、あらためて「コロナ禍」の危機管理の在り方について考えさせられた「事件」が起こりました。

 

 

クラスター」の脅威

 

 

 さいたま市浦和区の劇団『ミュージカル座』内で大規模クラスターが発生したのです。同劇団では今月4日と6日にオーディションを実施しましたが、6日になって劇団関係者の一人がPCR検査で陽性が判明。濃厚接触が疑われるオーディションの参加者ら91人に検査を受けるよう呼びかけたところ、現在までに62人の感染が確認されています。

 

 

 同劇団では「コロナ対策」として検温や手指と靴裏の消毒まで施して”万全”を期していたといいます。それでも「新型コロナ」の毒牙にかかってしまったのです。靴裏の消毒までしていたくらいですから、恐らく「三密」を避けオーディション会場の換気にも気を使っていたことでしょう。それでもクラスターが発生したのです。

 

 

 WHOも警告しましたが、「新型コロナウィルス」は飛沫感染のみならず、空気感染の可能性も否定できません。先日、このブログでマスクこそが最強の武器であることをお話したばかりですが、もし空気感染するならば、中国製の安価なマスクくらいでは、このウィルスには到底太刀打ちできそうにありません。それこそ軍事用の防毒マスクでもなければ、完全に感染は防げないでしょう。

 

 

 今回クラスターが発生した、さいたま市の劇団のケースのように、たった一人の陽性者がいるだけで、たちまちその場に居合わせた人の間で感染が拡大してしまうのです。今回のは決してレアケースではありません。同様のケースが全国各地で頻発しています。病院での院内感染や老人福祉施設などでクラスターが多発しているのです。

 いつ、どこでクラスターが発生するのか、誰にも予想はできません。ただ一つ言えるのは、それは常にどこでも起こり得るということです。

 

 

問われる経営者の「資質」

 

 

 政府の専門家会議(現在の分科会)が提言した「新しい生活様式」では、「三密」を避け、ソーシャル・ディスタンスを保つことの重要性を説いています。それについては、皆さんも耳にタコが出来るほど聞かされていることでしょう。しかし、もし「新型コロナウィルス」が空気感染する性質を持っているのならば、これだけでは不十分です。「三密」どころか、他人と同じ空間にいることすら危険なのです。

 

 

 「新しい生活様式」を実践するために、密になりがちなイベントや集会などは避けること。会社員には混雑する通勤列車を避けて、時差通勤や通勤の必要のないテレワークに切り替えることが推奨されています。今現在、業種によってはテレワーク化が十分に進んでいないところも多々ありますから、すべての勤め人が通勤電車から解放されるのはまだ先のことになりそうです。

 

 

 会社側にしてみれば、時短やテレワークによって生産性が低下していたところで、ようやく感染第二波が落ち着きつつあるように見える中、早く従来通りの勤務体制に戻したいというのが本音でしょう。ブルジョアプロレタリアート。搾取する側とされる側。私たち”搾取される側”の人間としては、「新型コロナ」の収束が見通せない段階で従来の勤務体制に戻ることについては、承服しかねます。

 再び三密そのものである満員電車で毎日通勤しなければならないのでは、あまりにも危険が大きすぎます。誰でも命の危険に晒されてまで会社に"奉公”したいはずもないのです。

 

 

 「新しい生活様式」は個人だけに求められるわけではありません。当然ながら、企業側にも強く求められるものです。時差通勤や時短勤務だけではまったく不十分です。オフィスの窓を開けて換気に努めることや、社員同士でソーシャル・ディスタンスを取るようにすること。こんなことくらいでは感染は予防できるはずもありません。大企業も中小企業もそのオフィスの広さに違いはあるものの、同じ空間に社員同士が密に集まっていることには変わりはないのです。

 

 

 テレワークが難しい業種は確かにあることでしょう。でも、何としてもそれが可能になるように企業側は最大限の努力を図らねばならないのです。それこそが「アフターコロナ」に生き残るための最低限の条件だからです。テレワークでは生産性があがらないと嘆いて見せたり、抜本的な「働き方改革」に知恵を絞らない経営者がいたとしたら、私たちははっきりと「あなたには資格がない」と断言すべきです。

 

 

 この期に及んでも、いまだに「コロナ」以前の勤務体制に固執する企業など言語道断です。そんな会社が生き残ることは不可能でしょう。オフィスに半数以上の社員が従来のような形で机を並べて仕事をしているような会社には、”将来性”はないとみていい。何故ならば、そのような企業の経営者には、「アフターコロナ」時代の経営ビジョンがあるとは到底、思えないからです。

 

 

 「アフターコロナ」に向けた新たな挑戦はまだ始まったばかりです。「Go Toキャンペーン」の経済効果も一時的なものに過ぎません。旅行業も外食産業もエンタメ産業も、その他すべての業種が今、その存在意義を問われているのです。言い換えれば、「新しい時代」の幕開けでもあるのです。