明日を元気に生きるための「心の処方箋」

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「地域クラスター」も織り込み済みだったのでしょうか?

 4連休明けの月曜日、東京都で確認された新規感染者数は131人と久しぶりに200人台を下回りました。が、翌日の28日には266人に倍増して、一向に収まる気配のない「コロナ禍」の猛威をあらためて実感させられました。

 

 

 「Go Toトラベル」初日の23日には、東京都の一日あたりの感染者数が366人とこれまでの最高記録を更新したことはご承知のとおりです。感染者数が全国一多い東京都を同キャンペーンの対象外としたのは当然のことで、納得できます。連休前から急激に感染者数が増加していた大阪府の吉村知事は、政府の推進する「Go Toキャンペーン」について、疑問視する発言を行いました。それでも、内閣の報道官でもある菅官房長官は、同キャンペーンを推進する考えに変わりがないことを改めて表明したのです。

 

 

政策の矛盾

 

 

 今後、懸念されるのは、「Go Toキャンペーン」によって、無症状のまま周囲にウィルスを蔓延させる恐れのある”隠れ感染者”が、全国津々浦々に移動したことで、「地域クラスター」が全国規模で多発する可能性が高いことです。緊急事態宣言が発令された際には、県外への移動を含む不要不急の外出を控えるように要請されたのに、今現在、感染第二波が到来している最中にもかかわらず、どしどし旅行してくださいと政府がお墨付きを与えているのです。

 

 

 「Withコロナ」の一環なのかもしれませんが、いくら経済再生のためとはいえ、一方で旅行しようというキャンペーンを打ちながら、医療崩壊を招かぬように第二波の備えよというのは、まったく矛盾していると言う他ありません。政府が推進する「社会経済活動」と「コロナ禍」は、そもそも両立し得るのか、甚だ疑問です。

 

 

 杜甫の有名な漢詩「春望」に有名な一節があります。

「国破れて、山河存り

 城春にして、草木深し」

 政府にしてみれば、ただでさえ莫大な赤字財政の上に、毎年のように豪雨や地震などによる自然災害が多発する昨今、これ以上の財政赤字を出したくないと考えるのは、当然でしょう。実際、先行きが見通せない「コロナ禍」では、なおさらです。まさに今の日本は「国破れて山河在り」の心境なのかもしれません。しかし、どのような角度から見ても、「Go Toキャンペーン」はやはり時期尚早だったと言わざるを得ません。

 

 

 尾身新型コロナウィルス感染症対策分科会長に対して、安倍総理は全幅の信頼を置いている様子ですが、果たして、「Go Toキャンペーン」を実施したことで、全国各地で同時多発している「地域クラスター」までも織り込み済みだったのでしょうか。もしそうだとしたら、未知のウィルスがもたらすリスクに関してあまりにも認識が甘かったことを認めるべきです。

 

 

「地域クラスター」の脅威

 

大正製薬のDHA・EPA

 

 あらたに東京・品川区の「ゼームス坂通り商店街」の4店舗でクラスターが発生したことが判明しました。新宿・歌舞伎町や豊島区の池袋駅周辺のキャバクラやホストクラブだけではなく、接待の伴わない普通の居酒屋でもクラスターが起こっているのです。

 

 

 東京だけではありません。静岡県浜松市の中心街にある2店舗でクラスターが発生し、ラウンジ・バーでは何と59人、マジックバー(余興で手品を披露するバーのこと)で8人の計67人の感染が確認されました。愛知県では11人の感染者が出て、初めて100人台を超えました。熊本県でも、造船会社の事業所と介護老人保健施設クラスターが起こり、一日の新規感染者数が33人と最多となりました。

 

 

 今の新規感染者数は2週間前の状況を反映した数字だと言われています。とすると、今後ますます「地域クラスター」が全国で多発することは避けられそうにありません。「Go Toキャンペーン」の功罪を問われれば、明らかに”罪”の方が多いに違いありません。以前から繰り返し、「三密」を避けて感染防止に努めなさい、と政府は国民に協力を求めていますが、政府の方針はまったく矛盾だらけで理解に苦しむばかりです。

 

 

 感染者数が爆発的に増加して、医療機関がパンクする事態だけは避けなくてはならないと安倍総理は会見で繰り返し訴えていますが、現に全国規模で「地域クラスター」が多発している、今の状況をどのようにお考えなのでしょうか。

 

 

 西村経済再生大臣は26日、経済界に対して、「テレワーク70%・時差通勤」、「大人数での会食は控える」等を会見であらためて要請しました。「(コロナ以前に)後戻りすることなく、時差出勤とあわせて多様な働き方を維持、推進してほしい」と発言したのです。以前、緊急事態宣言が発令された際にも、これと同様の内容を要請されたことが思い出されます。つまり、あの当時から政府はまったく”成長”していないわけです。

 

 

 「Go Toキャンペーン」を推進しておいて、その結果、惨憺たる状況が現出したことを政府はどう釈明するつもりなのでしょうか。ならば一層のこと、再度、緊急事態宣言を発出すればよいのです。むろん、安倍総理は毛頭、再び「宣言」を出すつもりはありません。東京都のみ同キャンペーンから外しましたが、これ以上、対象外の範囲を広げることはないと、菅官房長官も明言しています。安倍内閣は「Withコロナ」を合言葉に、経済の立て直し策にますます傾倒する一方です。

 国破れて、山河在り…。とほほ。