明日を元気に生きるための「心の処方箋」

頑張り過ぎて疲れたあなた、心を痛めたあなたへ。言葉の癒しを実感して下さい

「うつの夢」「臨死体験」で見えたこと

 皆さんの中には、ぐっすり眠れるから夢なんて見ないという方もいらっしゃるでしょう。でも実際には、一晩に何度も夢を見るそうです。ただし、すべての夢を覚えているわけではないので、夢を見ないと思ってしまうのです。

 

 

 睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があることはご存知だと思いますが、レム睡眠時の夢を覚えていることが比較的多いそうです。今日は夢についてお話しようと思います。

 

 

 私はほぼ毎日、その夜か明け方に見た夢を覚えています。私の夢は非常に具体的で色彩感あふれる映像です。しかも結構、ストーリー性がある夢で、まるで映画か何かのようです。といってもいつも楽しい夢ばかりではありません。むしろ悪夢の方が多いですね。

 

 

うつの夢

 

 

 私が夢をよく見るようになったのは(正確には夢を覚えていること)、実はうつ病になってからです。それ以前はあまり夢も見ずに熟睡する方でした。ところが精神科でうつ病と診断される少し前から、盛んに夢をみるようになりました。それも繰り返し、同じような夢を見ることが多く、時には二晩続けて同じ夢を見ることもありました。

 

 

 精神科の先生にそのことを話しましたが、先生のご見解は、ただの夢だから気にすることはないということでした。それからはあまり気にせずに、逆に夢をなるべく多く覚えていようと考えました。毎晩、映画鑑賞をするような気分でその日の夢を楽しもうと思ったのです。もちろん、うつの夢ですから、あまり明るいストーリーはありません。むしろ忘れていた昔の嫌な体験だったり、怖い夢だったり、とにかく気分の悪い夢もよく見ました。それでも、ただの夢なんだから大丈夫と気にしませんでした。

 

 

 うつの時の夢ですから、ちょっと変わった夢が多かったようです。今でもはっきりと覚えている夢があります。靴を失くす夢です。夢占いによれば、靴が象徴するのは大事な物、たとえば地位や財産なのだそうです。つまりうつになったことで、もともと地位や財産はありませんが、何か大切なことを失ってしまったのかもしれません。一体、私は何を失ったのでしょう。今はまだわかりません。でもすでに失われたとしたら、もう取り返しがつかないことなのでしょう。覆水盆に返らず。

 

 

 下駄箱にしまったはずの自分の靴がないことに気づいて、必死に辺りを探し回ります。似たような靴はあってもそれは自分のものではありません。周りの人に尋ねても皆、知らないと言う。裸足で外へ出て、偶然に靴屋を見つけてそこで金ピカの派手な靴を購入するのです。でもその靴には満足していません。こんな夢をよく見ました。

 

 

 私の夢には鮮やかな映像のような景色があります。どこか見知らぬ国の見知らぬ街をグループで自転車ツーリングする夢を時々見ました。ところが途中の休憩所で休んでいる間に他の人はさっさと先に出てしまって、私一人が取り残されるのです。まったく知らない外国の都市です。目的地までの道のりもわからず、誰彼構わずに英語で必死に道を尋ねます。でも一向に要領を得ず、しだいに日が暮れてきて、早く目的地へ行かなければと焦ります。一人取り残された孤独感と不安感でいっぱいになります。

 

 

 こうして夢の内容をお話していくと、やはりその時の精神状態が夢に現れているような気がします。先生がおっしゃる、ただの夢だけではない何か深い意味があるように思えてなりません。

 

 

臨死体験の世界

 

 

 臨死体験のお話をしましょう。臨死体験というとよくテレビの再現ドラマのような感じを想像されるかもしれません。病院のベッドでたった今息を引き取った自分の魂が体から抜けだして、俯瞰するように自らの姿や周りの人たちを見下ろしているというものです。でも私の場合は違いました。当たり前ですが、正確には私は本当に心肺停止状態だったわけではありません。もしそうなら、このブログを霊界から更新していることになってしまいます。おお、怖い。でもそんなことはありません。私はちゃんと息をし、ブログを更新していますからご安心を。

 

 

 ではどんな臨死体験なのかというと、一瞬、息が詰まって呼吸が出来ず、気を失った時に見たあの光景がそれではないかと思うのです。もともと喘息の持病があり、風邪をひくとゼイゼイと息が苦しくなり、気管支拡張剤が手放せません。そんな時に、薬を吸引する間もなく、ひどく咳き込んで息が出来ずに、気を失ったことがあります。

 

 

 意識を失うと同時に、私は一瞬で夢の世界に入り込みました。奈良ホテルのような木造の古いホテルで、廊下には深紅の絨毯が敷き詰められています。長い廊下をゆっくりと歩きます。ずらりと並んだ客室のドアを一つ一つ、見ていきますが、なかなか自分の部屋番号が見つかりません。どうしたものかと考えているうちに、どこからともなく自分の名前を呼ぶ声が聞こえてきました。そこでようやく私は意識を取り戻したのです。

 

 

 あとで聞いたことですが、その時に隣にいた妻が、突然に意識を失った私の背中をさすり耳元で名前を何度も叫んだそうです。妻が夢の世界に入り込んだ私をこちらの世界へ連れ戻してくれたのです。先ほど申し上げたように、正確には心肺停止まではいっていなかったと思われますが、呼吸が止まり気を失っていたのですから、その時はきっと私は死線を彷徨っていたのだと思います。あの体験は忘れられません。私は少しだけ死の世界を垣間見ることが出来たのだと信じています。

 

 

 精神科の先生は夢についてこうもおっしゃいました。悪夢を見ても怖がることはありませんよ。目が覚めてしまえば、終わるのですからね、と。先生のお話はもっともだと思います。でも、もしも夢から覚めなかったらどうなるのでしょうか。

 

 

 今夜、あなたは寝ている間にあちらの世界へ入り込んでいるかもしれませんよ。悪夢でないことをお祈りします。それでは、お休みなさい。