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「日本ダービー」開催なのに「東京五輪」中止論という矛盾

 3歳馬の頂上決戦「第88回日本ダービー」が5月30日(日)に予定通り、開催されました。生涯でたった1度しか走れない大舞台に出られる競走馬は、7398頭の中からわずかに17頭のみ。1番人気のエフフォーリアをわずかに鼻の差で制し見事優勝の栄冠に輝いたのは、前走に続き重賞2勝目となったシャフリヤール。1、2、3着とも写真判定の結果、僅差で決まるという、まさに手に汗握る素晴らしいレースでした。

 

 

「有観客」こその感動

 

 

 この日、東京競馬場では4000人以上の競馬ファンが集結し、日本一のレースを観戦しました。むろん、緊急事態宣言の発令中のため、十分に感染予防策を講じたうえで開催されたことは言うまでもありません。観客席は3密にならないようにソーシャルディスタンスを保ち、遠目で見ればまるで人気のない地方競馬のようなまばらな印象でした。

  さらに例年ならばスタート時から大歓声に包まれるところが、主催者側が大きな声を出さないように要請したことで、レース中に大盛り上がりするはずの第4コーナーを過ぎても、掛け声の代わりに拍手のみが鳴り響くばかり。それでも満場の拍手からは人々の興奮と喜びが直に伝わってきました。

 

 

 千秋楽を先月23日に終えた大相撲夏場所も「宣言」中の興行でしたが、両国国技会では客席のスペースを開けるなど徹底した感染防止策を施した上で、観客を入れての”有人”場所の開催が可能となりました。当たり前のことですが、テレビ観戦でも会場の客席がすべて空席ではどうにも盛り上がりません。こんなことを言うと総理や都知事からお叱りを受けるかもしれませんが、やはり無観客でのスポーツ競技というのはあまりにも味気がないものです。

 

 

 いよいよ「東京五輪」が秒読み段階に入りました。とはいえ、相変わらず世論調査では五輪開催に反対する意見が6割近くを占めています。開催国の日本人の大多数が「東京五輪」に否定的なまま、IOCが開催の実現を強く求めているという理由で、果たして五輪開催をどこまで正当化できるでしょうか。開催日までのカウントを止めることはまだ可能です。菅総理が冷静かつ賢明なる判断を下されるよう願うばかりです。

 

 

 沖縄や北海道のように今まさに「変異株」の猛威に晒されている地域があります。本来ならば5月の第二週までを期限に「宣言」が解除されるはずが、6月20日まで緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の再延長が決まりました。ここが辛抱のしどころと小池都知事は仰いましたが、もういい加減にしてほしいというのが国民の本音でしょう。

 

 

 むろん「新型コロナ」とその変異株の蔓延を抑え込むことこそが最重点課題であることは十分に承知しています。ただ、政府や行政がアルコール類の提供を禁止したり、特定の飲食業に対して営業自粛を要請するという一向に変わり映えのしない方針を繰り返すだけでは、もはや限界があることを認めなければなりません。「自粛要請」の一方で経済界からの強い”意向”で一部制限の緩和を行うという、その場限りで矛盾だらけの方針にはもううんざりです。

 

 

「五輪」中止論の矛盾

 

 

 深刻な感染状況下にあるマレーシアでは、今年3月に続き再び全土で「ロックダウン」が実施されます。6月1日から14日までの2週間、都市封鎖の第一段階に入ります。この期間中には、国家安全保障会議が許可する必要不可欠な経済・サービス分野以外はすべての経済・社会活動を停止させるのです。これまでにヨーロッパ諸国でも「ロックダウン」をおこなった国は多く、中には二度、三度と実施することもありました。

 

 

 マレーシアやヨーロッパ諸国のように「ロックダウン」という強硬策に打って出るという手もありますが、そこまで踏み込めないのは日本のお国柄なのかもしれません。それでも何が何でも「東京五輪」を開催に漕ぎつけたいというのならば、「ロックダウン」を実施することも辞さない覚悟があってしかるべきです。総理は「コロナ禍」の収束に政治生命を賭けるとおっしゃりますが、果たしてその発言はどこまで”本気”なのでしょう。

 

 

 昨年、戦後初の「緊急事態宣言」が発令された際には、国民にとってこれまで経験したことのない事態に戸惑いながらも、政府や行政の要請をきちんと守り、不要不急の外出を避けるなど、私たちの日常は大きく様変わりしました。大勢が動員されるようなイベント類は中止または無観客での開催となりました。しかし、「宣言」も3度目ともなれば、今やすっかり「コロナ慣れ」してしまい、自粛生活は緩む一方です。我慢強い日本人もさすがに限界のようです。

 

 

 十分な感染防止策を講じていれば、一定の制限を設けながらも「イベント」の開催が認められるようになりました。それにつれ、サッカーや大相撲などのスポーツ観戦についても、満員御礼の垂れ幕こそなくなりましたが、会場で競技を観戦することが出来るようになったのです。むろん「3密を避ける」という方針とは相反することですから、賛否両論あります。それでも無観客のスポーツ競技から大きく一歩前進したと言えます。

 

 

 「東京五輪」開催について根強い中止論があることは十分に理解できます。でもあえて申し上げたいのです。「日本ダービー」が開催できて「東京五輪」はだめだというのは如何なものでしょうか。慎重派の日本人だからこそ、「安心・安全な五輪」の開催を実現できると信じたい。私たちにはそれだけの知恵があるはずです。「大相撲」「ラグビー」が出来て、「東京五輪」は実施できないと言う意見には矛盾がありませんか。