明日を元気に生きるための「心の処方箋」

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「新しい生活様式」で「日本人の美徳」が失われてはなりません!

 新型コロナウィルスの厄介な点のひとつに、一度、陰性となったのちに再び陽性反応が出るケースがあります。緊急事態宣言が発令された最中、こうした症例が複数、認められました。さらに、無症状の人でも、ウィルスを体内に温存しているケースもあり、そのため対策会議では、発症する二日前までに接触した人も「濃厚接触者」にあたるとしました。

 

 

 当初は、空気感染はしないとされていたのに、その後、飛沫が空気中に漂い、その空気を吸い込むことで感染することもわかってきました。未知のウィルスゆえに、その危険度もいまだ未知数の部分が多いのです。

 

 

 それだけに、今盛んに論議されている「出口戦略」については、慎重な上にも慎重に検討する必要があります。経済損失を少しでも早く取り戻そうとして、「外出自粛」や「三密」がおこりやすい業種に対して「営業自粛」を解除するタイミングを見誤れば、たちまちこの新型ウィルス感染は復活の狼煙をあげることでしょう。

 

 

「出口戦略」の難しさ

 

 

 いかに「出口戦略」を練ろうとも、この厄介なる新型ウィルスは感染拡大の第二波がやってきます。むしろ、「宣言」解除後の対応こそが重要なのです。第二波の襲来に備えるために、政府はさらなる感染防止策を講じる必要があるということです。

 

 

 そもそもの新型ウィルスの発生源となった中国の武漢ですが、早くも中国政府は新型コロナ肺炎が収束したとして、ロックダウンを解除しました。これまで厳しく外出が制限されていたところに、急に自由になったため、武漢の街には商業施設の灯りが煌々と輝き、人々は大はしゃぎの様子でした。

 

 

 中国政府は、感染病の専門家が警告する感染の第二波については、一体、どう考えているのでしょうか。恐らく、政府の感染予防対策が大成功したことを内外に示さんがために声高に収束宣言を出したのでしょう。

 

 

 韓国でも同様に、早くも「自粛命令」の解除に踏み切りました。確かに、直近の感染者数が一けた台までに減少したことで、新型肺炎の感染拡大は一応、収まったように見えます。ところが、です。外出の際にはマスクの着用などを呼び掛けるなど、国民に感染予防の継続を要請したものの、ソウル市内で再び感染クラスターが発生したのです。2000名もの大人数が集まるイベントが開催されたクラブで、40名の感染者を出す事態となりました。濃厚接触者の追跡も非常に困難な状況で、今後、さらに感染者が拡大することは避けられそうにありません。

 

 

 日本では今月いっぱいまで「緊急事態宣言」の延長が決まり、14日に再度、専門家会議でその時の感染状況などを分析して、「出口戦略」を練ることになっています。「出口戦略」とはよく言ったもので、確かに宣言を発出するよりも解除する方がよほど難しい。解除のタイミングを見誤ると、「韓国の二の舞」になりかねません。政府には、経済損失をこれ以上拡大させず、同時に感染を収束させるという”離れ業”が要求されます。安倍総理が苦渋の表情を見せる際の眉間の皺は、ますます深くなりそうです。

 

 

 私たちは、来るべき「感染の第二波」に備えなければいけません。そのためには、専門家会議が提唱するような「新しい生活様式」に日常を変えなければならないのでしょうか。細菌学の専門家らしく、感染を防止するために今後も「三密」を避ける努力をつづけよとのご意見ですが、前回のブログでお話しましたように、家族間の感染を避けるために食事はカウンター方式にして、家族が横並びで食事をするというのは、どうにも承服し難い。

 

 

「新しい生活様式」の危険性

 

 

 ソーシャル・ディスタンスを取るために人と人との距離を1メートル以上取ること、密閉空間を避けるために友人知人とカラオケに興ずるのも避けること、そして極めつけは家族揃って食卓を囲まないこと。この三つを忠実に実行すれば、確かに感染をある程度防ぐことは可能でしょう。でもその代わりに、他人とは「ディスコミュニケーション」となり、友人との楽しいひと時を失い、家族関係も断絶してしまうことでしょう。

 

 

 感染防止策と経済損失の縮小という相反する二つの要件を同時に満たすためには、「出口戦略」をよほど慎重に検討しなければなりません。でも難問はそれだけではありません。専門家会議のメンバーは、感染学や細菌学のエキスパートには違いありませんが、あくまでも「疫学的」な見地のみで提言を行います。科学者には学術的な考え方は出来ても、エモーショナルな面までは頭が回らないはずです。そこで、安倍総理には「学術」と「エモーション」の両面を勘案した政策決定を行っていただきたいのです。

 

 

 「コロナ禍」後に世界は一変するとの意見があります。その一つが、「新しい生活様式」です。日本人は規律を重んじ勤勉で団結力の強い国民性と言われています。でも最初からそうであったわけではなく、長い歴史の流れの中で培われてきたものです。一朝一夕に、勤勉さが身に付くはずもありません。

 

 

 日本人を日本人たらしめる「美徳」が今、危機に直面しています。専門家会議の提言をそのまま日本人の生活様式とするならば、人と人との絆や助け合いの精神は失われてしまうかもしれません。個人主義、利己主義が日本人の心に巣くい始めるに違いありません。世界中から賞賛されている日本人の美徳がたちまち失われかねないのです。

 

 

 「出口戦略」とは、さっそく感染の第二波が押し寄せた、韓国の二の舞いにならないようにするだけでは不十分です。経済損失を最小限に抑えるだけでもありません。一番大切なのは、かの「新しい生活様式」によって日本人の美徳が失われないようにすることなのです。