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「ソーシャル・ディスタンス」と「アベノマスク」の微妙な関係

 慢性的なマスク不足は未だに解消されそうにありません。ドラッグストアやスーパーなどに少量のマスク入荷があると、朝から行列を出来て、開店と同時に売り切りとなってしまいます。

 

 

 一体、これまでにどれくらいのマスクが販売されたのでしょうか。恐らく国民ひとりあたりに換算すれば、とっくに皆に行き渡っているはずです。なのに、ここ数か月間、”マスク難民”の数は一向に減少せず、常に「買い占め」られてしまいます。いくら冷静な方でも、さすがに堪忍袋の緒が切れそうです。

 

 

「アベノマスク」の功罪

 

 

 緊急事態宣言の発令よりも前に、安倍首相は「再使用可能な布製マスクは感染の防止に役立つ」として、一世帯(一つの住所)あたり2枚のマスクを配布することを決めました。いわゆる「アベノマスク」です。

 

 

 いくら再使用可能な布製マスクとはいえ、たった2枚のマスクで果たしてどれほどの感染予防の効果があるというのでしょうか。当初、このマスク配布に関連する予算規模は200億円と言われていたのに、いつの間にかその2倍以上の466億円も掛かることが判明したのです。

 

 

 いくら何でも費用対効果を考えれば、あまりにも馬鹿げたお金の使い方だと言わざるを得ません。もしかしたら「アベノマスク」は安倍政権のパフォーマンスに利用されただけかもしれません。それもマスク同様に実に薄っぺらいのです。

 

 

 薄っぺらなのは「アベノマスク」だけではなさそうです。初の緊急事態宣言を発出した安倍総理ですが、そのタイミングが遅きに失したとの誹りを免れません。もっと早い段階で、たとえば春分の日の先月20日前に発令されていたら、三連休にイベントや行楽、ショッピングなど出かけずに、三つの「密」を避けるように心掛けていたに違いありません。新型肺炎の感染状況は現在とはまったく異なっていたことでしょう。実際、三連休中に大量の感染者とその予備軍が現れたことが判明しています。政府はこの時、大きな過ちを犯したのです。

 

 

 誤ったタイミングで発令された緊急事態宣言でも、一定の「効果」は期待できます。何もしないよりもましなのですが、問題はその後です。諸外国に比べて罰則規定がないなど若干緩いとはいえ、いわゆる「三密」を避けることや不要不急の外出を控えるなど、国民の意識や行動に変化はありました。食料や医薬品などの必需品を買うために外出する以外は、なるべく外に出ないようになった模様です。その辺は、規律を重んじる日本人の美徳を誇りに思います。

 

 

 問題は、緊急事態宣言後に小池東京都知事と国が営業自粛を求める業種を巡り、意見の隔たりが露呈した点です。都知事や近県の知事の間にも意見の相違が見られますが、それ以上に大きく意見が食い違いを見せたのは、東京都と国です。

 

 

 営業自粛期間中の補償をどうするのか、どこまでが営業自粛のラインなのかを巡り、両者の話し合いは揉めに揉めたのです。そして蓋を開けてみれば、結局、営業自粛の業種は当初のプランよりも大幅に緩和されることとなったのです。居酒屋の夜間営業の自粛要請も深夜まででなければ認めらるわ、理髪店も除外となるわ、等々でこれでは一体、何のために緊急事態宣言を出したか、わかりません。経済的損失が患者の生命よりも重視されたわけです。

 

 

「ソーシャル・ディスタンス」

 

 

 こんな穴だらけの「非常宣言」など、どれほどの意味があるのでしょうか。諸外国では爆発的な患者数の増加により医療崩壊が生じて、惨憺たる有様だというのに、日本政府はこの期に及んでその場しのぎで胡麻化そうとしているのです。実効性の期待できないような”骨抜き”の政策などを弄する暇はありません。宣言の期限である来月6日の時点で、どこかの国のような「地獄絵図」が再現されないとも限らないのです。

 

 

 先の会見で、安倍総理は両手を広げて、「三密」の一つである「密接」にならないための距離感について身振りで示しました。誰が言い始めたのか知りませんが、「ソーシャル・ディスタンス」という言葉が新たに使われ出しました。その意味するところは、感染を防止するために人と人との距離感を取ろうということです。大体、2メートルくらいのようです。

 総理の会見も、記者席は隣との距離を十分に取り、まばらにぽつりぽつりと記者が座っていました。ソーシャル・ディスタンスを国民が意識するようにとの意図があったのでしょう。

 

 

 「ソーシャル・ディスタンス」には大いに賛成します。何においても距離感は大切です。ことに戦後最大の危機である「新型コロナウィルス」に抗するためには、今後、距離感を意識しなければなりません。「密接」を避けることはとても重要です。人は重大な危機に瀕すると、パニックを起こしたり、一斉に逃げ場を求めて密集、殺到する傾向があります。

 

 

 密集したり接近したりするのではなく、むしろ少し離れたところから物事を眺めることで、全体像が把握しやすくなります。適当な距離をおいた方が、冷静に判断することが出来ます。何ごとにも距離感は大事なのです。

 「ソーシャル・ディスタンス」を取りましょう。「アベノマスク」に象徴されるような安倍総理の”パフォーマンス”に胡麻化されないように注意深く、政策について冷静にその是非を見極めましょう。今こそ、安倍政権との間に「ソーシャル・ディスタンス」を保とうではありませんか。冷静になって。