明日を元気に生きるための「心の処方箋」

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「志村けん」さんが私たちに残したものとは?

 突然の悲報に茫然自失となった方は少なくありませんでした。

 老若男女を問わず絶大なる人気を誇っていた志村けんさんが、新型コロナ肺炎のために入院治療中、29日の午後11時10分、亡くなりました。

 翌朝、テレビ番組の速報やネットニュースで志村さんの突然の訃報を知り、絶句しました。通勤途中で突然、前方を歩いていた会社員が、「えぇ!嘘だろう!」と吠えました。あちこちで同様の光景が見られました。東村山市民は泣き出す方も多かったようです。

 それほど、愛すべきコメディアンのあまりにも早すぎる死に、人々は衝撃を受けたのです。

 

 

「はしご酒」

 

 

 享年70歳というのも早すぎますが、それ以上に驚くべきは新型コロナ肺炎と診断されてからわずか2週間余りで落命されたことです。前回、このブログでお話しましたが、志村さんが新型肺炎の陽性反応が出たとのニュースが流れた日に(25日)、奇しくもテレ朝のバラエティ番組『あいつ今何してる?』にゲスト出演して、35年前に結婚する寸前までいった女性がいたことを初めて自ら語ったのです。

 そして、別れた女性に対して、「幸せになっていてくれればいいな」としみじみと話していたことが印象に残りました。その様子が今から思うと、まるで死期を悟った人のように見えたのです。

 

 

 もちろん番組が収録された時には、新型肺炎に感染するとは想像だにしなかったことでしょう。でも、当時人気絶頂にあったドリフターズの人気メンバーとして活躍中の若かりしの志村さんと70歳となった志村さんとは、まるで別人のように見えました。

 年齢は隠せないものですが、人生100年時代といわれる今現在、70歳という年齢はまだまだこれからです。ましてや70の誕生日を迎えたばかりなのに、年齢以上に老けて見えたのです。やはりどこか体が弱っていて、病原菌への抵抗力が低下していたのかもしれません。

 

 

 27日(金)の午後8時過ぎに小池都知事が緊急会見を開いて、現況について、爆発的な感染拡大に繋がる重大局面にあるとして、週末には不要不急の外出を自粛するように要請しました。また30日(月)の夜に再び会見を行い、夜間から早朝にかけて営業しているバー、ナイトクラブ、酒場、など、接客を伴う飲食業の場で感染した事例が多発していることを示したうえで、

 

「若者にはカラオケ・ライブハウス、中高年にはバー・ナイトクラブなど接待を伴う飲食店に行くのは当面お控えいただきたい」

 

 と。具体的な例を挙げました。そういえば、志村さんははしご酒が大好きで、体調不良になる直前まで、感染リスクの高い条件、即ち「密閉」「密集」「密着」が揃う場所に出入りしていた模様です。

 

 

 小池知事はまさか志村さんのはしご酒のことまでご存知のはずはありませんけれども、確かにバーやナイトクラブ、志村さんの場合はキャバクラやガールズバーなどですが、そうしたスポットを好まれていたようです。

 ああ、小池知事がもう少し早く”忠告”していただいていたならば、志村さんもしばらくの間、ガールズバーで遊ぶのを控えていたかもしれませんね。否、志村さんは誰の忠告であろうとも、好きなように過ごすに違いありません。それもまた志村さんらしい生き方なのかもしれませんね。

 

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底抜けに明るい笑い

 

 

 人気お笑いタレントは数多いる中で、志村けんさんほど子供からお年寄りまで幅広い年齢層から広く愛されていたタレントは他にいません。東村山市民のもならず、『8時だヨ!全員集合』を子供の頃見ていた世代も、その親の世代も、また現役時代のドリフターズを知らない若い世代も、志村けんさんに皆、夢中になって大笑いしました。白塗りのバカ殿様ぶりやよれよれのお婆さんぶりなど、思い出すたびに笑ってしまいます。

 

 

 世代を超えた稀代のコメディアンと呼ぶに相応しいタレントです。毒舌を吐いたり、ゲストをいじり倒す芸風のお笑い芸人が多い中にあって、志村さんの笑いは底抜けに明るく嫌味がありません。”迫真の”演技でよれよれのお年寄りの真似をすること自体、老人差別につながるのではないかとの声もありますが、志村さんがそれをやると耄碌してよれよれの老人が不思議と憎めない感じがして、むしろお年寄りを大切にしようという気持ちにさえなる。そこが、志村さん一流のお笑い芸なのです。

 

 

 街中の人々に志村さんの訃報について感想を聞くと、若い人からはこんな意見が出てきました。

 

「これまでは新型肺炎なんて他人事だと考えていたけれども、志村さんが亡くなるなんて、他人事ではないんだなとあらためて思った」

 

 安倍総理小池都知事が会見でいくら「重大局面」と強調したところで、若い人たちにはあまりピンとこなかったようです。が、志村けんさんのような人気者が新型コロナ肺炎でわずか2週間のうちに命を落としたという事実を目の当たりにして、彼らの考えに変化が兆したようです。

 

 

 小池知事が志村さんの訃報について記者から質問された際に、こんなことを話されました。

 

 「悲しみとコロナウイルスの危険性についてですね、しっかりメッセージを皆さんに届けてくださったという、その最後の功績も大変大きいものがあると思っています」

 

 

 確かに、志村けんさんの急逝に、多くの人々が悲しんでいます。でも、志村さんはコロナウィルスの危険性について自らを犠牲にしてメッセージを届けたわけではありません。きっと命の尽きる瞬間まで、もっと自分はコントで日本人を明るい気持ちにしたいと思っていたことでしょう。

 

 

 新型ウィルスの蔓延で人々が萎縮する中、自分にはまだやれることがあるとの思いを抱きながら、逝ったのではないでしょうか。「志村けん」は天才的なお笑い芸人です。70歳という寿命は志村さんにとっても、到底承服しがたかったに違いありません。悔しいですね。