明日を元気に生きるための「心の処方箋」

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「新しい生活様式」で私たちが失うもの

 すでに39の県で緊急事態宣言が解除となりましたが、東京や大阪など特定警戒都道府県についても、21日に専門家会議を開き、感染状況の推移などを見極めた上で、今月末までの期限を待たずに「解除」するか否かを政府が最終的に決定する予定です。ご承知のように大阪や東京などではここ数日間は新たな感染者数が減少する傾向が見え始めました。一気に「宣言解除」となる可能性も出てきました。

 

 

 ただし、「解除」には条件があります。解除後も「三密」を避けることは必須で、もしも何も制限をしなければ、最速で1か月後に感染の「第二波」が到来するとの見方もあります。新型コロナウィルスは実に厄介な感染症です。一度、収束したように見えても、完全に感染が無くなることはないといいます。そして、必ず「第二波」が来ると言う点では、専門家の意見は一致しています。「宣言解除」したからといって、元のような日常は戻らないのです。

 

 

 とはいえ、感染が一応、収束した時点で「解除」されるわけですから、これまで休業を余儀なくされていた外食産業や観光業などは、一息つけそうです。このままいつまでも「自粛」していたら、本当に立ち行かなくなってしまいます。すでにそのギリギリのところまで来ているのです。そうした事情も勘案したうえで、総合的に判断して「解除」するのです。

 

 

「新しい生活様式」の始まり

 

 

 新型ウィルスが日本から、この地球上から完全に消滅することはありません。私たちは日常のあらゆる場面で、感染しないように予防しなければならないのです。そのために「新しい生活様式」が求められるのです。

 

 

 専門家会議が提言している「新しい生活様式」とは、「三密」を避けるための行動を前提にした生活のことです。具体例としては、買い物についてみてみると、空いている時間帯に一人または少人数で出向き、展示品にはふれず、レジに並ぶ際には間隔をあけ、なるべく電子決済にすることとあります。通販を利用することも推奨されます。要するに、出来る限り、密の空間に行くな、触るなということです。

 

 

 また娯楽・スポーツについては、筋トレやヨガなどはネット動画を見て行い、公園などに行くときは空いた時間を見計らうこと。ジョギングは一人か少人数で行い、すれ違う時は距離を開けること。歌や応援はオンラインですること、等。

 

 

 食事については、なるべく持ち帰りやデリバリーにすること。野外で食べるようにして、おしゃべりも控えめに。お酌はしない。大皿から取り分けず個別の皿にして、横並びで食べること。営業を再開したカフェの中には、隣のテーブルとの距離を十分に取って、向かい合わないようにテーブルを配置し直すところもあります。おしゃべりもせず、向かい合わず、個々のテーブルに座って黙々とカフェオレやエクスプレッソを飲んでも、ちっとも楽しくないでしょうね。

 

 

 冠婚葬祭も大勢での会食は避けることとありますから、一生に一度の晴れ舞台である結婚式でも豪華なフレンチのコース料理などはなしです。葬式も同様。「密集」「密接」を避けるためには、これまでのような「宴会」は出来なくなりました。オンライン飲み会が話題になっていますが、冠婚葬祭もオンラインでの参加になるのでしょうか。何と味気ないことでしょう。

 

 

消滅する「ライブ」

 

 

 「解除」後も引き続き三密を避けるために、営業再開しても相当の制限を受けるのは、クラブやコンサート、映画館でしょう。ライブハウスも「三密」になりやすいので、同様です。営業再開した映画館では、「密接」を避けるために、空席を作らなければならないため、見た目はまばらにしか客が入っていないのに、それで満席とせざるを得ないのです。これでは、新作映画を上演しても、興行収入は見込めそうにありません。

 

 

 ライブハウスでは、これまでは日夜、ジャズやロックバンドのライブ演奏が繰り広げられていましたが、いまだに営業再開の目途が付きません。もはやこの手の店は存続できないかもしれません。ライブハウスがなくなると、そうした場所を活躍の場としてきたミュージシャンたちはもうお手上げです。ファンやマニアが集うライブハウスで、腕っこきのミュージシャンの生演奏に触れる機会は激減することでしょう。

 

 

 話題のライブを聴きに行く楽しみや評判の映画を観に行く楽しみもなくなるかもしれません。CDやDVDで鑑賞すればいいじゃないかという方もいらっしゃることでしょうが、やはりジャズやロックはライブが最高です。そもそも音楽はその場で楽しむものです。ネット動画でもライブを鑑賞できますが、生演奏を鑑賞するのが一番です。

 

 

 ジャズ評論家の中には、生演奏を聞くよりも「名盤」レコードを聞いた方が楽しいと宣った方もいらっしゃいましたが、私はその意見には賛成しかねます。「名盤」レコードは確かに素晴らしい。それについては異論はありません。ただし、たまたまレコーディングした演奏が記録としてレコードやCDに残されているわけで、記録されない「名演」の方が圧倒的に多いに違いありません。

 

 

 「新しい生活様式」によって、私たちは「ライブ」パフォーマンスに触れる機会を失うことになるのです。ジャズバーやライブハウスで飛び切りの「名演」に出会うこともありません。そうしたファンやマニアに支えられてきた「音楽の生まれる場所」が無くなってしまったら、生きた音楽であるジャズやロックは死に絶えてしまうかもしれません。