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感染第二波の到来を告げる「東京アラート」

 はやくもこの日が来たか。先日、緊急事態宣言を全面解除したのも束の間、2日、東京都で新たな感染者数が34人に上りました。こうした感染の状況を踏まえ、小池都知事は「専門家の意見を踏まえた上で」、東京アラートの発動を決意したのです。

 

 

「東京アラート」発動

 

 

 東京都公式サイトの「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」によると、東京アラートの発出基準は、(1)新規陽性者数が1日あたり20人未満(直近7日間平均)
(2)新規陽性者における接触歴等不明率(感染経路不明率)が50%未満(直近7日間平均)
(3)週単位の陽性者増加比が1未満(直近7日間平均)

 とあります。そのうち、2番目に関しては、すでに昨日までの六日間連続となり、3番も五日間連続でしたが、アラート発動はありませんでした。が、ここへきて感染者数が急増の傾向が現れたことを重く見て、ついに「アラート」発動となったのです。

 

 

 専門家によれば、現在の感染者数は5月中旬頃の感染状況が反映され数字とのこと。ちょうどその頃から国や自治体では、徐々に自粛を緩和する方向へ傾いた時期に当たります。事実、国では当初、緊急事態宣言の期限を5月いっぱいとしていたところを、前倒しして解除したのはご承知のとおりです。政府の甘い見込みが招いた事態だと言わざるを得ません。

 

 

 東京都では「ロードマップ」による緩和の段階を1日からステップ1からステップ2に移行しました。わずか1日で「東京アラート」を発出するに至ったわけです。営業を再開させたのも、完全にぬか喜びに過ぎませんでした。

 

 

 不思議なことに、「東京アラート」が発出されても、直ちに営業自粛の再要請するものではありません。アラート発令後に外出・休業自粛を再要請する目安としては、新規陽性者数が1日あたり50人(直近7日間平均)、新規陽性者における接触歴等不明率が50%(直近7日間平均)、週単位の陽性者増加比が2、となっています。一日の新規感染者数が34人と言う数字は危険水域には違いありませんが、まだ上記の基準には至っていません。新規患者数以外はすでにその基準を満たしていると言うのに、自粛の再要請は出ていません。

 

 

 小池都知事も西村大臣も異口同音、夜の街で感染者が発生している点を挙げていますが、果たしてそれだけの理由でしょうか。確かに、今も営業自粛要請が解除されない接待を伴う飲食店やナイトクラブ(スナックも)でクラスターが発生するケースは少なくありません。夜の街に繰り出した人だけが感染拡大の原因でしょうか。

 

 

企業にこそ「アラート」を

 

 

 テレビのニュース映像などでご覧のように、渋谷や新宿などの繁華街ではこれまでにの「宣言中」の時に比べて、格段に人の数が増えました。デパートも営業を再開して、大変な賑わいです。もう大丈夫だろうという気の緩みが、今回の結果を招いたに違いありません。新型ウィルスは私たちの心の隙をあざ笑うかのように、密かに感染を拡大させていったのです。

 

 

 吉村大阪府知事もおっしゃっていましたが、北九州市で発生したクラスターはどこでも起こり得るとのこと。むろん、東京も同様に高いリスクがあるとみるべきです。安倍総理が「日本モデル」と自画自賛しましたが、あの会見を見た人の中には、きっともうこれで感染は収束したから安心だと早合点された方も少なからずいたのではないでしょうか。

 

 

 「日本モデル」の評価はどうあれ、感染は完全に終息したわけではないのです。「終息」ではなく「収束」です。この言葉の間にはかなりの開きがあります。諸外国のように感染が爆発的に拡大する事態には至らずに済んだだけのことです。疫学の専門家は、口を揃えて「新型ウィルス」は地球上から完全に消滅することはないと指摘しています。毎年、秋冬になると流行するインフルエンザのように、新型コロナウィルスは常に潜んでいて、感染する機会を窺っているのです。なお悪いのは、インフルエンザよりもはるかに感染力が強い点です。

 

 

 各国は競い合って新型コロナに有効なワクチンの開発に躍起になっています。米中ではサイバー攻撃も辞さず、ワクチン開発に関する情報を盗み出そうとさえしています。トランプ大統領は中国を名指しして非難し、WHOは中国の意のままにされているという”難癖”を付けて、脱退する意思を表明しました。言うまでもありませんが、新型ウィルスにとっては米中も国境も全く関係なく、感染を拡大させます。これは歴とした「戦争」です。新型ウィルスと人類とのし烈な戦いはまだ始まったばかりなのです。国同士がいがみ合っている場合ではありません。

 

 

 「東京アラート」が発出されたということは、即ち、感染の第二波の到来を意味します。たとえ、政府や自治体がそうと認めずとも、私たちは先んじて、第二波に飲み込まれないように自衛しなければなりません。レインボーブリッジが赤くライトアップされたのを見て、「夜景がきれいね」などと暢気なことを言ってはいけません。私たちは相当の危機感を持ち、今後の感染防止に努める必要があります。

 

 

 日本人の美徳として、律儀で真面目な国民性があります。宣言中には、政府の要請に従い、不要不急の外出を避けて、三密にならないように心掛けました。外出時には必ずマスクを着用する習慣も身に付きました。ところが、宣言解除後には再び、あの魔の通勤ラッシュが始まったのです。これまでは、政府の要請通りに企業では「在宅勤務」や「オフピーク通勤」を励行しましたが、解除された途端に元通りになってしまいました。これでは意味がありません。「新しい生活様式」を実践しようにも、会社がそれを許さないのです。

 

 

 「東京アラート」発動を機に企業はもっと自覚しなければなりません。ナイトクラブだけに感染拡大の責任を押し付けるのでは、何も解決しないでしょう。