明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

晴天の休日に「ステイ・ホーム」するということ

 新型コロナウィルスの感染数が東京都内でついに3000人の大台に乗りました。19日現在、新たな107人の感染者が確認され、6日連続で100人を超えました。一向に収まらない感染拡大に唯一歯止めを掛ける手立てとは、「ステイ・ホーム」すること。即ち外出を避けて極力自宅に留まることです。

 

 

合言葉は「ステイ・ホーム」

 

 

 18日(土)の首都圏は朝から激しい雨が降りつける荒天でしたが、翌日の日曜日は打って変わって雲一つないピーカン。照り付ける陽射しはまるで初夏のよう。「コロナ禍」以前なら絶好の行楽日和で、ドライブするも良し、ハイキングも良しの陽気です。

 

 

 でも全国に緊急事態宣言が発令され、不要不急の外出を自粛するように要請された現在、屋外のレジャーはもちろん、デパートでのショッピングも映画館でロードショーを鑑賞することも出来ません。「ステイ・ホーム」を合言葉に、自宅で大人しく過ごすよりほかありません。

 

 

 一年のうちで最も快適な季節はやはり何といっても春でしょう。雪国や北の大地で暮らす人々にとっては、長く厳しい冬がようやく過ぎ、春の訪れをどれほど待ち望んでいらっしゃることでしょうか。童謡にもそんな気持ちを歌った『春よ来い』という曲があります。松任谷由実のヒット曲にも、『春よ、来い』があります。同名のNHK朝ドラの主題歌となった曲です。いずれも、春の訪れを待ち焦がれる心情を表現した歌です。

 

 

 クラシック音楽の世界でも、春を題材にした曲がいくつかあります。ヴィヴァルティの『四季』の『春』。ヴァイオリンの溌溂とした旋律が美しい曲です。また、ロシア人のストラヴィンスキー作のバレエ音楽春の祭典」も有名です。特に、第一部『春のきざし(若い男女の踊り)』はリズミカルで少々エロティックな印象を受けます。まあ、春という季節にはいろいろな”芽生え”があるということです。ベートーベンの交響曲第6番『田園』も清々しい春の空気を感じさせる、美しい曲です。

 

 

 春を表す英単語はspringも、もとは「飛び出る」「湧き出る」という意味が後に季節の春を表す意味に転用されたものです。じっとしていたものが飛び跳ねるように動き出す季節が春です。ああ、それなのに、それなのに。今年の春は新型ウィルスの猛威に晒され、私たちはじっと家の中に巣ごもりしなくてはならないのです。春なのに。

 

 

 感染防止のために「三密」を避けるため、自宅に友人を招いて食事会を催すことも、レストランで会食することも出来ません。運動不足を解消するためにひとりで近所を散歩したりウォーキングすることは認められますが、それだけではなかなか気分転換にはなりません。

 

 

 他人と接触する機会を8割削減せよとの要請により、テレワークなど在宅勤務の機会が多くなりました。業種や職場によっては緊急事態宣言より以前からすでに在宅勤務に切り替えた方も少なからずいらっしゃいます。そうした方々は月曜から金曜日までじっと自宅の一室でひたすらパソコンの前に座って過ごしてた後、週末を迎えてもウィークデイと変わらずに外出せずに自宅に籠り切りになりがちです。

 これでは運動不足になるだけではなく、精神的に参ってしまいます。散歩やウォーキングだけでは週末はもちません。

 

 

「新型コロナ」に勝利するため

 

 

 臥薪嘗胆というほどではなくても、「ステイ・ホーム」はなかなか辛いものです。自宅で過ごす日々に、読書して時間を過ごす方が多くなりました。ノーベル文学賞を受賞した、アルベール・カミュの『ペスト』が売れているそうです。カフカの『変身』と共に不条理文学の代表作と称される作品ですが、そのストーリーはただただ暗く救いがなく、決して気分転換には向いていない本です。

 確かに、現在私たちが置かれている「新型コロナウィルス禍」に似た状況ではありますが、絶望的な気分になるので、今、お読みになるのはお勧めしません。「コロナ」を克服してからにした方が無難でしょう。

 

 

 ユートピア(理想郷)とは正反対のデストピア(暗黒郷)が、今現在の状況だとしたら、これまでの私たちの平穏な日常は何なのでしょうか。平穏無事に過ごすことのできる、何気ない日々にこそに真の「幸福」があるのかもしれません。ただそれがあまりにも平凡過ぎるために気付くことができないだけなのです。

 

 

 そう考えると、「ステイ・ホーム」を違った意味で捉えることも可能です。「ホーム」。自宅にいること。そこには少なくとも差し迫った危険はありません。普段と変わらぬ部屋があり、親御さんやお子さん、奥様がいてあなたがいます。たとえ一人暮らしであっても、あなたを産んでくれた母上、そして父上がいつもあなたの傍で見守って下っているのです。

 

 

 東日本大震災の時に、日本中をひとつにした素晴らしい言葉がありました。「絆」です。私たち日本人ひとりひとりが被災者とつながっているという「絆」。そして、戦後最悪の事態と言われる「新型コロナ禍」では、「ステイ・ホーム」を合言葉に、自宅で家族との絆を再確認することです。

 

 

 一つ屋根の下で四六時中顔を突き合わせていると、息が詰まってしまうという声もあります。でも、新型ウィルスと人類との戦争が勃発した今、私たちは「戦時下」にいると考えてみたら、どうでしょう。第二次大戦時のように無理やり大事な家族を兵隊に取られる心配は要りません。

 ただ、気晴らしが欲しい、友達とカラオケをしたい、飲み会を催したいという欲求はある。そんなことくらい、「戦時下」では、我慢できるはずです。もしも、誘惑に負けて自粛の紐を緩めてしまったら、その時は「新型コロナ」が勝利を収めることでしょう。それではいけません。人類はどうしてもこの”戦い”には勝利しなければならないのです。

 

 

 そのために私たちがすべきことは「ステイ・ホーム」です。晴天の春の一日に「ステイ・ホーム」すること。これが達成出来れば、必ずや「新型コロナ」に打ち勝てるはずです。ひとえに一人一人の心掛けが「新型コロナウイルス」との戦いに勝利するための最大の援軍となるのです。